私たちの身を守る?飲み物を買うだけじゃない自動販売機の役割とは
最近では、局地的な大雨による土地や建物への浸水被害や河川の氾濫といった災害が記憶に新しいですが、大雨に地震、火山と災害大国といわれる日本では、いつ何が起こるか予測できません。
特に、マグニチュード6を超える地震の約2割は日本で発生しており、今後30年間に、70%~80%の確率で最大クラスM8~9の南海トラフ地震が発生するともいわれています。
このような災害は、いつどこで起こるのか誰にもわかりません。そのため、私たちは命を守るための防災意識を日頃から高めておく必要があります。
そこで、防災という観点で、ぜひ知っておきたいのが自動販売機です。自動販売機というと、いつでもどこでも飲み物を買うことができる便利な機械、というイメージがありますが、実は、災害時に飲み物を無料で提供するなどといったインフラとしての役割もあります。今回は、自動販売機が私たちの生活において果たしている意外な役割についてご紹介したいと思います。
実際に自動販売機を利用している人はどのくらいいるの?
路上やオフィス、駅のホームなどでよく見る自動販売機。24時間利用できる便利さはあるものの、コンビニやスーパーなど、どこでも飲み物を買うことができる環境が整っている中、利用している人はどのくらいいるのでしょうか。
TPOマーケティングリサーチが月に1回以上、自動販売機を利用する10代(中学生)~60代の男女を対象に実施したアンケート調査によると、全体の約45%の人が週に3回以上利用しているとのこと。
利用する場所は、オフィスや職場、学校、駅の構内や周辺などが多く、「スピーディーに買える」「買いたいときに近くにある」といった理由から利用されているようです。
災害時に身を守る自動販売機の役割
いつでもどこでも飲み物を買うことができる自動販売機ですが、飲み物を買うことができるだけではなく、災害時には利便性を活用した災害支援の取り組みも行っています。
1.災害時には電子掲示板に
日本コカ・コーラでは、社会貢献活動の一環として、地域貢献型の自動販売機を提供しています。自動販売機のシステムに、NTTドコモのFOMA対応の通信ユニットを組み込むことで、災害時に飲み物を無料で提供するだけではなく、電光掲示板に、災害情報や避難場所情報を表示させることができます。
自宅や会社であれば、災害時の避難場所を普段から確認しているかと思いますが、外出時など土地勘がない場所では、すぐに避難場所を確認することは難しいです。そんなときに、自動販売機の電光掲示板に災害情報や避難場所が表示されるのは、本当に助かりますよね。
2.地域の防犯・安全に貢献
アサヒ飲料では、自動販売機が災害時の重要なライフラインになると考え、2005年から自動販売機を活用した被災地支援などに取り組んでいます。例えば、フリーWi-Fiを搭載した自動販売機や、飲み物を購入すると自治体や福祉団体などに寄付ができるものなどがあります。
またその一環で、地域の防災や安全に貢献するために日本電気株式会社(NEC)と共同開発をしたのが、クラウド型のカメラ付自動販売機になります。これは自動販売機に搭載した小型カメラの映像データが自動的にクラウドに保存されるもので、地域の防犯対策の一端を担っています。
他にも様々な役割が!
1.たたみ一畳から土地活用に
自動販売機の大きさは機種によっても変わりますが、標準的なサイズは横幅1m×奥行き75cmとされています。そのため、たたみ一畳分の空いている土地を有効活用することにも繋がっています。設置することで自動販売機の売上が見込めれば、収益化を期待することができますし、簡単に移動させることも可能です。
空いている土地で手間をかけずに収益化できるのも、自動販売機を活用する大きな魅力だといえます。
2.プラスチックごみ削減
海洋プラスチックのごみ問題は世界規模で問題になっていますが、自動販売機で販売されている飲み物は現在、プラスチック製のペットボトルが主流です。そこで、各メーカーが飲み物の容器にアルミ缶や紙素材などの採用を進めています。
また、サントリー食品インターナショナルでは、自動販売機の商品見本を立体ダミーからフィルムダミー(フラットダミー)へと切り替えプラスチック削減を推進しているほか、飲み物のボトルをリサイクル素材、植物由来素材にしたサステナブルボトルへ切り替えるなどの取り組みをしています。
普段何気なく目にし、私たちの生活の一部になっている自動販売機ですが、実は災害時や地域の防犯にも役立っています。
ただ飲み物を売るだけではなく、その利便性を活用して防災や地域への貢献も同時に実現している自動販売機は、社会貢献への新しい形であるともいえるのではないでしょうか。