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7月1日にスタートした「レジ袋有料化」とSDGsの関係性 セブン&アイ・ホールディングスの取り組み


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14 海の豊かさを守ろう
7月1日にスタートした「レジ袋有料化」とSDGsの関係性 セブン&アイ・ホールディングスの取り組み

持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」をリスナーとともに学ぶニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』の第4弾が7月16日に放送された。今回はSDGsの掲げる「17のゴール(目標)」の一つである「14.海の豊かさを守ろう」につながる「レジ袋有料化」がテーマ。ゲストとして株式会社セブン&アイ・ホールディングスの執行役員広報センターシニアオフィサーの松本稔氏を招き、同社の「レジ袋有料化」をはじめとしたSDGs達成に向けた取り組みを聞いた。

SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月に開かれた国連サミットで採択された国際社会の目標のことを表す。今回はニッポン放送の新行市佳アナウンサーが司会進行を務め、「レジ袋有料化」とSDGsの関連性を紐解いた。「そのゴールに取り組む企業をピックアップしてご紹介したいと思います」として、招かれたのがコンビニエンスストア「セブン-イレブン」や総合スーパー「イトーヨーカドー」などを運営するセブン&アイ・ホールディングスで執行役員を務める松本氏。新行アナは「セブン&アイ・ホールディングスのSDGs達成に向けた方針として掲げているもの」について、まず質問を投げかけた。

「セブン-イレブンをはじめとして、われわれのグループではステークホルダーや有識者の方々にヒアリングをして、社会課題の中から本当に今解決していくべき課題をピックアップしました。それが、2014年に特定させていただいた『5つの重点課題』です」

そう松本氏が紹介したのが、以下の5点だ。

重点課題1:高齢化、人口減少時代の社会インフラの提供
重点課題2:商品や店舗を通じた安全・安心の提供
重点課題3:商品、原材料、エネルギーのムダのない利用
重点課題4:社内外の女性、若者、高齢者の活躍支援
重点課題5:お客様、お取引先を巻き込んだエシカルな社会づくりと資源の持続可能性向上

新行 「今から6年前というと結構、早い段階から意識されていたのだなと思いますが」

松本 「われわれは小売業なので、お客様からのご指摘も数多くいただいています。その中で、いろいろと出てくる社会的な課題を解決していく行動が重要だろうと、ずっと思っていました。そのための専門部署もつくるなど、社会的価値の向上であったり、持続的に成長していくための取り組みであったり、そういうものをしっかりとまとめながらやっていこうじゃないかということで、こうした重点課題として掲げさせてもらっています」

そうしたCSR(企業の社会的責任)の発展形といえるのが2015年に採択されたSDGs。CSRが「社会をよくするためのボランティア活動」なら、SDGsは「ビジネスを用いて社会をよくする活動」。セブン&アイ・ホールディングスも、本業を通じた社会課題の解決を目指すSDGsに対応する形で、取り組みを段階的に拡大させている。その中で、新たに掲げたのがセブン&アイグループの環境宣言「GRREN CHALLENGE(グリーンチャレンジ) 2050」だ。

松本 「昨年『GREEN CHALLENGE 2050』という目標を掲げさせてもらいまして、2030年の目標、2050年の目標を策定させていただきました。その中にあるのがレジ袋削減です。プラスチック製のレジ袋に関しては2030年に使用量をゼロにしようと考えております。もちろん直ちになくすというのは、お客様のご理解をいただくのも難しいと思うので、そこは段階的にやらせていただこうと考えています」

「GRREN CHALLENGE 2050」では、レジ袋や使用容器などのプラスチック対策、二酸化炭素(CO2)排出量削減、食品ロス・食品リサイクル対策、持続可能な調達の4つを重点テーマとして、グループ全体で取り組みを進める。例えば、CO2についてはグループの店舗運営に伴う排出量を30年までに30%、50年までに80%以上削減。食品廃棄物は売り上げ100万円当たりの発生量を30年までに50%、50年までに75%削減することを目指す(いずれも13年度比)。その中で、第一歩となるのが7月1日に始まったレジ袋の有料化だ。

新行 「レジ袋の有料化を実際に始めて見ていかがですか」

松本 「お客様から、いろいろなご意見いただいていますが、『レジ袋必要ですか?』と声掛けをさせていただくと、辞退される方が今、大体7割くらいいらっしゃいます。かなりのお客様に、有料化させていただく理由であるプラスチックゴミ削減という趣旨そのものを、ご理解いただけるようになってきている、お客様の意識も非常に高いところに来ているのではないかなと思います」

新行 「レジ袋有料化が意識を高めるきっかけに?」

松本 「そうですね。もともとレジ袋については、当社は例えば1枚当たりのプラスチック使用量を削減する薄肉化、バイオマス素材の採用やお客様への声掛けを早い段階から取り入れてきました。そして今回、有料化が始まったということです。SDGsでいうと、海にレジ袋が流れ込み、生態系に影響を及ぼしているという課題が言われていますが、それも当然われわれは認識しており、解決していく必要性があるだろうと考えています」

セブン-イレブン・ジャパンでは7月1日から「レジ袋有料化」を本格的にスタート。「小・中・大・弁当用」の4サイズを3円(税抜)、「特大」サイズを5円(税抜)で販売している。さらに、レジ袋の収益金は、地域社会の環境保全活動や資源循環などの環境負荷低減の取り組みに活用している。「(収益金の用途は)具体的に今検討しておりまして、レジ袋の販売によって上がってきた収益については、全額環境保全活動やそれを推進する団体への寄付などに使わせていただこうと考えています」と松本氏は説明する。

また、セブン&アイ・ホールディングスでは、エコバッグ普及に向けた提案も行っており、今年1月には『エコバッグになるハンカチ』、3月には『シュパットコンパクトバッグ』など、携帯性を高め、気軽に使えるアイテムを発売。7月11日の“セブン-イレブンの日”には、一定額を購入し条件を満たした人に人気アウトドアブランド『CHUMS(チャムス)』とのコラボエコバックをプレゼントする企画も実施するなど、積極的にレジ袋辞退につながる取り組みを行っている。

さらに、セブン-イレブンなどの店頭にペットボトル回収機を設置し、使用されたペットボトルを国内でペットボトルなどに再生する「循環型リサイクル」システムを、国内の大手小売チェーン全体としては初めて導入。日本コカ・コーラと協力し、店頭で回収したペットボトルを100%使用したリサイクルペットボトルを使った緑茶飲料「一(はじめ)緑茶 一日一本」を発売するなど、世界初の取り組みも進めている。

松本 「このお茶の裏を見てもらうと『再生ペット樹脂使用ペットボトル』とあります。お客様からも『良いことだね』というお話をいただいていますし、資源の再利用、プラスチック削減の大きなきっかけになる、非常に重要な取り組みだと思っております」

新行 「そうした中で、セブン&アイ・ホールディングスとして目指しているものは」

松本 「さきほどお話に出ました『GREEN CHALLENG 2050』ではプラスチック対策だけではなく、CO2の排出量削減だったり、また食品ロス、食品リサイクルの対策であったり、持続可能な調達であったり、この4つを大きなテーマとして掲げております。これをグループ一丸となって取り組んでいけるようにしていきたいと思っております。CO2削減については2030年においては2013年度比で30%削減、2050年には80%以上削減しようと決めておりますが、太陽光発電のパネルを設置するなどの取り組みを拡大しながら、目標に向けて進んでいけるようにしたいと思っています」

新行 「2030年、2050年と聞くと先のことのように思えますが、今やっていることが未来につながっていくんですね」

松本 「足下から一歩一歩着実にやっていくのが一番と思いますので、われわれができること、今やるべきことを整理しながら、一つ一つ取り組んでいけたらなと思っています」

これまで企業は儲けたお金の一部を使って社会に還元しようと考え、行動するのが通常だったが、SDGsでは本業を通じて儲けながら世界を変えていこうという大きな発想の転換がある。まさに今回の「レジ袋有料化」は、そうしたSDGsに対する企業の取り組みを一般生活者が身近に感じる“社会の大きな変化”の一つといえるだろう。