『ホテルインディゴ長崎グラバーストリート』とその周辺を巡る旅、文化・歴史にどっぷり浸る体験を
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長崎港が1571年に開港して以来、西洋や東洋、あらゆる国から人とモノが交差し、独自の文化を発展させてきた長崎。日本の「和」、中国の「華」、オランダの「蘭」の個性が溶け合った「和・華・蘭(わからん)文化」は、この地ならではのDNAとも言えるでしょう。
2025年1月29日(水)~2月12日(水)には100万人を超える旅行客が国内外から訪れる長崎の冬の風物詩「長崎ランタンフェスティバル」も開催されますので長崎旅行を計画されている方もいるかもしれませんね。
今回はそんな長崎県の中で“国選定重要伝統的建造物群保存地区”にも指定されている⻑崎市南⼭⼿町に2024年12月13⽇(⾦)に開業した『ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート(以下、ホテルインディゴ長崎)』をSDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の観点から今一度チェックしてみました。
長崎らしさを発見するたびに嬉しくなる、随所に散りばめられた工夫
このホテルのコンセプトは、「時空を旅する和‧華‧蘭ラビリンス」。築126年という古い歴史を誇る長崎のランドマーク『旧マリア園』をリノベーションして誕生したということで、外壁のレンガや、聖堂のステンドグラスをそのまま活かした設計がポイントです。ちなみに外観だけでなく、長崎らしい情景を彷彿とさせるモチーフは、館内の随所に散りばめられているのだとか。一つ一つ要素を発見するたび、長崎の魅力に触れることができそうですよね。


客室は、長崎の風景が描かれた屏風や、長崎県民に愛されている花・椿をあしらったインテリアになっています。


ロビーエリアは、かつての商⼈達が親交を深めた社交場をイメージしているそう。眼鏡橋をイメージした飾り台や、出島のモチーフとなった扇をイメージした絨毯などもあり、インテリアモチーフ探しだけでもワクワクしながら館内の散策を楽しめるのではないでしょうか。


ちなみに、長崎が洋傘伝来の地と言われていることから、開業時には「オープン・ザ・アンブレラセレモニー」を実施しています。地元の洋傘店が作成した長崎にゆかりのある柄をはじめ、ホテルを表現した柄が描かれた傘を“開く”演出をすることで、歴史を紡ぎ、未来への扉を開くことを表現しており、館内の装飾だけでなく、開業セレモニーからも、長崎の歴史や観光資源へのリスペクトが感じられます。
ホテル周辺には“さるく”ことを楽しめるスポットが満載
ここまで見てきたようにホテル館内で長崎らしさをゆったりと探し回るのも面白いですが、せっかくならば、周辺施設も押さえておきたいところです。


ホテルのスタッフからおすすめの周辺情報も聞くことができるそうなので、ネイバーフッドMAPを参考に散策してみてはいかがでしょう?なお、このように街をぶらぶら散策することを、長崎では “さるく”というそうです。ホテルスタッフとの会話を楽しみ、⻑崎らしい町並みや文化を気軽に味わう……これも醍醐味ですね。


また、ホテルインディゴ長崎で採用されているオリジナルイラストにもあるように、長崎は「尾曲がり猫」も有名です。なんと県内に生息する猫のうち79%も占めるほどだとか。そのルーツにも和・華・蘭文化が大きく影響しており、ネイバーフッドMAPを片手にホテル周辺をさるきながら、尾曲がり猫探しに講じてみるのもいいかもしれません。地図には載っていない地域の魅力や雰囲気が感じられるかと思います。
ディープなネイバーフッドツアーを通して、長崎の魅力にもっと浸る
ネイバーフッドMAPで緩く穏やかに地域の魅力を味わう。それよりも一層深く長崎を知りたいという人や、一人で散策するのには不安があるという人は、ぜひ長崎のローカルガイドが案内するネイバーフッドツアーも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。


『居留地路地裏さんぽ(南山手)』というコースでは、長崎の代表的な観光スポットであるグラバー園をはじめ、大浦天主堂周辺の隠れスポットを、現地のローカルガイドが丁寧に紹介してくれるそう。坂道の多いこのエリアの風景を楽しみつつ、実際に歩いてみることで、斜面地の暮らしをリアルに体感できるでしょう。


さらに『祈りの三角ゾーンと2つの世界遺産さんぽ』というコースの場合は、南山手エリアに存在する2つの世界遺産を巡るとのこと。途中で立ち寄る“祈りの三角ゾーン”と呼ばれる場所では、明治日本の産業革命遺産や長崎と天草の潜伏キリシタン関連遺産に触れられます。目に見える世界遺産はもちろん、目に見えない文化や背景にも思いを馳せられる内容です。
所要時間や料金、コース内容など自分に合ったコースを選択して、長崎の歴史や文化にじっくり向き合ってみたいですね。ホテルインディゴ長崎に早めにチェックインし、これらのツアーを楽しんだ後に改めてホテル館内をじっくり眺めてみると、冒頭お伝えしたような客室やロビーエリアに詰まったこだわりがより際立ちそうですね。ホテルの“さるきかた”が変わる気がします。
長崎さるくツアー
地域文化や観光の発信拠点としてのホテル
さて今回は、ホテルをはじめ、ネイバーフッドMAPやツアーについても取り上げました。『旧マリア園』の良さを現代の形にフィットする形で残したホテルインディゴ長崎、この場所を中心に、歴史ある南山手エリアの魅力がたっぷりと感じられたでしょうか。ホテルインディゴ長崎の例を見ていると、ただ滞在するだけの場所としてだけではなく、地域が幅広く愛されるきっかけとして機能しているように思います。こうした場所が誕生することで、地元の人々にとっては誇らしい気持ちになるでしょうし、他県や海外の人々にとっては親しみやすさを持って長崎を知ることができると感じました。地元民・観光客どの立場に立っても、「住み続けられるまちづくり」に寄与しているホテルを通して、街の魅力を体験してみたいところです。
執筆/フリーライター 黒川すい