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SHOW CASE

捨てるから循環へ──ジップロック®が仕掛ける新しいリサイクルのかたち


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに 12 つくる責任つかう責任
捨てるから循環へ──ジップロック®が仕掛ける新しいリサイクルのかたち

便利だからこそ短期間で捨てられてしまう——それが当たり前になっているプラスチック製品ですが、そんな課題に向き合う動きが広がっています。中でも注目したいのが、食品保存や日常の整理に欠かせないジップロック®を展開する旭化成ホームプロダクツの取り組みです。単なる環境対策にとどまらず、私たちの「使い方」そのものを変えようとしている点に特徴があります。

楽しみながら「持続可能な社会」を学ぶ

改めて、今回ピックアップするのは、旭化成ホームプロダクツが取り組む「ジップロック®リサイクルプログラム」に関する話題。このプログラムでは、使い終わったジップロック®を集めて別のプラスチック製品につくり替える……ということを行っているそう。例えば、私たちが使用したジップロック®が、ビニール傘やゴミ拾いトングとして生まれ変わる仕組みです。主に、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に当てはまる取り組みと言えるでしょう。ジップロック®=私たちの日常に馴染み深いアイテムを通して、「持続可能な社会」や「循環型社会」をより身近に楽しみながら考える……そんなきっかけとなりそうです。

「買う」から「みんなで使う」へ

「ジップロック®リサイクルプログラム」で生み出されているプラスチック製品の一つ、ビニール傘の例から詳しく深掘りしていきましょう。皆さんは、日本で年間8000万本(※1)ものビニール傘が使われ、簡単に捨てられているという事実を知っていますか?これまでの対策においては「回収して処理する」ことを中心に考えられていましたが、それだけでは限界があります。

そこで、そもそもの使い方を見直すことが重要です。本プログラムでは、ジップロック® ・テラサイクル・アイカサ・ BEAMS COUTUREの4者協働で、バッグタイプのジップロック®をリサイクルした傘のシェアリングサービスの運用を開始。「買う」から「みんなで使う」へと使い方を広げていったのです。ちなみに、このとき製作されたジップロック®リサイクル傘は、デザイン賞(Monocle Design Awards 2021)を受賞したのだとか。SDGsと聞くと、つい難しく身構えてしまいがちですが、使っていて楽しいデザイン性にまでこだわられていると、「持続可能な社会」への興味が持ちやすくなりそうですよね。

オリジナルのジップロック®トングを製作

また、ゴミ拾いトングも、本プログラムを通して誕生しているプラスチック製品です。実は、国内における地方公共団体、民間団体等において2018年度に回収された漂着ごみの量は、全国で約3.2万トンを記録(※2)。海洋環境への影響も深刻な状況となっていることが分かります。
この背景を受けて、海岸の環境清掃活動が全国的に盛んに行われるようになっているようですが、現場では参加者分のトングを用意する負担が課題となっています。そこで開発されたのが、容器タイプのジップロック®を再利用したオリジナルトングです。トングの持ち手部分に、ジップロックをリサイクルした素材が使われており、小さいお子様から年配の方まで使いやすいトングです。

「なんとなく使って捨てる」を止める第一歩

ここまで、「ジップロック®リサイクルプログラム」で生み出されたプラスチック製品にスポットを当ててきましたが、ジップロック®自体にも“いつもより大切に使いたい”と思わせてくれるような工夫が施されています。それが、「BEAMS COUTURE(ビームス クチュール)」とのコラボレーションで生まれた「リボン」デザインの製品です。

リメイクと手仕事をコンセプトに掲げるBEAMS COUTUREがデザイン監修し、過去に話題を呼んだコラボレーション商品「ジップロック®デザインバッグ リボン」を、次世代を担うアーティスト・雪下まゆ氏を起用した新しいデザインに刷新し、2 月 16 日(月)より全国販売を開始しました。

ジップロック®の代表的な使い方である食品保存はもちろん、ギフト・ラッピングシーンにまで取り入れたくなるようなデザイン性が印象的ですよね。透明な袋にリボンをあしらうことで、これまでの“キッチンでの食品保存用品”が“誰かに何かを贈るアイテム”へと変化しています。
さらに、アーティストを起用したビジュアル、新宿のビームス ジャパンで開催されていたポップアップショップなど、商品を体験として楽しめる工夫まで感じられるはず。こうした取り組みによって、「なんとなく使って捨てる」から「いつもより少し大事に使う」に意識が変わるのではないでしょうか。製品の回収と再資源化を行い、持続可能な生産・消費形態を目指している「ジップロック®リサイクルプログラム」以前の段階から、作り手の責任が宿っているようです。

環境に配慮することを「ちょっと楽しい選択」に

なお、今回ご紹介した「ジップロック®リサイクルプログラム」は、テラサイクルのホームページにアクセスし、アカウントを登録することで、誰でも参加が可能です。登録、そして回収は、利用者の自主的な参加に頼る部分が大きく、どれだけ広げられるかが今後の課題になるかもしれませんが、現在、教育機関や企業でも本プログラムへの参加が増えているのだとか。環境について学ぶ機会を作るという点で、SDGsの目標4「質の高い教育」にも繋がっていきそうですね。

旭化成ホームプロダクツのこうした取り組みは、「身近なものでも工夫次第で社会との関わり方を変えられる」ことを示していると言えるでしょう。特別なことをしなくとも、普段の生活の中で少し選び方や使い方を変えるだけで、循環に参加することができる。環境に配慮することを「我慢」ではなく「ちょっと楽しい選択」に変える——そんな発想こそ、これからのSDGsを進めるうえで重要なカギになりそうです。


執筆/フリーライター・黒川すい

※1:環境へ与える傘の廃棄問題 Environmental issue of Umbrella(サレジオ工業高等専門学校 デザイン学科 価値創造研究室)  
※2:「令和元年度海洋ごみ調査の結果について」(環境省, 2021)