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水の次に使われる枯渇資源の「砂」。その奪い合いは身近なものが原因?

水の次に使われる枯渇資源の「砂」。その奪い合いは身近なものが原因?

#SHOW CASE
  • 海の豊かさを守ろう
  • 陸の豊かさも守ろう

現在、世界では砂が不足していることをみなさんご存知でしょうか。この砂不足の問題は、2021年の年末に放送されたテレビ朝日系列番組「池上彰のニュースそうだったのか!!」でも取り上げられました。「水を大切にしよう」「空気をきれいにしよう」「森林を守ろう」といったことはよく耳にしますが、「砂を大切にしよう」はあまり聞いたことがないので、「砂不足なの?」と疑問に思われた方も多いかと思います。

しかし、砂も水や森林と同様に限りある貴重な資源です。そして、砂不足が問題になっていることは、世界では新常識として広く知られています。

プラスチックなどのゴミの削減や、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素の削減など、私たちは増えすぎて困っているものを減らすことに注目しがちですが、一方で、減って困っているものにも視点を広げなければいけません。次世代に正しい情報を伝えるためにも、新しい情報をアップデートして持続可能な社会の実現に取り組んでいきましょう!

【世界の新常識】世界中で砂が不足している!?…どうして?

世界で砂が不足しているといっても、「砂漠に砂がたくさんあるじゃないか」と思われるかもしれませんが、砂漠の砂は土っぽく土漠といわれ、砂が一番利用されるコンクリートに加工して使うことができません。そのため、多くの砂漠がある中東のドバイでも、世界一高いビルのブルジュ・ハリファの建設時にコンクリートの材料として使われた砂はオーストラリアから輸入したものでした。

日本においても、高度経済成長時代に川砂をたくさん採った影響で、事故や環境問題に発展してしまったため、川砂の採取が規制されました。そのため、現在はフィリピンやマレーシアをはじめとした海外から砂を輸入することになり、世界中で砂の争奪戦が起こっています。

砂は建物や道路を作るときなどのコンクリートに一番使われますが、実はそれ以外にも私たちの身の回りでは砂を利用しているものがたくさんあります。例えば、浄水場では水をきれいにするためのろ過技術で砂を利用したり、パソコンなどの電子回路などにも、砂の成分であるシリコンが使われています。
そして意外なところでは、今や私たちの生活に欠かせなくなったスマホにも砂が使われています。私たちが使っている資源で一番多いのが水で、二番目が砂だとも言われています。このように、私たちの身の回りでは砂が様々な用途に使われているのです。

砂がないとスマホが作れない!その理由とは?

「砂がないとスマホが作れない」というと驚かれるかもしれませんが、スマホの画面のガラス部分には砂が使われています。ガラスは珪砂という特殊な砂を熱で溶かして加工して作られます。そのため、砂がないとスマホが作れないというわけです。砂に変わる代替素材があればいいのですが、現時点では砂に変わる素材はなく、「砂は金にも勝る価値がある」なんてことも言われているようです。

現在、スマホの利用者数は約40億人と言われ、これは10年前の約4倍。なんと世界の人口の半分がスマホを利用していることになります。(※1)増えていく利用者に合わせて、スマホを製造するために砂をどんどん使い、今や砂不足は世界の常識となっています。

砂はあって当たり前のものではなく、水や空気と同様に貴重な天然資源の一つであること、近代化やスマホが普及したことで、世界中で砂不足が大きな問題になっていることを、私たちは情報のアップデートをしなくてはいけません。

※1 Strategy Analytics

【世界の新常識】えっ!?現在の石油大国はアメリカ?

同番組では、砂不足の問題のほかにも、世界の新常識として石油産出国についても取り上げていました。石油は燃料から素材としての利用まで、現在の私たちの生活に欠かすことができない重要な地下資源です。石油というと、中東のお金持ちの王様というイメージを抱きがちですが、もはやそれは昔の話になります。

実は現在の石油の産出国1位はアメリカになります。2013年頃までは石油といえば、サウジアラビアやロシアの産出量が多かったのですが、2010年以降からアメリカがシェールオイルの採掘を本格化、それまでは困難だったシェール層から原油や天然ガスを安定的に採掘できるようになった結果、2017年にアメリカが石油産出国1位になりました。

ただし、2020年は新型コロナウイルスの影響で、石油の採掘量が過去最大の落ち込みだったことも報道され、砂と同様に、石油も限りある大切な資源であることを私たちは常に意識する必要があります。

プラスチックなどのゴミの削減、二酸化炭素の削減と、増えて困ったことだけではなく、持続可能な開発目標項目の目標14「海の豊かさを守ろう」目標15「陸の豊かさも守ろう」にもあるように、限りある資源を減らさない、資源を守るといったことも、多岐に渡って考えていかなくてはいけません。

そして今私たちは、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークやオンラインミーティングなどの働き方や日常の生活様式など、これまでの生活が大きく変化しました。これまで常識とされていたことが現在も正しいとは限りませんし、逆に、これまで非常識とされていたことが、常識になるかもしれません。
​環境や時代の変化に合わせて、​情報をアップデートしながら、持続可能な社会を実現するために行動することが​​私たちにも​求められているのではないでしょうか。

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