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2024年度から「1人1,000円」徴収される日本の新しい国税「森林環境税」とは

2024年度から「1人1,000円」徴収される日本の新しい国税「森林環境税」とは

#SHOW CASE
  • 陸の豊かさも守ろう

各地で開発が進む日本。新型コロナウイルスがようやく季節性インフルエンザと同類になったことで、街はにぎわいを取り戻し、新しい商業施設やレジャースポットが続々とオープンしています。しかしそれは、森林破壊につながる可能性もあるのです。

森林破壊は、開発のために伐採されることなどによって進み、動植物の生態系から、人間の生活にまで影響が出てしまいます。森林破壊の問題は世界でも注目されており、2023年4月、森林破壊に関係した農産物などのEU内への輸入を禁止する「森林破壊禁止法」が欧州議会で承認されました。これは、牛やカカオ、木材などを扱う企業は、生産もしくは調達する原材料が作られる場所で「森林破壊を引き起こしていないこと」、もしくは「森林破壊が進んでいない場所から生産していること」を証明することが求められる法律です。

1人1,000円徴収される?!日本の「森林環境税」

2024年度から、日本で新しい国税「森林環境税」が創設されることをご存知でしょうか。森林環境税は、住民税として「年間1人1,000円」を市町村が賦課徴収するものです。温室効果ガス削減への目標達成や、災害の防止を図るためなどの森林設備に必要な財源を確保するために充てられます。

日本は世界の先進国の中でも有数の森林大国です。国土の約7割を森林が占めるにも関わらず、林業就業者の不足が問題視されており、所有者や境界の不明な土地により、経営管理や整備に支障をきたしています。また、木々がなくなってしまうと、雨が集中的に降った際に洪水が起きやすくなったり、温室効果ガスの増加により干ばつが起きやすくなります。
このような現状に加え、パリ協定の枠組みにおける“二酸化炭素の排出量を削減する”という目標達成のため「森林環境税」は創設されました。

日本では、環境を守るために導入されている「環境税」が複数あります。
地球温暖化対策を図るために2012年に導入された「地球温暖化対策税」は、エネルギー製品に対する課税の一種です。ガソリンや灯油が一例で、化石燃料の利用者に対して、CO2排出量に応じた税率を石油石炭税に上乗せする形で徴収されています。
産業廃棄物の焼却施設や最終処分場への搬入に対して課税される「産業廃棄物税」は、廃棄物を出さないようにリサイクルを促進するためなどに導入されました。自治体によって課税方式や課税の有無が異なることも特徴です。

この他にも、沖縄には「美ら島税」という、名前の通り美しい沖縄の風景を保つための税金があり、山梨には、河口湖の環境保全を目的とした「遊漁税」があるなど、様々な地域で環境を守る「環境税」が存在しています。

温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す、世界の環境税とは

森林環境税のような環境に関する税金は、日本だけでなく世界中に存在しています。それは、地球温暖化の原因である温室効果ガスの削減、「実質ゼロ」を目指すためです。
例えば、フィンランドやポーランドでは、「炭素税」が1990年から導入されました。日本では、先述した「地球温暖化対策税」がこれに該当します。しかし、先進国以外では導入が難航しており、国や地域ごとで税の使い道や制度にばらつきがあり、場合によっては免除されるなど、内容を統一することが難しいのも課題のひとつです。

イギリスは、2008年に「気候変動法」を改正し、2050年までにCO2を少なくとも80%削減することを目標に設定しました。その核となる制度として、「気候変動税」が導入されました。税金は再生可能エネルギーへの投資などに使われており、この「気候変動税」の導入により、燃料や電力の使用率が減っています。さらに、電力量の再生可能エネルギー使用率が40%を超えるなど、イギリスは着々とエコな国へと発展しています。

環境税は環境問題を解決してくれるのか?

日本でも、海外でも導入されている環境税。
住み続けられるまちづくりをするためには、今の世界ではなくてはならないものです。地球温暖化や森林破壊、異常気象など、わたしたち国民は様々な問題を「環境税」で食い止めようとしています。
しかし、「環境税」を払うだけでなく日頃からSDGsへ意識を向け、自分たちで環境を守ることが大切です。
リユースやリサイクルに積極的になる、プラスチックごみを出さないように配慮するなど、日常でもできる活動から始めてみませんか?

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