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空間を自在に更新し、柔軟な働き方に対応|「KICHI+」が提案する新しいオフィスの在り方


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空間を自在に更新し、柔軟な働き方に対応|「KICHI+」が提案する新しいオフィスの在り方

働き方やオフィスのあり方が変化し続けるなか、空間そのものを柔軟に更新できる家具が登場しました。小松ウオール工業と乃村工藝社が共同開発したユニットファニチャー「KICHI+(キチタス)」は、工具不要でレイアウト変更が可能。ユーザー自身の手で空間を再構成できる、新たなオフィスのあり方を提案します。

使い手の発想で広がる“成長する基地”

「KICHI+」は、働く⼈々の「基地(KICHI)」になるよう、いつもの居場所を⾃由に拡張しながらユーザーとともに成⻑していくことを⽬指したもの。⼯具不要で、直感的な操作で棚板の⾼さが変更可能なオリジナルの「スナップボタン⽅式」を採⽤しており、使⽤環境や⽤途の変化に柔軟に対応することができます。このような特徴から、セットアップオフィスをはじめ、商業施設・ホテル・⼯場などのバックオフィス、教育・研究機関の執務エリア・研究室・アトリエなど、変化に柔軟な働き⽅や、専⾨性・プロジェクト性の⾼い働き⽅を特徴とする場所への導⼊が想定されています。

シェルフは幅 2400mm の⼤きなスパンと細いフレームにより、空間に抜け感を⽣み出しなじみやすいデザインに。⼀⼈でも集中しやすく、⼈と⼈が⾃然に交わりやすい⼨法とすることで、個の作業とコミュニケーションの両⽴を実現しています。壁で区切ることなく居場所を確保し、奥まで⾒通せる⼀体的な空間の中で、活動を緩やかに分けることができるーこうした仕様がユーザー同⼠の⾃然なコミュニケーションを⽣み出し、場を活気付けることで、よりよい働き⽅やウェルビーイングの向上に期待ができます。

変化する働き方に応える、空間の可変性という発想

今回のプロジェクトは、乃村⼯藝社の社内研究開発組織「未来創造研究所」の事業として始動したもの。同研究所は、未来のオフィス像をリサーチする中で、組織の成⻑や活動内容の変化、働く場の多様化に伴い、オフィスの運⽤改善や改修への投資が発⽣している現状に着⽬しました。こうした時代の変化を背景に、現代のオフィスに求められるのは、⼈が⾃然と集まりたくなる「場(プレイス)」を⽣み出すことであり、そのためにはユーザー⾃⾝の⼿で空間を再構成できる可変性が不可⽋であると考えたのです。

⼀⽅、⼩松ウオール⼯業は、移動間仕切やトイレブースなどを通じて、⻑年にわたり空間を機能的に仕切る技術を磨いてきました。両社で検討を重ねた結果、収納性と可変性を兼ね備え、空間に緩やかな境界を⽣み出せる「シェルフ(棚)をベースとした什器」が最適であるとの結論に⾄り、⼩松ウオール⼯業が有する⾼度な製作・施⼯技術と融合させることで、製品化が実現しました。

共創空間で実装される新しいオフィスのかたち

ユーザー自身が空間を柔軟に更新できる「KICHI+」の設計は、働き方の多様化や快適性の向上を支え、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に貢献します。また、工具不要でレイアウトを変更できるユニットファニチャーという新たな発想は、空間づくりにおける技術革新として、目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」にもつながる取り組みです。

「KICHI+」はすでに、「KGU オープンイノベーションスクエア“HAMARISE”」に導入されています。この施設は、関西学院大学が企業と協働し新たな価値創出を⽬指す共創空間。ここで「KICHI+」は、教育研究拠点として求められる事務デスクとしての基本機能に加え、展⽰・収納にも対応する可変性、⼤学研究者や企業開発者をはじめとする利⽤者同⼠のコミュニケーションや共同作業を柔軟に⽀える点が評価されています。

空間を固定せず、使い手自身が更新していくという発想から生まれた「KICHI+」。それは単なるオフィス家具ではなく、働く場のあり方を問い直し、再設計していくためのプロダクトです。変化を前提に、柔軟性が求められるこの時代。今後はこの「KICHI+」を、様々な場所やシーンで見ることになるかもしれません。


執筆/フリーライター Yuki Katagiri