広がるSDGsの取り組み 18個目の目標は存在するのか
SDGs(持続可能な開発目標)が採択されたのが、2015年9月。今年で7年目を迎え、今や数多くの自治体や企業で持続可能な社会を目指して17個の目標達成に向けて取り組みを行っています。
そんな中、トヨタ自動車の「さらに、すべての人に感動を」やベネッセの「超高齢社会」など、現在設定されている17個のゴールだけでなく、新たな問題解決を目指す目標として、18個目のゴールを掲げる企業や団体もあります。
なぜ、17個目の目標が設定されているのに18個目のゴールを独自で考えているのか。
今回は、なぜこのような動きが出ているのかを紐解き、今問題視されているLGBTQ問題などを踏まえ、今後必要になってくるであろう18個目の目標を考えていきたいと思います。
世界が抱える問題は17のゴールに収まらない
2015年9月、国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」。そこには、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための、17個のゴールが設定されています。
17個のゴールには、貧困や飢餓、環境問題の解決、ジェンダー平等などがありますが、これらの目標では現在の社会、また今後の社会が抱える問題を網羅できないのではないかと考える動きがあるのも事実です。実際に、独自で18番目のゴールを掲げ、取り組みを行っている企業もあるようです。
実はSDGsに含まれていない!LGBTQ問題
SDGsにはジェンダー平等が盛り込まれていますが、言及されているのは男女の平等に留まります。昨今、LGBTQの権利が叫ばれているにも関わらず、国連が発表しているSDGs本文、持続可能な開発のための2030アジェンダ、今年の「持続可能な開発目標(SDGs)報告2022(The Sustainable Development Goals Report 2022)」のいずれにおいても、LGBTQコミュニティに関する明確な言及はありません。
その主な理由として依然としてLGBTQの権利に関する国際的なコンセンサスが得られていないからだと考えられています。
よりよい社会を目指して…考えられる18番目の目標
LGBTQの権利以外にも、解決すべき社会問題はまだまだあると思います。
1.「すべての人の心に希望を」
SDGsには、メンタルヘルスに関して具体的に言及されているゴールはありません。辛い精神疾患を抱える人や、病名がつかなくとも、ストレスや不安感に襲われる精神状態の人は多く、世界保健機関(WHO)の発表では、世界でうつ病患者3億人を上回り、うつ病から年間約80万人が自殺していると言われています。
現状を打破するために、すべての国でメンタルヘルスの概念を定着させ、メンタルヘルスの医療専門職の動員を確保すること。これも持続可能な開発目標に入れて、幸福感や希望が溢れる暮らしを目指したいものです。
2.「違法薬物を取り締まろう」
国連の広報センターによる調査結果では、世界で約2億人もの人が、過去に一度以上薬物を使用したことがあると報告しています。薬物の使用により、人生の歯車が狂ってしまった人が少なくないのは周知の事実です。
薬物の原料となるアヘン、ヘロインの栽培が行われている国に対し、より厳しいルールを定めるとともに、対象物の生産者の逮捕や生産物の押収の徹底すること。そして、薬物に関する教育を行うこと。これらも、よりよい世界を築くために欠かせないことではないでしょうか。
3.「お祭りを楽しみ、文化を共有しよう」
お祭りの一体感、高揚感を味わったことがある人は多いはず。世界各地にはさまざまなお祭りがあり、地域に活力を生み出しています。
そこで、各国が力を合わせて地域・国の特産品や芸術・文化をアピールすべく、大きな祭りを開催。祭りを通じて各国の魅力を知ることで海外・国内旅行を促進し、地域を活性化するのも、持続可能な開発に繋がりそうです。
2010年に第1回目が開催された世界でも注目されている瀬戸内国際芸術祭では、経済波及効果は2010年の時に111億円。2016年には139億円まで上がりました。実際にこの芸術祭の取り組みによって、2014年に休校となっていた小中学校が3年ぶりに再開しました。
4.「目があったらあいさつ」
以前、吉本芸人さんとSDGs MAGAZINEがコラボした「よしもと×SDGs MAGAZINE 公開番組収録イベント」にて18個目の目標を聞かれた際の剛力彩芽さんの回答です。「最近は隣近所でも挨拶が減りましたけど、やっぱりコミュニケーションは大切です」と人との繋がりの大事さを伝えてくれました。コロナウイルスの影響でテレワークが増え、対面でのコミュニケーションは減っています。実際、転職サイトRe就活が20代を中心とした登録者を対象にアンケートを行ったところ、テレワークを希望する75%が週1回以上の出社を希望、と回答しており、理由のほとんどを占めているのが、やはり対面でのコミュニケーションに関するものでした。
イベントの詳細はこちらをご覧ください。
あなた、わたしの18個目の目標
17個の目標は、社会が抱える問題を完全に網羅しているとは限りません。隠れていた課題が見えてきたり、新たな問題が出てくることもあるでしょう。よりよい未来を目指すSDGsの取り組みが盛んな今こそ、一人一人がSDGsについて考え、18個目のゴールを自分なりに探していくことが大切なのかもしれませんね。