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ビジネスとSDGsの関係。企業と環境社会の相互利益を考える


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任 13 気候変動に具体的な対策を
ビジネスとSDGsの関係。企業と環境社会の相互利益を考える

2021年、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が実施したアンケートによれば、SDGsを認知、実際に何らかの取り組みをしているという企業は75.1%。2019年から増加傾向にあり、着実に日本企業に浸透していることが分かります。
知らない人がいない程に浸透したSDGsは、啓発の段階を終えたと言えるでしょう。そんな今、ビジネスにおけるSDGsの定義を改めて理解することが求められています。

今更聞けない、SDGs経営って何?

言葉の通り、SDGsの理念を経営に取り入れることを指しますが、CSRのような企業のボランティア概念とは異なり、SDGs経営はビジネスと社会問題の解決の両立を目指すものを指します。持続可能な社会を実現するためにこれまでの事業やサービスを軌道修正し、収益面でも成長しながら、SDGsが掲げるゴールを目指します。
これを定義としたときに、実際どれくらいの企業が当てはまるのかというと、数値の75.1%を下回る可能性が示唆されています。調査のレポートで分かったことが「現在行っている事業の『良い面』を見つけ出し、SDGsの17の目標に紐づけているだけ」という企業も見受けられました。SDGs経営を実現するためには、SDGsのゴールに紐づけて事業のポジティブな面を評価するのではなく、ネガティブな影響も客観的に把握することが求められているとのこと。

なぜSDGs経営が必要なのか

変化する地球環境でビジネスの根幹が覆りつつある近年。これまで世界は大量生産・消費・廃棄のサイクルで、経済発展を遂げました。しかし、このサイクルは今、地球に負の変化をもたらし、社会に大きな影響を与えています。例えば、異常気象に伴う台風の大型化による社会システムの麻痺、コロナウイルスのまん延によるロックダウン、など環境問題、社会問題が原因で経済が停止した事例が挙げられます。
これまでは「健康な地球」「健全な社会」が基盤にあり、その上にビジネスが成り立つという当たり前だったことが、変わりつつあります。今更ですが、地球の恵みは有限であり、これからのビジネスは、循環型経済に向けて環境や社会問題の解決を促進することが求められています。

循環型経済に向けて行われる発想の転換

日本を代表するスポーツメーカーであるアシックスもSDGs経営に取り組んでいますが、現場レベルで今まで以上に発想の転換が必要になってきているとのこと。『シューズのデザイン・設計において、定型のサイズがある一つの生地を可能な限りロスなく使いきることも意識しています。生地の裁断にあたって、一つの生地からより多くのパーツが取り出せるように形を工夫します。さらに、その形のまま裁断するのではなく、“分割してあとでくっつければ余りが少なくなるのでは?“という発想で効率よく布を使いきる、一つの生地から少しでも多くのパーツを取り出すことを考えています。このような工夫は原価コストを抑えることにつながるとともに、材料の廃棄を減らすことでの環境配慮とも両立がされていると私達は捉えています。

このように、SDGsに配慮しつつも自社にとっても利益を生む方法がSDGs経営のプロトタイプといえるでしょう。生地の無駄を無くすなんて当たり前と思うかもしれませんが、現場レベルで一人一人が事業と地球環境の両方を良くしていくために考えたからこそ生まれた生産方法であり、トップダウンでSDGs経営を行っていたとしたら、アシックスの今回のような発想は出てこなかったかもしれません。おそらく、「環境に良いからやりましょう」だけでは社内を説得するのも難しいと考えます。これまで使用していた型や生産ラインを変える工数に比べ、どれだけCO2が削減できて、どれだけ原価も抑えられるのか、メリットを説明し、納得して実践する。そして、納得しているからこそ、続けていける。発想だけではなく、実践にこぎつけ、続けることまでを考えると、単なる製造方法の見直しとは一変したといえます。

「本当のSDGs経営」

SDGsが浸透していると感じる一方で、実際にビジネスではどう生かされているのか。その取り組みは持続可能なのかを今一度振り返る時期なのかもしれません。自社にも利益をもたらしつつ、SDGsの目標を達成しうる取り組みがこれからの社会に求められています。自社利益が無い状態でのSDGsの取り組みでは、その持続性を問われる可能性を秘めています。