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【藝大卒展で話題】性暴力被害者に向けられた言葉のくじ引きに7万いいね、その理由とは

【藝大卒展で話題】性暴力被害者に向けられた言葉のくじ引きに7万いいね、その理由とは

#TREND
  • ジェンダー平等を実現しよう

3月8日は国際女性デー。ジェンダーギャップについての関心度も高まる月であり、卒業シーズンでもあります。しかし、ジェンダーマイノリティのエンパワーメントを発信した新聞広告への賛否や、同性婚や公共トイレにまつわる行政の動きへの不安の声などをみると、本質的な課題認識がなかなか社会に浸透してないこともわかります。
そんな中で、東京藝術大学の大学院生の「風の噂」という修了作品がTwitterで7万いいねの話題になりました。一見、鮮やかな抽選器ですが、実は2022年に報道された性暴力被害の記事に対する、ネットコメントから集めた「被害者を形容する言葉」がくじとして投入されています。周囲から与えられるイメージを選べない当事者の状況を追体験するくじ引きという行為を通して、“性暴力被害者を取り巻く社会の空気”を鑑賞者はどう感じたのでしょうか。

編集部撮影:第71回 東京藝術大学卒業・修了作品展の神谷絢栄氏の作品「風の噂」

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※性暴力をテーマに扱った作品です。性暴力被害者を取り巻く社会の現状について伝える為に、作品内に二次加害的発言の描写があります。フラッシュバックなどの症状がある方が鑑賞を行う際には十分にお気を付けください。(作者キャプションより)

7万いいねの話題、記事へのネットコメントから集めた「被害者を形容する言葉」のくじ

このカラフルなくじには、何が書かれているのか想像がつくでしょうか。くじの中には「あなたには未来がある」という言葉もありました。鑑賞者多くの方に様々な感情を抱かせる、普段なら楽しいくじ引きという体験に化けたおぞましい抽選器です。

1番多く寄せられたのは「可哀想」。次に「気の毒」「悪い」「無防備」

無意識のうちに被害者へのイメージができあがっていき、風で沸きたつような軽さで発された言葉。塵も積もれば山となるように、無責任にはき捨てられたくじの残骸。くじに封じ込められたネットコメントの意味を、あなたはどう捉えますか?

編集部撮影:被害者を形容するために最も多く用いられた言葉
編集部撮影:「よかったら白紙のくじを作っていって下さい」という説明書きも

女性の14人に1人、男性の100人に1人が性暴力被害に

性暴力は、女性だけでなく男性の被害も報告されています。厚生労働省によると、なんと女性の14人に1人、男性では100人に1人が性暴力被害に遭ったことがあるという調査結果が出ています。さらには性暴力被害に遭った方のうち、女性の6割、男性の7割が「誰にも相談していない」という事実も。その理由として最も多かったのは「被害に遭ったことが恥ずかしい」という感情でした。被害者を恥ずかしいという気持ちに追い込む社会への違和感を忘れてはいけません。

画像出典:内閣府 男女共同参画局

性的暴力の被害者に対する暗黙の非難に立ち向かう

2022年7月11日から8月31日にかけ国際連合本部で開催されたRiseとSpotlight Initiativeによる展示会「あなたは何を着ていたか?」では、性的暴力のサバイバーが襲われたときに着ていた服を、勇気をもって展示することで、その問いの込められた被害者への暗黙の非難に立ち向かい、反論しています。

実際に犯罪に関わっていないと思っていても、発した言葉で誰かを傷付けるような偏った考え方になっているかもしれない。SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するためにも、一人ひとりが言葉の重さや鋭利さを意識する意味を再確認させられます。

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