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マグロが安くなる?!“海のダイヤ”クロマグロの漁獲枠拡大!海の資源の大切さを考えよう

マグロが安くなる?!“海のダイヤ”クロマグロの漁獲枠拡大!海の資源の大切さを考えよう

#SHOW CASE
  • 海の豊かさを守ろう

太平洋でとれるクロマグロの資源管理を協議する国際会議が、今月北海道釧路市で開催され、焦点となっていた太平洋クロマグロの漁獲枠が拡大されることが決定しました。今年の秋以降に漁獲枠を正式決定し、2025年以降から適用される見通しです。
今回は、日本近海から北米大陸西海岸を広く回遊する国際資源「太平洋クロマグロ」について理解を深め、資源管理の重要性を考えてみましょう。

太平洋のクロマグロの資源量が回復傾向に

日本をはじめ、アメリカや韓国、台湾など16の国と地域の代表が参加した今回の国際会議では、日本の近海を含む太平洋の中西部でのクロマグロの漁獲枠を、30キロ以上の大型はこれまでの1.5倍に、30キロ未満の小型は1.1倍に増やすことで合意しました。大型魚の増枠での合意は3年ぶり、小型魚は初めてとなります。
太平洋でとれるクロマグロの資源量が回復傾向にあることから、大型は今の2.31倍に、小型は30%増やす提案をしていた日本でしたが、メキシコなど他国が慎重な意見を示したようです。とはいえ今回の漁獲枠増の合意は、国際的な資源管理の努力が実を結んだ形です。

日本は世界有数のマグロ消費大国であり、太平洋クロマグロの一大漁業国です。世界で生産されるマグロの約4分の1を日本人が消費しているとも言われています。

高値で取引されることから“海のダイヤ”とも呼ばれるクロマグロは、日本の過剰な乱獲などによって、その資源量は一時危機的な状況に陥り、近年は最低水準にありました。そこで2015年から、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)において漁獲規制が導入され、厳しい資源管理の取り組みがされてきました。
WCPFCの決定を受けて、日本国内でも、沖合漁業や沿岸漁業に小型マグロの漁獲量を半減させる数量規制や、大型魚の水揚げを抑制する措置がとられてきたのです。

未来の漁業を守るための「TAC制度」って知ってる?

日本では1997年から、漁獲量がその数量を上回らないようにする「TAC制度」を導入しています。TACとは、Total Allowable Catch(漁獲可能量)の頭文字です。水産資源の維持のため、特定の魚種ごとに年間で捕獲できる総量を定めたもので、漁獲量そのものを数値で直接的に規制する画期的な制度です。

TACの対象魚種を選定するにあたり、水産庁が示した選定基準は以下の3つです。
1.漁獲量が多く、経済的な価値が高い魚種
2. 資源状況が極めて悪く、緊急に保存・管理を行うべき魚種
3.我が国周辺で外国漁船により漁獲が行われている魚種

TAC制度の対象魚種は、クロマグロ、サンマ、スケトウダラ、マアジ、マイワシ、サバ類(マサバ、ゴマサバ)、ズワイガニ、スルメイカの合計8魚種です。クロマグロは2018年に追加されています。

今年からクロマグロ遊漁の管理体制も強化

前述した通り、クロマグロはWCPFCによって決定した国際的な資源管理措置に基づいて、漁業者に対して厳格な数量管理を実施しています。水産庁は、「遊漁についても一定の管理を行う必要性が生じてきた」として、2021年6月から、広域漁業調整委員会指示による規制が導入されました。「遊漁」とは、レクリエーションのために水産物を採捕することをいいます。レジャーとしての釣りや、一般釣り人専用の釣り船などが該当します。

そのクロマグロ遊漁の管理体制が今年4月からさらに強化されています。具体的には、これまでクロマグロを陸揚げした日から5日以内に採捕の報告をする必要がありましたが、それが3日以内に短縮されました。違反が確認された場合の対応も厳しいものに変更されています。

また、時期別採捕数量のルールも変更になりました。まず小型魚(30キロ未満)は採捕禁止で、「釣れたら直ちにリリースすること」とされています。30キロ以上の大型魚のキープは1人1日1尾までで、1尾キープした後に別のクロマグロが釣れたら、後に釣れたクロマグロは直ちにリリースすることとなっています。

画像出典:クロマグロ遊漁の周知ポスター(水産庁)

日本で食べられているマグロの種類

一口に「マグロ」と言ってもいろいろな種類があるのはご存知かと思います。日本で食べられているマグロは主に、クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガ(ビンチョウ)の5種類です。マグロの中でも最高級品とされる太平洋クロマグロは「本マグロ」とも呼ばれ、最高級の寿司ネタです。日本では「ハレの日」に食べる特別な食材です。

東京・豊洲市場で行われる新春恒例マグロの初セリは毎年注目を浴びますよね。今年1月の初競りでは、青森県の大間で水揚げされた重さ238キロのクロマグロが1億1424万円で競り落とされました。1億円超えは4年ぶり、過去4番目の高値だそうです。

すべての生命の源である海は、地球の表面の約70%を占めています。海洋は広大ですが、無限でないこと、水産資源にも限りがあることを忘れてはいけません。日本の食文化を象徴する大切な魚「クロマグロ」を、これからもありがたく美味しく食べること。それも私たち消費者の重要なアクションのような気がしませんか。


執筆/ フリーライター こだまゆき

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