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多様性重視で医療機関の常識を覆す:ゴリラクリニックの挑戦


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう 8 働きがいも経済成長も
多様性重視で医療機関の常識を覆す:ゴリラクリニックの挑戦

身だしなみは個性を表現し、仕事の現場でも印象を左右する要素ですが、特に医療業界では自由度が課題となっています。

本記事では、以前SDGs MAGAZINEでもご紹介した、男性専門の総合美容クリニック「ゴリラクリニック」が2024年1月に実施した身だしなみ規定の改定について、改めて背景やその後の変化について解説します。
さらに、ゴリラクリニックにて行われた、本取り組みが改定後9カ月間でどのよう浸透したのかという調査結果もご紹介します。

ゴリラクリニックによる身だしなみ規定改定の背景と内容

ゴリラクリニックは2024年1月、従業員が自分らしく働ける環境を目指し、「身だしなみ規定」の改定を実施しました。この改定は、多様性を尊重しながらも医療機関としての信頼性を維持することを目的とし、従業員の個性を活かした柔軟な働き方を目指すものです。

改定の背景には、医療機関の厳しい身だしなみ規定が、多様化する価値観にそぐわず、従業員の働きがいやモチベーションに影響を与えていたことと共に、患者が医療現場に安心感と信頼感をもって来院してもらえるよう、現代の価値観に合わせた職場環境の整備が必要だと判断されたことも理由の一つです。

具体的な改定内容としては、髪色制限をなくしたり、ネイルやアクセサリーの着用規定を緩和するなど、スタッフの自分らしさを尊重するものでした。その上で医療機関として衛生面は徹底的に考慮し、一部の職種では制限を設けるなど、柔軟性と安全性が両立するよう工夫されています。

改定から9カ月後の調査結果

身だしなみ規定の改定から9カ月が経過した2024年10月、ゴリラクリニックは、職場がどのように変わったのか、患者満足度調査を実施しました。

調査は、全国の来院者800名を対象に、医師・看護師・カウンセラーのスタッフに対する身だしなみの満足度を1点から10点で評価してもらう形式で実施され、その結果すべての職種で平均9点という高評価を獲得する形となりました。

患者からは「スタッフの対応が自然で、安心できる」といったコメントが寄せられ、今回の改訂が患者に対しても好影響を与えていることがわかりました。

また、従業員の約83%が「身だしなみが自由になって働きやすくなった。嬉しい」と回答し、職場での自己表現が促進されたことで、仕事に対するモチベーション向上に繋がりました。

このように、今回の改定は患者と従業員の両方にポジティブな影響をもたらしており、医療機関の新しいスタンダードを築く取り組みとして、注目を集めています。

医療業界への挑戦と影響

従来、医療機関では衛生面や安全性を最優先し、厳しい身だしなみ規定が設けられていましたが、今回のゴリラクリニックの身だしなみ規定改定は、医療業界における新たな挑戦と言えるでしょう。

ゴリラクリニックの取り組みは単なる院内改革ではなく、医療業界全体への波及効果が期待されています。他の医療機関でも、同様の規定緩和が検討され、業界全体で多様性を重視した働き方改革が進むきっかけになるかもしれません。

従業員が自分らしく働ける環境を整えることで、患者に対する接遇の質が向上し、安心感や信頼感を与える医療サービスが提供できることにつながります。

今回のゴリラクリニックの取り組みは、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」の達成に貢献し、経済的にも社会的にも持続可能な未来を実現する一例になったのです。

今後の展望

ゴリラクリニックの身だしなみ規定改定は、従業員が自分らしく働ける環境を整えることで、医療機関としての価値を高める大きな改革でした。今後、医療業界全体でこうした多様性推進の動きが広がり、スタンダードとなることが期待されます。

ゴリラクリニックの先進的な取り組みが他業界にも波及し、より多くの職場で「働きがい」を実現する良いモデルケースとなるでしょう。