『ホテルインディゴ長崎グラバーストリート』開業、今と昔の文化が交錯する唯一無二の体験を
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国選定の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている長崎県⻑崎市南⼭⼿町。この地に2024年12月13⽇(⾦)『ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート』がオープンしました。築126年の歴史を誇る長崎のランドマーク『旧マリア園』をリノベーションして誕生したホテルで、多様な文化を体感できる場所として今後注目を集めそうです。外壁のレンガや、聖堂のステンドグラスも一部は当時のまま活かしており、長崎らしい情景を彷彿とさせるモチーフが館内の随所に散りばめられているのだとか。そんな『ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート』を、SDGsの目標11にもある「住み続けられるまちづくりを」という観点からチェックしてみました。
長崎の街を“さるく”感覚でホテルを楽しむ
長崎港が1571年に開港して以来、西洋や東洋、あらゆる国から人とモノが交差し、独自の文化を発展させてきた長崎。日本の「和」、中国の「華」、オランダの「蘭」の個性が溶け合った「和・華・蘭(わからん)文化」は、この地ならではのDNAとも言えるでしょう。ホテルでは、「時空を旅する和‧華‧蘭ラビリンス」をコンセプトに掲げています。
館内は、かつての商⼈達が親交を深めた社交場をイメージしたロビーエリアはじめ、異国の雰囲気を感じさせるモダンな設えに仕上がっていました。眼鏡橋をイメージした飾り台や、出島のモチーフとなった扇をイメージした絨毯もポイントです。
客室は本質的な居心地の良さに加えて、長崎の風景が描かれた屏風や、長崎県民に愛されている花・椿をあしらったインテリアなどが置かれており、異国情緒あふれるモダンな空間に仕上がっていました。海側に位置するプレミアタイプのお部屋には、前身の姿を残す天井の形や趣深い白いアーチ窓が設置されており、長崎湾を眺めながらふと聞こえる汽笛がさらなる寛ぎと非日常感を演出する空間で、かつての長崎に想いを馳せる特別なひとときを楽しむことができます。
旧マリア園の聖堂の雰囲気が残るレストランで感動の食体験
そして改めて、『旧マリア園』についても深掘りしておきたいところ。マリア園は、築126年=1898年に建設され、赤レンガ造りの修道院としてスタート。地域住民にもシンボルとして広く認知され、長く愛されている建造物となっています。中でも特に印象的なのは、聖堂です。大きなステンドグラスを入れられるように、リブ・ヴォールト天井という様式を採用したロマネスク様式の厳かな堂内が特長で、明るく柔らかい光が差し込む様子はとても神秘的です。
この聖堂の空間を最大限に引き出したのが、レストラン『Restaurant Cathedréclat(カテドレクラ)』。美しく煌めくステンドグラスに、約10mもの天井高……うっとりしてしまう要素が満載です。
レストラン『Restaurant Cathedréclat』では、「新たな異文化が交わるガストロノミー」をサービスコンセプトに、長崎の伝統的な文化である和・華・蘭の要素を取り入れた食体験が可能とのこと。異文化が交差する面白さを五感で味わえる革新性が魅力的。シグネチャーコース「Blanche」では、長崎の旬の魚介をはじめ、長崎和牛のパイ包焼きや長崎で〆に好んで食べられるおにぎりを使ったお茶漬けなど、全6品に舌鼓を打てるそうです。
街をぶらぶら散策することを、長崎では “さるく”というそうで、ホテル館内はまさにその感覚を味わえる工夫が盛りだくさん。どこを歩いていても⻑崎らしい町並みや文化を軽に感じることができそうです。
歴史的建造物の再活用を通して地域文化や観光の継承に貢献する
『ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート』の一番のポイントは、歴史的建造物を再活用しているところかと思います。『旧マリア園』の良さを、現代の形にフィットする形で残すことで、地域文化が一層豊かに根付いていくように感じられますよね。地域の方々にはもちろん、国内外問わず長崎に足を運ぶ観光客にとっても、歴史ある南山手エリアを知り、愛されるきっかけとなるような親しみやすい存在として定着していくのではないでしょうか。
資源の循環という面でも環境にやさしいと言えそうです。歴史的な価値を含む重厚感とともに長く大切に一つのものを使い続ける尊さを実感します。
ホテルでゆったりと過ごし、レストランで地元の文化を反映させた食事を味わうことを通して、地域の魅力を再発見できるでしょう。加えて『ホテルインディゴ⻑崎グラバーストリート』を拠点にしながら、周辺のエリア“ネイバーフッド”を巡ることで、街全体のここにしかない魅力を体験できるはず。
なお、開業日から2025年3⽉31⽇(⽉)の期間は、開業記念宿泊プランも販売されています。開業記念プラン第2弾として、10%オフと3,000円のホテルクレジットがついた宿泊プランで、この機会にぜひ宿泊体験と長崎を“さるいて”みたいものですね。
開国後、世界各国から貿易商人や宣教師たちが降り立ち、洋館や教会、またイエズス会の修道院(マリア園)などを建造し、居留地が形成された長崎。迷路のように入り組んだ坂の街並みのなか、和・華・蘭文化の深みを感じ、この街の虜になってしまいそうです。
執筆/フリーライター 黒川すい