【世界こどもの日】離婚後のパパママと考える子どもの養育費
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養育費保証サービス「養育費保証PLUS」を運営する株式会社Casaが、国際記念日として制定されている11月20日の「世界こどもの日」に先立ち、11月15日、『離婚後のパパママと考える子どもの養育費座談会』を開催しました。
養育費をもらう側、払う側、それぞれどんな思いがあるのか。互いに考えを聞き、養育費の問題点や、必要なことは何なのかを改めて考える機会となりました。
ひとり親世帯の3人に2人が受け取れていない養育費
Casaは、養育費問題や子どもの教育格差、体験格差などの貧困問題に関して、ひとり親世帯のサポートを行っています。
実は、離婚後のひとり親世帯の3人に2人は養育費を受け取れていません。こうした状況を受け、今年の6月、子どもの貧困対策“改正法”が成立。改正法案では、離婚後のひとり親への養育費の支払いを促すため、政府が養育費を受け取っている親の割合を定期的に調査し、対策の検証を行うことも定められました。
こうした社会情勢を背景に、ひとり親世帯への注目度が高まる一方で、実際に“養育費を支払っている人”、また“支払えていない人”がいることも現実です。
そこで、“養育費を受け取っている人”、“受け取れていない人”、“養育費を支払っている人”、“支払えていない人”、それぞれの立場で本音や実情を話し合い、子どもの養育費、教育環境などを見つめ直し、理解と歩み寄りのきっかけを創出する機会にするため、今回の座談会が行われました。
養育費の話し合いは「当事者間だけでは無理」?座談会の内容を一部紹介
<座談会参加者>
・養育費受領者A:「ちゅみ」さん 30代女性 東京都在住
・養育費未受領者B:「ゆな」さん 30代女性 東海地区在住
・養育費支払い者C:「和泉」さん 40代男性 千葉県在住
・養育費未払い者D :「北原」さん 40代 東京都在住
養育費未受領率72%という数字について、どのように感じますか?
A:ちゅみさん (30代・東京都在住・養育費受領者)
やっぱり養育費って子どもの権利だと思うので、子どもの権利を奪われている人が72%もいると思うと、すごく残念だなと感じます。国が離婚の時から介入し、養育費に関しても、税金のように国が徴収するような対応が求められるのではないかと思います。
C:和泉さん (40代・千葉県在住・養育費支払い者)
養育費受領者の約30%の中には、取り決め額全額を受け取れていない人も含まれているのではいかと思います。一方で、養育費の回収率を上げることを目的とするならば、払う・払わないの二択ではなく、「この条件なら支払える」という相談ができる窓口がある方が良いのではないでしょうか。
養育費の使用用途について、現状を教えてください。
B:ゆなさん(30代・東海地区在住・養育費未受領者)
現状は養育費を受け取れていないのですが、もし受け取れていたら、子どもの習い事を始めやすいだろうなって思います。周りの子達も習い事を始めているし、子どもの色々な可能性を広げられるのではないかと思います。
D:北原さん (40代・東京都在住・養育費未払い者)
子どものためにと思って養育費を支払っているので、「これにお金を使ったよ」と報告をもらえると、支払い続けるモチベーションになると思います。また、元パートナーと連絡を取れない場合もあるので、間に入って養育費使用用途について確認してくれる存在があると嬉しいです。
元パートナーとの調停や話し合いを経験し、感じたこと・考えることを教えてください。
A:ちゅみさん (30代・東京都在住・養育費受領者)
当時は一刻も早く離婚したかったため、養育費の金額を妥協してでも早く話し合いを終わらせたいと思ったこともありましたが、養育費保証サービスに入るにはこの書面が必要なので、今となっては公正証書を作成して、養育費を受け取れるようになり本当に良かったと思います。また、離婚された夫婦の半数近くが正しい取り決めを行っていない現状がありますが、それは精神的、経済的、時間的な負担が大きく、諦めてしまう人が多いのが理由なのではないかと感じます。シングルマザー目線での意見にはなりますが、フルタイムで働く中で、取り決めや強制執行※のために、有給を取り収入を減らすのはストレスでしかないと思います。
※養育費の支払いに応じない場合、財産(給料や預貯金など)を差し押さえて,その財産の中から強制的に支払を受けるための制度
B:ゆなさん(30代・東海地区在住・養育費未受領者)
離婚調停を6回行っていて、すでに精神的には限界でした。でも、調停をしたから養育費は支払われるものだとばかり思っていました。しかし、養育費が支払われることはなく、苦しいしがっかりしています。ですが、次に強制執行となると離婚時のこと、元夫のことを思い出さなくてはならず、本当に精神的に辛いです。強制執行するにも、離婚調停の内容を振り返ったり、必要な書類の準備をしたりなど、実際に行動するのは養育費を受け取る側で、なんでまだ苦しまなきゃいけないんだろうと思う気持ちはあります。
C:和泉さん (40代・千葉県在住・養育費支払い者)
なんとなく、日本ってお金に関する話はタブーなんじゃないかと思うこともあるので、法律で離婚時の取り決めを義務にした方が、取り決めを行う人の割合は増えるのではないでしょうか。一方で、支払者側の考えとして、公正証書があり、養育費が子どもの権利であることは理解していても、支払うお金がないとそもそも支払い・強制徴収でも回収できないのではないかと思います。養育費を支払えていない人の大半はこの理由だと思うので、お金を準備できない人を支援する策は必要だと感じます。
D:北原さん (40代・東京都在住・養育費未払い者)
離婚当時、公正証書を作成したときは、養育費の支払いから逃げる・逃げないは別として、永遠に書面に記載したルールに縛られるんじゃないかと、ストレスに感じていました。また、離婚時から年々年収が下がっている状況のため、裁判所で、年収に応じたその養育費の支払額を決めていただき、減額の手続きを簡単にできれば、養育費を支払い続けることはできるのではないかと思います。
どのような制度が公的機関にあれば、支払う側として払いやすいと考えることはありますか?
また当事者間だけでは難しいのでしょうか?
C:和泉さん (40代・千葉県在住・養育費支払い者)
給与に変動がある職業の場合だと、今はダメだけど、もう少し経てば支払える場合も結構あります。そんな理由があるときに、何かしらの原因で「全額」に満たない金額しか払えなかった時に責められるのであれば、毎月決まった額ではなく、払えるタイミングでまとめて2ヶ月分支払うように相談できるように仲立ちできるような公的な機関があると嬉しい。それは多分自治体なのかな、と思っている。とにかく今日話を聞いてて、やっぱり当事者間だともう無理だと思います。」
B:ゆなさん (30代・東海地区在住・養育費未受領者)
泣きながら家庭裁判所に通ってました。最初、協議離婚で当事者同士の話し合いで進めようと思ってたんですよ。でも相手が音信不通になったりして、もうそこがすでにストレスでした。お互い弁護士を雇って、弁護士を通しての協議離婚しようとなった後も向こうがなかなか連絡がくれず、それもストレスでやっと離婚調停となったのですが、夫側は1回も出席しませんでした。夫の弁護士が代理で来ただけなので、本人なしではなかなか話が進みません。ずっとストレスでしたね。
Casaのような養育費保証のサービスが自治体の窓口で案内されるようになりましたが、サービスについてどう思いますか?
B:ゆなさん(30代・東海地区在住・養育費未受領者)
(今は契約はしておらず)今回の座談会をきっかけに参加者Aちゅみさんに紹介してもらいました、もっと早く知りたかったです。私は元夫と「毎月月末に私の(指定の)口座に支払う」、そこまで決まってるんですよ。なので、本来であれば毎月月末に振り込まれるはずが、されておらず、次の日また見て、というのを2週間ぐらいずっとやるんですよ。2週間後にやっと振り込まれたと思ったら、金額が違っていたり、もううんざりです。一体これはいつまで続くの?と思ったので、直接のやり取りはとてもできないなと思います。
D:北原さん (40代・東京都在住・養育費未払い者)
離婚したのがコロナ渦になる前で、その時年収が1番高かった。その時に離婚し、養育費がスタートするようになったのですが、コロナ渦が影響し、どんどん年収も下がっていって、 最初は払えてたんですけれども、そこから払えなくなって、 満額払えなくなって状況によっては全く払えてない月もあり、その繰り返しです。今Casaさんの方に立て替えてもらってお支払いができている状況です。
様々な立場の方の意見を聞いてみて、どのような感想を持たれましたか?
A:ちゅみさん (30代・東京都在住・養育費受領者)
同じシングルマザーの声はたくさん聞いているものの、支払者側の方の声を生で聞くのは初めてだったので、貴重な場にご招待いただいて、本当にありがとうございます。やっぱり何度も言うんですけれども、1日でも早く子供の権利が脅かされない国になってほしいなと、改めて思いました。
B:ゆなさん(30代・東海地区在住・養育費未受領者)
今回こうして夫側の立場の人の意見を聞くのは初めてだったので、新鮮でした。「払いたい気持ちはあるけど払えない人」が本当にいるということを目で見て確かめ、そのような気持ちを持っている人がいることが嬉しかったです。
C:和泉さん (40代・千葉県在住・養育費支払い者)
経緯はそれぞれですが、コミュニケーションを取りたくない気持ちや負担は、おそらく養育費をもらう側の方が当然大きいので、今日改めて意識をしました。そのお金を決めるのも、契約書結ぶのも調整するのも、全部受け取り側が動かないといけないので、その点はなんとかなるといいなと思いました。
D:北原さん (40代・東京都在住・養育費未払い者)
受け取れていない方の気持ちを聞いてみて、きちんと払わないといけないなって改めて思う部分はあるんですけれども、ただ「払えない」という部分もありますので、しっかり頑張って払っていこうと改めて思った次第です。
今回の議論が今後の養育費確保に向けた、新しい解決の第1歩になると願って
Casaの赤池さんは今回の座談会を受けて、「総じて、『第三者が入ること』が大変重要だということを、今日皆さんの意見を聞いていてすごく感じてます。それが国であったり、民間であってもいいと思っていて、Casaとしてその役割を担っているとも今回改めて感じました。」と話しました。
また、「このような社会課題が大きな問題として浮き彫りになる中で、本日、このようにそれぞれの立場の方にお集まりいただきまして、 貴重なお話を伺える、そして理解を深める機会を持てたということは、とても貴重で、大変意義深く感じております。養育費に関しましては、自治体の方でも補助金が出るなど注目も高まっておりますので、今回のこの座談会を皆様の深い理解と実際の現状を知っていただく場になれば嬉しいです。」ともコメントしていました。
座談会でも話られていたように、養育費が正しく支払われることは”こどもの権利”です。
この問題は、
1 貧困をなくそう
3 すべての人に健康と福祉を
4 質の高い教育を皆に
10 人や国の不平等をなくそう
など、多くのSDGsの目標とも関わりがあります。
ひとり親家庭のこどもも親も、お金に困ることなく、安心して生活ができるように。
そんな世界が当たり前になるよう、Casaのようなサービスがもっと一般的になっていくといいですね。
株式会社Casa 養育費保証PLUS 担当者 赤池 藍夏
創業時より在籍し、産/育休を経験しながら、コールセンターや営業部事務に従事。
自身も3人の子どもを持ち、シングルマザーを経験した事もあり、その時の経験を活かしたいと、事業にジョインする。ひとり親や支払者側の相談窓口を担当。
CASAの養育費保証
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執筆/フリーライター Yuki Katagiri