線状降水帯に異常熱波。世界中に押し寄せる温暖化の波
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「観測史上最多の雨量」「何十年に一度の雨」という言葉とともに近年よく耳にするになった「線状降水帯」。
次々と発生する積乱雲が帯状に連なる気象現象で、2014年の広島豪雨から注目されるようになった言葉ですが、バケツをひっくり返したような激しい雨が数時間続くこともあり、土砂災害や洪水を引き起こしかねません。今年もすでに熱海、島根・松江、鹿児島などに大きな被害を及ぼしています。
この背景にあるのは温暖化です。気象学者である守田治客員教授は「昔からある現象だが、地球温暖化による海水温の上昇や大気中に含まれる水蒸気量の増加によって近年は発生しやすくなっており、雨の勢いも激しくなっている」と指摘。
また水の問題に詳しい小松教授によると、日本近海の海水温は地球の全海洋の平均よりも2~3倍速いペースで温暖化が進行していると分析しています。
過去にも、2017年の九州豪雨、2015年の関東・東北豪雨、2012年の九州北部豪雨を引き起こし、甚大な被害をもたらしています。九州豪雨の現地調査に当たった九州大の小松利光名誉教授は、「温暖化で線状降水帯の規模が大きくなりつつある上に、九州は地理的特徴から被害が大きくなりやすい」と指摘。
そして、世界に目を向けると異常熱波の現象が起きています。
2021年6月には記録的熱波がカナダを襲い、国内の観測史上最高となる49.5度を記録。7月1日までの一週間で700人以上の突然死が報告されました。
7月10日は、アメリカカリフォルニア州デスバレーで9日に54.4度を観測。(他にもアメリカ・ポートランドで46.6度、ワシントン州で47.7度を記録)
専門機関の分析によると、この記録的な熱波は人為的な地球温暖化の影響がなければ起きる可能性は事実上なかったと指摘。ここ数年、異常熱波が発生するリスクは150倍増えた可能性があるとのこと。
そして、この異常熱波は北緯50度以南に位置するアメリカ、フランス、ドイツの一部、中国、日本でも起こり得ると言われており、専門家は、「今回の異常熱波に対する研究に日本は耳を傾けるべきだ」と指摘しています。