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【解説】SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは?解決すべき課題や現状

【解説】SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」とは?解決すべき課題や現状

#SHOW CASE
  • 質の高い教育をみんなに

SDGsの目標の一つに、SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」があり、教育に関するテーマのもと、7つの目標と3つの方法がターゲットとして掲げられています。では「質の高い教育をみんなに」とはいったいどのようなものなのでしょうか。ここからは、「質の高い教育をみんなに」の現状や達成に向けて私たちができることなどを解説します。

SDGs目標4の現状と課題について

SDGs目標4では、読み書きや計算ができる若者を増やしたり、教育でのジェンダー格差をなくすといった目標が設けられています。では、なぜ質の高い教育が必要なのでしょうか。

①質の高い教育が必要な理由

質の高い教育が必要な理由は、教育によって数多くの問題を解決することができるからです。2012年に国連事務総長が立ち上げたグローバル・エデュケーション・ファースト・イニシアチブでは、質の高い教育が必要な6つの理由が述べられています。

・すべての子どもたちが基礎的な読解力を身につければ、約1億7,100人が貧困から抜け出せる
・低所得国の母親が中等教育を受ければ、発育阻害の子どもたちが約1,200万人減少する
・すべての女性が初等教育を修了できれば、出産時の死亡率が66%減少する
・すべての女性が中等教育教育を受ければ、子どもの死亡率が約49%減少する
・すべての女児が中等教育を受ければ、児童婚の約64%、早すぎる妊娠の約59%が減少する
・1年間の学校教育は収入の10%増加に関連する

このように質の高い教育を普及させることで、他のSDGsの目標を達成することにもつながります。

②世界の教育における現状と課題

世界の教育を見てみると、先進国と途上国では大きな教育格差が生まれているのが現状です。2019年にユネスコが発表したデータによると、サハラ以南のアフリカ地域、西アジア地域・南アジア地域では、5人に1人の子どもが小学校に通えていません。これらの地域では初等教育の修了率が低く、基本的な読み書きが習得できません。また、世界全体で見ると25人に4人が中学校に通えず、20人に7人が高校に通えていない状況です。途上国の子どもたちが満足な教育を受けられないのには、教材費や制服代などを払えるお金がない、家庭の労働力としてカウントされている、戦争や紛争が勃発しているなどの原因が考えられます。

女の子への教育意識の低さも問題視されています。途上国の中には「女性は勉強する必要がない」と思われている地域が少なくありません。女の子が教育を受けられない理由として、貧困・教育環境・児童婚と出産の3つが挙げられます。貧困家庭では男の子への教育が優先される傾向にあり、女の子は学校に行かずに幼いころから家事労働を行っています。また、一部の地域では慣習や文化により児童婚が行われており、女の子の教育の機会を奪ってしまうケースもあります。2014年に発表されたユニセフのデータによると、約7億5,000万人の女の子が18歳未満で結婚し、そのうち約2億5,000万人が15歳未満で結婚しています。女の子が教育を受けられない原因として、周辺環境も大きく関係しています。学校不足により、整備されていない道の中を片道何時間もかけて登校する子どもがいます。また、学校に女子トイレがなかったり、生理用品がなくて学校に行けない女の子もたくさんいます。

③日本の教育における現状と課題

日本では、生まれた環境によって教育格差があるのが現状です。親の収入や職業、出身地域などによって、教育を得る機会に差がついてしまうというのが問題です。例えば、親の収入が低いと十分な教育を受けることができず、進学や就職時に不利となるケースが考えられます。子どもが質の高い教育を受けるには学校外教育費がかかるため、低収入の家庭の場合は「部活動ができない」「塾や習い事ができない」といった問題が発生します。

SDGs目標4達成に向けて私たちができること

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」を実現するためには国際的な取り組みが必要となりますが、日常生活の中で私たちが取り組めることもあります。世界や日本の教育の現状を把握すれば、自分が取り組めることを意識できるようになるでしょう。ここで詳しく見ていきます。

①教育に関するボランティア活動

私たちができることの一つは、教育に関するボランティア活動への参加です。教育関連の支援の場は多く、子どもたちの野外活動や工作などを教える教室などが地域ごとに開催されています。子どもへの教育はもちろんのこと、大人を対象とした教育の場も少なくありません。ボランティアに参加するためには、ボランティアを主催している団体を探すところから始めましょう。

日本国内だけでなく、海外の現地でのボランティア活動に参加することも可能です。コミュニケーションができる程度の英語力は必要になるものの、必ずしも特別な技術力が求められる訳ではありません。読み書きや計算を教えるボランティアや貧困地域の子どもたちへの教育サポートなど、教育に関するボランティア活動は豊富です。長期滞在が必要なボランティアばかりではなく、数日〜1ヵ月程度の滞在でボランティアに参加できる場合もあります。短期間の休暇を利用して、現地の子どもたちを手助けする活動に参加してみましょう。

ボランティア活動の参加が難しい場合は、教育関連の活動を行う団体に寄付するのも良いでしょう。世界の教育格差をなくすため、学校の建設や教育施設の拡充などの支援が行われています。すべての子どもたちが質の高い教育を受けるようになるには、まだまだ活動資金が必要です。自分が応援したいと思える団体があれば、少額でも良いので寄付してみてはいかがでしょうか。近年では電子マネーで寄付できるところも増えていますので、気軽に寄付しやすいでしょう。

②不用品の寄贈

世界には学校に通うお金がなく、教育の機会を得られない子どもがたくさんいます。2017年に世界銀行が発表したデータによると、世界の約6億9,600万人もの人たちが1日1.9ドル未満で生活しています。貧困状態により生活していくことすら難しく、授業料や教科書代などを用意する余裕がありません。学用品を揃えることができず、学校に行くのを諦めてしまう子どもがいるのです。教育に関する不用品を寄贈すれば、子どもたちが学校に行ける支援となります。

子どもが使用していたランドセルや文房具の寄付など、身近にある不用品を寄付できる団体がたくさん存在します。例えば、ある団体では役目を終えたランドセルを集めて、途上国の子どもたちに寄付しています。他の団体では日本で不用品を回収して、世界中に学用品を届けるプロジェクトが実施されています。学用品や不用品を寄付することはリサイクルにもつながり、「つくる責任、つかう責任」といった他のSDGs目標の達成にも貢献できるでしょう。

教育に関する支援は海外向けのものだけではありません。日本国内の児童養護施設などに問い合わせをすると、文房具をはじめとする物品を支援できる可能性があります。日本国内の子どもたちを支援する団体はいくつもあり、ひとり親家庭の子どもたち向けに学習支援や食事支援などの活動も行われています。海外や日本国内向けなど様々な寄付先がありますので、自分が気になる団体に寄贈するのも大きな支援になります。

SDGs目標4達成のために自分ができることから始めよう

SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」を実現すれば、貧困やジェンダー平等など様々な問題を解決することにつながります。SDGsは大きな目標に思えますが、私たち一人ひとりの小さな取り組みが必要不可欠です。何から始めて良いか分からない場合は、世界や日本の教育の現状を知るところから始めましょう。現状や問題を把握し、自分が取り組みたい問題に向けて行動することが大切です。

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