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「英語力全国1位の福井県」テレビでも注目される“質の高い教育”制度とは?


この記事に該当する目標
4 質の高い教育をみんなに
「英語力全国1位の福井県」テレビでも注目される“質の高い教育”制度とは?

日本テレビの「月曜から夜ふかし」という番組を見ている方は、この記事のタイトルを見てピンと来たかもしれません。先日、この番組内の全国ご当地問題というコーナーで紹介されたのが、「福井県民英語力がすごい問題。」*1
この番組内でインタビューを受けていた学生は、福井県の魅力を流暢な英語で話すなど、英語力の高さが際立っていました。しかし、中高生は堪能であっても、社会人や親世代になると「What’s your job」すら聞き取れないケースがあるなど、世代間の英語力のギャップにも注目が集まりました。
世界の情報が集まるインターネットで発信される情報の25%は英語。つまり全世界の4分の1の情報が英語で発信されているのです。世界情勢やトレンドを知ろうと考えた時、英語での情報収集ができるか、できないかで、キャッチできる情報量には大きさ差ができてしまいます。今後グローバル化が進むことで、コミュニケーションツールとしてより重要になる英語。今回は、SDGsの目標4「質の高い教育みんなに」に関連して英語教育を子どもの頃から取り入れ、世界に劣らない英語力が得られるように取り組んでいる、英語力日本一の福井県の教育制度について紐解いていきたいと思います。*1 2022年7月18日(月)放送分

都道府県別4回連続1位を獲得。日本一英語力が高い福井県。

世界の共通言語である英語ですが、文部科学省では、グローバルに活躍する人材育成を目的に、英語教育を充実させた積極的な取り組みを行っています。
これまで英語は、小学校では「外国語活動」という位置づけで、本格的な英語教育は中学校からでした。しかし、2020年からの新学習指導要領全面実施に伴い、英語教育に関する取り組みが大きく変わりました。
改定後は、英語は小学校3・4年生から「外国語活動」と必修化され、小学校5・6年生からは「外国語」という教科になりました。英語教育が、小学校から前倒しになると同時に、中学校、高校における英語教育も変化し、日本の英語教育は大きな転換期を迎えています。
このように日本の英語教育が変化している中、英語力が極めて優れている都道府県が福井県です。
文部科学省が実施した2021年度の「英語教育実施状況調査」によると、福井県の中学3年生で「英検3級程度以上」の学力がある学生は85.8%、高校3年生では「英検準2級程度以上」は59.6%と、中学校、高校とともに、都道府県別で4回連続トップになりました。

日本一英語力が高い福井県ではどんな英語教育をしているのか?

福井県では「ていねいな教育」「きたえる教育」から、夢や希望を実現する「突破力」へと、独自の教育方針を掲げています。少人数教育により基礎・基本を定着させる「ていねいな教育」、夢や希望に向かって挑戦する基礎を築く「きたえる教育」、さらに、地域・家庭・学校で子どもたちを育てようという風土づくりで、福井県は英語のみならず、学力・体力も全国トップクラスを誇っています。
英語教育に関しては、グローバルな社会で活躍するための以下のような「使える」外国語教育を福井県では推進しています。

・小学校における英語教科化を国に先行して平成30年度から段階的に実施し、児童の負担軽減を図るとともに小学校英語教育を促進
・退職教員や「英語教育人材バンク」を活用した授業支援を推進
・中学校・高校における原則としてすべてを英語で行うオールイングリッシュ授業を拡充し、英語授業における「聞く」「話す」活動を充実
・中学校ALTを増員し、昼休みや放課後に生徒とALTが交流する時間を拡充
・高校用オリジナル教材「福English」を活用し、高校生が福井県を英語で発信。さらに、中学生が外国人に対してふるさと福井の魅力を英語で伝える機会を充実
・高校生を対象としたディベート大会を開催し、高度な英語によるコミュニケーション能力や英語ディベートスキルを育成

また福井県では、学生だけではなく、英語担当教員の英語力も全国一位という結果でした。この背景にも、福井県の教育方針が密接に関係しているようで、学生のみならず、福井の教育を支える教員に対しても、研修の充実化や教員をサポートする取り組みなどで、教員の指導力を向上させる取り組みを推進しています。
積極的な自治体の英語教育への取り組みが、「日本一英語力が高い福井県」という結果につながっていることがわかります。

さいたま市は「グローバル・スタディ」で生きた英語を身につける教育を

福井県と同様に、英語力が高いという結果に現れたのがさいたま市。特徴の一つである、新しい英語教育「グローバル・スタディ」は、2016年からすべての市立小・中学校で始まりました。この「グローバル・スタディ」は、小学校1年生から中学校3年生までの9年間を一貫したカリキュラムのもとで、「聞く」「話す」「読む」「書く」をバランス良く学ぶという内容です。
また、身につけた英語力を発揮するために、イングリッシュキャンプ、英語ディベート大会、英語劇発表会など、「グローバル・スタディ」で学んだことを発揮できるイベントを開催しています。
「日本人は英語が苦手」といわれますが、実際、英語能力指数ランキング2021では112ヵ国中、日本は78位という低い結果となっています。理由は英語と日本語の文法の違いや、英文法や英単語を記憶する勉強をしていたから、リスニングに重点が置かれていなかったなど、これまでの英語教育についてさまざまな理由が挙げられています。
しかし、今や英語は世界の共通言語です。ますますグローバル化が進んでいく社会に対して、英語は必須コミュニケーションツールです。子どもたちの未来の可能性を広げるためにも、子ども英語教育はますます重要なことがわかります。
今回は福井県とさいたま市の英語教育への取り組みをご紹介しましたが、自分が住んでいる自治体ではどんな取り組みをしているのかを再確認、子どもたちに生きた英語教育をするためには何をしたらよいのかなどを考えてみる良い機会かもしれません。

企画・編集/北井
ライター/奈良