IISEフォーラム2024「知の共創で拓く、サステナブルな未来へ」開催
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2024年2月9日(金)、ホテル雅叙園東京にて、NECグループの独立シンクタンクである株式会社国際社会経済研究所(以下、IISE)による、IISEフォーラム2024「知の共創で拓く、サステナブルな未来へ」が開催されました。
今回のフォーラムでは、「宇宙ビジネスをどう日本の成長産業にしていけるか」をテーマにされており、基調講演では、インターステラテクノロジズ株式会社 取締役・ファウンダー 堀江貴文氏とIISE 理事 野口聡一氏との対談が行われました。
宇宙ビジネスとは、ロケットや衛星の打ち上げ、衛星を通じたサービスなど、宇宙空間を活用するものです。なかでも、衛星から得られた「宇宙ビッグデータ」が世界に変化をもたらすのではないかと期待されています。日本国内の宇宙関連市場を2020年の4兆円から2030年代に8兆円へと倍増させる方針を政府が打ちだしている環境のなか、宇宙の総合インフラ会社を手掛ける堀江氏はインターネットをはじめとするこれからのデータ通信環境は宇宙規模になると語りました。
宇宙開発がどのようにサステナブルな未来に紐づくのか、基調講演の内容をレポートします。
地産地消でサステナブル、化石燃料を使わないロケット開発
「創業したインターネット会社livedoorは1996年創業でそれから約30年が経ちます。その頃は『インターネットなんて何に使うのか』と言われていましたが、今まさに宇宙がそうなりつつある」と堀江氏は言います。
堀江氏が開発している小型ロケットの基地は北海道大樹町にあります。北海道は世界でも有数の酪農大国であり、そこでつくられた牛ふん由来の液化バイオメタンを小型ロケットの燃料として使用。地産地消でサステナブル、化石燃料を使わないロケットを作ろうと燃焼試験を繰りかえしています。
このメタンガスは地球温暖化効果が高いCO2の約25倍と言われており、これを生成してロケット燃料にするという取り組みは、世界でも民間企業では初の実証事例になっています。
超小型人工衛星の開発背景
スマートフォンの普及によりセンサー類がシリコンチップで実装されるようになったため、それまで大がかりだった生産過程の部品が安価で大量に作られるようになりました。
このような部品を使うことにより、人工衛星を軽量化し、安価で作ることができます。そして、東京大学や東京工業大学のチームが、それを大型ロケットで飛ばせば、人工衛星を何十機も同時に打ち上げることができるというアイデアを世界で初めて実証。それを実用化したのがSpaceXです。超小型の人工衛星を自社のロケットで打ち上げ、現在衛星の数は5000機を突破して、将来的には42,000機を世界中に飛ばす予定になっています。
これらの技術を使ったサービスは戦争中のウクライナにも無償提供され、実用的であるということが証明されました。
インターステラテクノロジズでも、フォーメーションフライトによる衛星通信サービスを今後ビジネスにしていこうと考えています。メッシュ状のアンテナが宇宙空間で展開できるようになり、宇宙とスマートフォンのあいだでブロードバンド通信が可能になります。
今やインターネットを介したデータ通信は宇宙規模になりつつあります。
つまり、ロケット開発は夢やロマンではなく、これからの私たちの生活に欠かせないものになっていくのです。
ビジネスの話だけでなく、例えばGoogleEarthをリアルタイムに撮影することができればミサイルの発射状況を確認できるなど国家安全保障にも関わってきます。
ほかにも、世界中にいるクジラの生態系を観測することができる、地上にある一定以上の大きさのオブジェクトをすべてリアルタイムに観測することができる。
すると、いろんなパラダイムシフトが起こるのではというのが堀江氏の考えです。
まだまだ広がる宇宙の可能性
以前日本で開発された青色LEDから青色レーザーができ、光格子時計という既存の原子時計と比べ物にならないくらい精度の高い時計が実装できました。
これを使ってGPSを作ると、GPSの精度が飛躍的に上がります。グローバルなGPSをつくり、例えばインド洋の上空と太平洋の上空の重力が変わったことを細かくマッピングすると、地震の予測ができるかもしれない。地球の内部をCTスキャンするようなこともできるかもしれない。
そういった新しいものを、小型人工衛星をたくさん打ち上げることによってテストできるようになり、新たな宇宙ビジネスにつながっていく。「今まさに宇宙は30年前のインターネット黎明期のようなビッグバン直前の状況にあります。10年後には、私が言った世界が必ず実現していると思いますので、ぜひ期待して待っていてください」と堀江氏は語りました。
宇宙は私たちの生活に欠かせないものに
ロケットの開発にはビジネスとしての観点だけでなく、私たちの生活にも大きくかかわっていることを今回のフォーラムを通じて知ることができました。
国際社会経済研究所(IISE)の理事である野口聡一氏は「堀江さんがいうように、新しい産業の可能性がもう見えてきている。それこそが第4次産業革命であり、それを宇宙が担っているということです」と語りました。
宇宙の可能性に関しては未知数であり、これからどのようなことが私たちの生活に起こるのかとても楽しみです。