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“心理的安全性”を持った職場環境づくり 女性管理職比率40%を実現するBATジャパンの取り組みとは


この記事に該当する目標
5 ジェンダー平等を実現しよう
“心理的安全性”を持った職場環境づくり 女性管理職比率40%を実現するBATジャパンの取り組みとは

パーソナリティの新内眞衣さんとともにSDGsを楽しく分かりやすく学べるニッポン放送の『SDGs MAGAZINE』。3月8日の国際女性デー当日には、放送時間を2時間30分に拡大した特別番組『新内眞衣のSDGs MAGAZINE増刊号』がオンエアされた。各界のゲストを迎えて目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を中心に理解を深めていった今回の放送では、企業の事例にも注目。女性管理職比率40%を実現するマルチカテゴリー消費財メーカー「ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン(BATジャパン)」の取り組みにフォーカスを当てた。

国際女性デーに合わせ、「新内眞衣のSDGs MAGAZINE増刊号」としてオンエアされた今回の放送では、新内さんとニッポン放送の東島衣里アナウンサーが、さまざまな分野のゲストを迎え、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」につながる活動を深掘りした。そうした取り組みに積極的な企業として注目されているのが「BATジャパン」。ニッポン放送の東島衣里アナウンサーが、「BATジャパン」の執行役員 人事&インクルージョン責任者、キン・ヨンシンさんに話を聞いた。

東島 「女性の皆さんが生き生きと輝き続けるためのさまざまなお話を伺っていますが、『ジェンダーギャップ』の問題の一つに雇用機会や賃金の差が挙げられます。そんな中、この時間は、女性社員の管理職比率が約40%という高い数字を誇るマルチカテゴリー消費財メーカー『ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン』の取り組みをご紹介します。執行役員 人事&インクルージョン責任者キン・ヨンシンさんです。よろしくお願いいたします」

キン 「よろしくお願いいたします」

東島 「まずは『BATジャパン』という会社について教えてください」

キン 「『BAT』は1902年に創業されたマルチカテゴリー消費財メーカーで、『BATジャパン』は、その日本における子会社です。日本では1984年から輸入販売を通じて『BATグループ』のたばこ製品を市場で販売しております。『BAT』はスモークレスな代替商品の提供を通じて、スモークレスな世の中を築く『A Better Tomorrow (より良い明日)』という考えをもとにビジネスを行っております」

東島 「今日は女性というところに注目してお話を伺いたいのですが、『BATジャパン』では、2023年4月に女性のエマ・ディーンさんが社長に就任され、女性社員の管理職比率がおよそ40%ということなんですね。参考までに日本の企業の平均でいうと、女性社員の管理職比率は9.8%。数字で見ると、いかに高い数字であるかが分かっていただけるかと思います。この数字をどのようにして、どのくらいの期間をかけて達成できたのでしょうか」

キン 「まず『BATグループ』全体では、2025年までにシニアリーダーシップ・チームにおける女性比率を40%、マネージャー職、いわゆる管理職における女性比率を45%にするという目標を掲げています。実際『BATジャパン』では既にマネージャー職における女性比率がこの5年間で22%から約40%へと著しく伸びております。ちなみに東アジアエリア、日本・韓国・台湾・香港・マカオでのシニアリーダーシップ・レベルにおける女性比率は既に40%となっており、2025年に向けたグループ全体の目標を達成しております」

東島 「なるほど。女性社員の管理職比率を増やしていく中で、社内ではどのような声がありましたか」

キン 「まず『BATジャパン』だけではなく、多くの企業がそうだと思いますが、これまではロールモデルとなる女性人材が少ないという現状や声がありました。それを踏まえて、女性のキャリア育成に力を入れた結果、現在『BATジャパン』では、ロールモデルとなるような多くの才能ある女性が誕生しています」

東島 「はい」

キン 「今後も将来的なロールモデル、かつシニアスポンサーとして社員のキャリアを支援していけるような人材開発に取り組んでいきたいと思っています。ただし、同時に女性管理職の比率を上げるということを掲げた場合、男性社員や他の社員から『じゃあ、われわれはどうなんだ』というような声も実際、現場にありました」

東島 「その時、そこをどうやって乗り越えていかれたのでしょうか」

キン 「女性管理職比率を上げるという目標はあるんですけれども、大きな目標としてDE&I(ダイバーシティー・エクイティ&インクルージョン=多様性だけではなく公平性や包摂性も含めた課題へのアプローチのこと)というカルチャーを築きあげるという目標が、まず大前提にありました。マルチカテゴリー消費財メーカーとして進化し、多様化する消費者のニーズの理解なしに、変化する時代で革新的な商品を提供し続けることはできないと考え、いかに消費者の声を聞き取るために女性管理職の比率を上げるかという目標を掲げました」

東島 「はい」

キン 「また同時に、女性の管理職比率だけではなく、国籍、LGBTQ+などの個人的なバックグラウンド、ジェネレーション、さまざまな違いを、いかにみんなで受け入れて、たたえ合えるかというのが目標になっていますので、その中で女性管理職の比率を上げる必要があるというような形で、社内ではお話ししています。実際、女性管理職だけではなくて、多様性が富めば富むほど、ビジネスの結果が成長するというリサーチもたくさん出ていますので、われわれはこれをポジティブアクションだというふうに捉えて進めております」

東島 「なるほど。ビジネスの結果も合わせて推進していった結果がこの数字であるというお話ですね。こういった変化を踏まえて、対応面でも変化があったんですね」

キン 「そうですね、われわれには『グローバル・グラデュエート・プログラム(GGプログラム)』という新卒向けの将来の幹部候補生を採用するプログラムがあるのですけれども、ここでも約3年間の採用実績を見ますと、男女の比率はほぼ同じぐらいに保たれています。それだけではなく、『BATジャパン』では男女の賃金格差というものがありません。むしろ、現状では女性の方が10ポイントほど男性を上回っているくらいです。キャリア構築については、性別に関係なく平等かつ開かれた環境となっております」

東島 「この賃金格差については、さまざまなデータをもとに、今はいろいろな企業でいわれているポイントですが、ここはどのように改善していったんでしょうか」

キン 「まず賃金格差がそもそも大きかったか、賃金格差が問題だったかというところですけども、多様性を包括するカルチャーを築こうというところで、そのためには男女の性別だけではなく、一人一人の意見を理解し、尊重し合える環境づくりに取り組もうとやっております」

東島 「その中で格差が縮まっていったということですよね」

キン 「そうですね。あとは、先ほど申し上げた将来の幹部候補生育成プログラムの新卒採用でも、男女の比率をほぼ同じに保つことによって、男女ともに昇級が早い段階で行われていったというのが一つ、ギャップが少ない要素になるかなと思います」

東島 「結果的には女性社員のためにもなっているんですけれども、あくまで入口としては、男女問わず、多様性に合わせてということですね。そうすると、より自分の人生だったり、能力を見てもらったりしているという実感が社員としてはありそうです」

キン 「もう、まさにその通りだと思います」

東島 「では、最後になりますが、リスナーの方にメッセージをお願いします」

キン 「まずは、これは女性社員だけに限らず、全ての社員に共通することですが、自分自身で制限をかけずにコンフォートゾーン(今いるスキルで対応ができる居心地のいい場所)から飛び出すことが大切だと思います。また、自分自身がどのようなキャリアを求めているかについて、手を挙げ、声を上げることも大切です。これが性別に関係なく、インクルーシブなカルチャーを築くことにつながるのです。例えば、上司からのみではなく、部下から上司にフィードバックができるような心理的安全性を持った職場づくりを今後も推進していきたいと思います」

東島 「心理的な安全。確かにここ、大事な部分ですよね」

キン 「そうですね。われわれの社内ではサイコロジカル・セーフティーと呼んでいます。フィードバックっていうのは上司から一方的に部下に伝わるものっていうイメージがあるかもしれないのですが、部下ももちろん上司に伝えるべきこと、というのがあるんです。そのような建設的なフィードバックを行えるような環境を上司が築き上げる必要があるかなというふうに思います」

東島 「『ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン』の人事&インクルージョン責任者、キン・ヨンシンさんにお話を伺いました。ありがとうございました」

キン 「ありがとうございました」