ハイネケンが目指す「飲み方の多様性」とサステナビリティ
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近年、ノンアルコール飲料の市場が拡大しています。新型コロナウイルスの流行以降、健康を意識した生活は強まり、ソバーキュリアスという本来お酒を飲める人も、「あえてお酒を飲まない」選択をとるライフスタイルも定着してきました。日本においても、会食や接待の場で、お酒を頼まずに乾杯できる空気が出来つつあります。
この流れを後押しするべく、「飲み会の場にてノンアルコールビールでも気後れせず、もっと自由に、堂々と振る舞える社会」とメッセージを呼びかけているのが、世界的ビールブランドのハイネケン(オランダ)です。スポーツ観戦のお供に飲むビールの印象が強いハイネケンですが、飲料メーカーとしての枠を超え、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを積極的に行っています。昨年10月には、ノンアルコールビール「Heineken® 0.0(ハイネケン ゼロゼロ)」を日本でも発売開始、グローバルで行う広告費の10%を適正飲酒のコミュニケーションに継続的に充てるという施策が注目されるハイネケンの取り組みを見ていきましょう。
ビール会社がXで問いかけた日本の乾杯文化
暑気払いシーズン、猛暑日が続くなかハイネケン・ジャパンの公式Xにはこんな投稿が。「アルコールを控えたい日の会社の飲み会。乾杯の1杯目には何を選びますか?」。 2024年7月末の最終回答結果をみると、ノンアルコール飲料と回答している割合は、ノンアルビールと、ノンアルビール以外のものとの合計で、約45%。一方で41%の人が通常のアルコールの入ったビール、14%の人がビール以外のアルコール飲料と、過半数の回答者が「アルコールを控えたい日の」という前提にもかかわらず、乾杯にはアルコール飲料を選ぶと回答しているのです。ノンアルコール飲料が市民権を得ていると言われている現代においても、まだまだ乾杯の一杯めからノンアルコールには抵抗を感じる人が多いことを示しています。
「とりあえずビール」に対して4人に1人がアルコールハラスメントと感じる
今回のXでのアンケート調査に先駆けて、ハイネケンは今年6月、今まで慣習とされてきた「とりあえずビール」に対してどのような考えを持っているのか、20代から60代の男女1000人にLINE ヤフーでのタイアップ広告においてアンケートを実施したそうです。
(引用元:LINEヤフー特別企画/提供ハイネケン・ジャパン)
その結果、まず今回のXでのアンケートと同じ質問である「アルコールを控えたい日の会社の飲み会。乾杯の1杯目はどれを選びますか?」との問いに対して、約4割の人が「ノンアルコールビール」と回答がありました。一方で、Xでのアンケート結果ほどではないものの、こちらでも約33%の回答が「ビール、あるいはビール以外のアルコール飲料」でした。その理由として「場の雰囲気を壊したくないから」との回答も複数ありました。
またアルコールにまつわるコミュニケーションにも焦点が当たると、「会社での飲み会、乾杯の1杯目で『とりあえずビールでいいよね?』と言われたらアルコールハラスメントと感じる」と回答した人が約4人に1人にものぼりました。日本で当たり前のようになっているたった一言、「とりあえずビール」がこの調査結果では、一度立ち止まって誰にどのような影響を及ぼすのか考えるべきテーマであるということがわかりました。
ノンアルコールビール「ハイネケン0.0」の登場
「とりあえずノンアルコールビール」と頼みたいけど、ビールに比べると味はどうだろうかと感じる人が多いなか、「ハイネケン0.0」は通常のビールを醸造し、その後でアルコールだけを除去する「脱アルコール製法」を取ることで、本物のビールと遜色のない本格的な味わいを叶えています。
持続可能な社会の実現においては、当然ながら全ての人の健康を大切にすることが求められています。周りの雰囲気や、次の日の予定を気にして不安な気持ちのままアルコールを飲むという選択は、それは心身共に影響を与えてしまいます。だからこそ、見た目も味も乾杯の場に溶け込める新たな選択肢があると心強いものですよね。これはSDGs17の目標「3.すべての人に健康と福祉を」と特に関わっています。
発売時、ハイネケン・ジャパン 代表取締役社長 トニー・ウィーラーさんは、「ビールメーカーの先駆者として、私たちは消費者のニーズに応えるため、革新的な新商品の開発に全力を尽くしています。『Heineken 0.0』は、日本の消費者の皆様に様々な飲酒シーンにおける新たな選択肢を提供します。また、責任ある飲酒やバランスの取れた健康的なライフスタイルといった最近の文化的トレンドにも見合った商品となるでしょう」と述べており、健康志向の時流に合わせた自由に選択できる機会を積極的に提案している姿勢がみえます。乾杯のお供としてはもちろん、本格的なビールの味わいを楽しむ際に手に取ってみたくなります。
適正飲酒への取り組み
またハイネケンは、単にノンアルコールビールを提供するだけでなく、適正飲酒を推進するために、年間広告予算の10%を適正飲酒コミュニケーションのために継続的に配分するという強いコミットメントを示しています。これは消費者が健康的な飲料習慣を持ち、無理なく自分の飲酒スタイルを選べる環境を整えるための重要な施策です。SDGsの目標の一つ「12.つくる責任、つかう責任 」にもある通り、ハイネケンがさまざまなスタイルを提供することで、消費者である私たちは選択の幅広さを知ることができ、最終的には乾杯に不安がなくなるサイクルができるのではないでしょうか。
例えば、2024年4月に日本ではeスポーツで世界一のベストドライバーの座を競う「Player 0.0」の国内大会となる「Japanese Player 0.0 Final」を開催したそうです。世界大会に進むとHeineken® 0.0公式アンバサダーであり、過去3度F1®ワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペン選手と対戦できるそう。レース種目ながらもeスポーツを通して、適正な飲酒意識を植え付けるイベントは若い世代へコミットしたコミュニケーションとして他にはない新鮮さを感じます。
また実際にマックス・フェルスタッペン選手出演のCMもグローバルに放送され、ハイネケン0.0があるだけで運転手も楽しめる場になるという描写が印象的です。
これら、ユニークなCMをはじめとする広告だけでなく、適正飲酒を消費者が思い起こすためにもハイネケン製品にはひと工夫がありました。製品自体や段ボールカートンなどの梱包品のすべてに「Enjoy Heineken Responsibly」ロゴが付いているのです。つまり、「責任あるハイネケンの楽しみ方 」のメッセージは、ハイネケンを楽しむことができるあらゆる場所で発信されているのですね。
乾杯の未来は?
今回は、ハイネケンが投稿したXから日本の乾杯文化のデータを調査、そして「適正飲酒」の話題を中心に深掘りしました。ハイネケンの取り組みは、ただのビジネス戦略にとどまらず、社会全体に向けたメッセージでもあります。アルコールを避けたい日や健康を大事にしたい人にとって、「ハイネケン0.0」は頼りになる選択肢となり、また適正飲酒の推進によって、飲酒文化の中でも多様な価値観が尊重されるようになることが期待できます。
ただここで重要なことは持続可能なこと、何かを続けられる、ということです。ハイネケンが目指しているのは、アルコールを楽しむ人もノンアルコールを選ぶ人も、みんなが楽しく過ごせる社会です。ビールブランドとしてアルコールにまつわる新しい価値観を受け入れ、さまざまなライフスタイルを尊重することで、より健康的で持続可能な未来を作っていくのが、同社の基本的な理念に基づいた取り組みです。
ハイネケン0.0を見つけたらぜひ手にとってみて、ノンアルコールの楽しみ方をぜひトライしてみてください。家族や職場の人、友人たちと乾杯する際、ノンアルコールだからこそ腹を割って話せることも出てくるかもしれませんね。