登録児童、待機児童ともに過去最多!子育てを支える「学童保育」とは
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夏休み期間の今、学童保育を利用しているご家庭も多いのではないでしょうか。共働き家庭の増加や家庭環境の多様化にともなって、対象となる児童が増加しています。
「学童保育」は、保育園や児童館と何が違うの?
「学童保育」とは、共働き世帯などの小学生を放課後や長期休みなどに預かり、適切な遊びや生活の場を与える保育事業のことをいいます。戦後の1948年頃から東京や大阪などの大都市圏で生まれ、全国に広まったといわれています。
所轄官庁は2023年4月に発足した「こども家庭庁」で、日本では国が定める社会福祉事業のひとつとなっています。
~児童福祉法第6条3の2項~
「放課後児童健全育成事業とは、小学校に就学している児童であつて、その保護者が労働等により昼間家庭にいないものに、授業の終了後に児童厚生施設等の施設を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業をいう」
「学童保育」は一般的な通称で、正式名称は「放課後児童クラブ」です。自治体によっては「学童クラブ」や「子どもクラブ」、「学童保育クラブ」、「児童ホーム」などさまざまな呼び名があるようです。
学童保育の運営主体は、大きく分けて3つあります。市町村が直接事業を実施している「公立公営」、自治体が社会福祉法人などに依頼して運営する「公立民営」、NPO法人などの事業者が運営する「民立民営」です。
学童保育は、保育園や児童館とは何が違うのでしょうか。まず、学童保育の対象は「小学校に就学している児童」です。それに対して保育園は「0歳から小学校入学前までの乳児・幼児」となっています。児童館は、こども家庭庁によると「地域において児童に健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする児童福祉施設」とされ、対象児童は18歳未満のすべての児童となっています。
学童保育は、2015年の法改正で対象年齢が小学3年生の10歳から6年生に引き上げられました。とはいえ学童保育の登録児童は、小学1年生から3年生までの低学年が約8割を占めているのです。
学童保育を実施する施設は、主に学校の余裕教室や学校敷地内の専用施設、児童館などです。こども家庭庁の発表によると、小学校内に設置されている割合が約5割にのぼります。
子どもたちは友達と遊んだり、一人でくつろいだりしながら、比較的自由に過ごすようです。土曜日や学校の振替休業日、長期休みは朝からの一日保育になるため、学童でお昼を食べることになります。持参したお弁当もあれば、施設によって仕出し弁当を用意するところもあるようです。
学童の「登録児童数」と「待機児童数」が過去最多に
学童保育の登録児童数は年々増加傾向にあります。こども家庭庁が7月に発表した速報値によると、学童保育に登録している児童数は1,515,205人と、前年比で57,821人増えています。また、学童保育を利用できなかった児童、いわゆる待機児童数(5月1日時点)も、前年から2186人増えて18,462人となりました。登録児童数、待機児童数ともに過去最多となっています。
こども家庭庁の加藤大臣は、8月8日の記者会見で、学童保育を行う「場の確保」と、学童保育の現場で働く「人材の確保」の両面からの対策が待機児童解消に向けて重要であると述べています。
サマー学童に国の補助金制度創設の動き
こども家庭庁は2025年度から、夏休み期間限定で開設する学童保育への補助金制度を創設すると発表しました。これには「夏休み期間中だけ学童保育を利用したい」という需要の高まりが背景にあるようです。夏休みだけ実施される学童保育は一般的に「サマー学童」などと呼ばれています。
学童保育の運営予算は「子ども・子育て支援交付金」として国から自治体に交付されています。その補助額は学童の規模や開所日数・時間などによって違いますが、補助金の交付を受けるには、原則として年間250日以上の開所が必要など、いくつかの要件を満たす必要があります。しかし、夏休み期間中だけ開く「サマー学童」はそれらの要件を満たせず対象外となっているのです。今回発表された補助金制度で、夏休み期間に集中する学童保育の待機児童減少につながることが期待されます。
放課後の子どもたちを支える学童保育
首都圏在住で小学生のお子さんを持つ友人・知り合いに聞いてみたところ、5人中5人が学童保育を利用していると答えてくれました。2年生と5年生の2人のお子さんを持つ共働き家庭の女性は「夏休み以外の平日もお願いしていて、なくてはならない有り難い存在です」と話していました。
学童保育対象の子どもが周囲にいない私は、今まで特に意識したことがなかったのですが、共働きなどの家庭にとって学童保育がいかに必要不可欠な存在であるかを認識することができました。子どもたちが「放課後」を楽しく過ごせることは、巡り巡って保護者が安心して働き続けられることにつながっているのですね。
執筆/ フリーライター こだまゆき