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お茶碗1 杯28円⁉︎「令和の米騒動」で考える、お米を守る大事なアクション

お茶碗1 杯28円⁉︎「令和の米騒動」で考える、お米を守る大事なアクション

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“令和の米騒動”とも言われるまでになったコメ不足が8月から続いています。スーパーなどのお米コーナーには「一家族様1点まで」や「お一人様1点限り」などの張り紙が貼られていますよね。徐々に今年の新米が並び始めていて、今月中には解消される見込みのようですが、価格の上昇も気になるところです。

コメ不足の要因は?来年の民間在庫量はさらに少ない見通しに

農林水産省によると、今年6月末の米の民間在庫量は前年同月より41万トン少ない156万トンだったそうです。これは統計を取り始めた1999年以降で最も少ない数字です。

同省では、①猛暑と渇水の影響による令和5年度米の精米歩留まりの低下、②数年前から続く食料値上げの中で、米の価格はそれほど上がらなかったことで消費がやや増加したと見込まれる、と需要動向を説明しています。
このほかにも今回の全国的なコメ不足の原因はさまざまあると言われています。インバウンド客の増加による外食需要の拡大や海外への輸出量の増加、米価を維持することを目的とする国の減反政策(2018年廃止)の影響などです。

追い打ちをかけたのが、8月8日に日向灘で発生したマグニチュード7.1の地震です。南海トラフ地震臨時情報が発表され、“地震への備えを改めて確認してほしい”という呼びかけに対して、非常用の買いだめがあったと考えられています。

農林水産省の発表で気になるのは「今後の見通し等」の数字です。来年6月末の民間在庫量は今年よりもさらに少ない152万トンと予測されているのです。

画像出典:農林水産省「米に関するマンスリーレポート(令和6年8月号)」より抜粋

今夏の猛暑による令和6年度米の精米歩留まりも心配ですし、地震や台風などの自然災害はいつ起きるかわかりません。「令和の米騒動」は今年だけではない可能性があるのです。

過去にも起こった日本の米騒動

日本では過去にも「米騒動」と言われる社会現象が何回か発生しています。1993年(平成5年)は記録的な冷夏となり、翌1994年前半まで深刻なコメ不足となりました。この「平成の米騒動」で、初めて細長いタイ米を食べた記憶があるという人も多いのではないでしょうか。

ちなみに、80年ぶりといわれた記録的な冷夏の原因は、1991年6月に発生したフィリピン・ルソン島のピナトゥボ山の噴火によるものでした。20世紀最大規模の大規模噴火の影響は世界中に及び、地球の気温が約0.5℃下がったといわれています。

1918年(大正7年)には、シベリア出兵を見越した地主や米商人の米の買い占め・売り惜しみによって米価が急騰し「大正の米騒動」が起こりました。富山県の主婦や漁民が米の移出禁止と安売りを求めて米屋に押しかけたことが発端となり、日本各地に広がった民衆騒動です。「越中女房一揆」として語られているこの騒動は、2021年公開の井上真央さん主演の映画『大コメ騒動』で痛快に描かれていますので、興味がある方は観てみてください。

日本のお米の消費量の現状は?

輸入大国・日本において、主食である「お米」は国内で唯一、ほぼ100%の自給率を誇る穀物です。しかし国民1人が1年間に食べているお米の消費量は、1962年をピークに減少傾向にあります。

農林水産省によると、昭和37年度は一人あたり年間118.3kgのお米を消費していましたが、2022年度は年間50.9kgと、ピーク時の約半分の量まで減少しています。
この消費量変化の背景には、食生活の変化や人口減少および少子高齢化があります。若年層より健康志向が強い50~60代の中高年層で米食の頻度が減少しているのです。そして、“米は太る”等のネガティブイメージがついていることも要因とされています。

ところで皆さんは、茶碗1杯のお米の値段がいくら位か考えたことはありますか。農林水産省によると、1杯あたりのお米の値段は約28円!水や缶コーヒーと比べてみると、お米ってとても経済的な食べ物だと思いませんか?

画像出典:農林水産省 「米をめぐる状況について(令和6年8月 )」より抜粋

お米が主食とする日本人に今、必要なアクションとは

食料の総輸送量に対して距離を掛けた指標を「フード・マイレージ」といいます。この値が高いということは、遠くの産地から多くの食料を輸送し、CO2などの排出量増加で地球環境に負荷を与えていることを意味します。残念ながら日本は、世界の国の中でも群を抜いてフード・マイレージが高い国となっています。
この状況を改善するのに有効な手立てが、地域で生産されたものをその地域で消費する「地産地消」です。しかし、食生活や食文化は一朝一夕で変えられるものではありませんよね。

そんな状況において、「お米」が重要な役割を果たすものと考えられているのをご存知でしょうか。「国内で生産され、流通するお米をもっと食べる」という行動変容は、長い目で見たときに、日本の食料生産や流通の全体において環境負荷の低減につながるからです。

約3,000年前の縄文時代に大陸から伝わった水田稲作の歴史がある日本。“国産のお米を美味しく食べること”が、持続可能な暮らしや未来に重要なアクションなのだということを、令和の米騒動と言われている今、あらためて心に留めてみてはいかがでしょうか。


執筆/フリーライター こだまゆき

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