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コンタクトレンズは医療機器?! 目の健康について考える「目の愛護月間」


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 12 つくる責任つかう責任 14 海の豊かさを守ろう
コンタクトレンズは医療機器?! 目の健康について考える「目の愛護月間」

9月10日が「コンタクトレンズの日」に制定されているのをご存知でしょうか。 コンタクトレンズを人差し指に乗せて、目に装着しようとしている動作のイメージが「9」と「10」に似ていることから、そしてコンタクトの「クト」と「9と10」の語呂合わせからきています。

若年層カラコンユーザーの購入時の都度眼科受診は「1割以下」

日本コンタクトレンズ協会は、今年の「コンタクトレンズの日」にあわせてメディアセミナーを開催し、毎年実施している消費者実態調査の結果を発表しました。

コンタクトレンズ購入時に眼科を受診するかどうかについては(女性・全体)、「購入するたびに受診している」が22%、「初回含め不定期受診」が70%、「一度も受診していない」が8%という結果になっています。自分にあったレンズを選ぶには眼科での検査・処方が必要なのですが、都度受診する人は2割ほどしかいないのが実態です。

画像出典:日本コンタクトレンズ協会の発表資料〈女性・全体〉より

さらに詳しく分析すると、眼科受診について最も懸念されるのは、10・20代の女性カラーコンタクトレンズユーザーです。特に15歳~19歳では「一度も眼科を受診したことがない」が4人に1人、「初回以降受診していない」も21.5%という結果が出ています。

対面による情報入手が減少、眼科受診率の低下や購入経路の多様化が一因に

若年層が眼科受診をしない傾向には、コンタクトレンズの販売が、ネット通販やドラッグストア、雑貨店などの新しい流通チャネルへと多様化し、非対面販売が増えたことが要因として考えられています。

ちなみに、なぜ購入時に眼科を受診しないのか?の理由としては、「目に不具合・不都合を感じていない」、「お金がかかるから」、「眼科受診の必要性を感じていないから」という回答が上位にきています。

男性ユーザーの眼障害の発生件数は使用コンプライアンス低下に関連

「コンタクトレンズの使い方が原因で1ヶ月以上治療したことがある」のは、女性4.8%に比べて男性10.8%と、男性のほうが多いという結果が出ています。

使用コンプライアンスの実態結果を男女で比較してみると、「2枚重ねで装用」や「友人・家族などとレンズの貸し借り」、「水道水でレンズを洗う」など、誤った使用方法をしたことがあるのは男性の方が多いという結果に!
このことから、女性より男性のほうが多く眼障害を発症しているのは、使用コンプライアンス意識の低さが関係しているのではないかと日本コンタクトレンズ協会は分析しています。

コンタクトレンズは「高度管理医療機器」って知ってた?

コンタクトレンズは、『副作用または機能の障害が生じた場合に人の生命及び健康に重大な影響を及ぼすおそれがあるもの』として、薬機法では「高度管理医療機器 classⅢ」に分類されています。透析機器や人工骨頭、放射線治療機器などと同じ分類の医療機器なのです。
おそらく若年層にとっては、ネットで気軽に購入できるコンタクトレンズが「医療機器」であるという認識すら薄いのではないでしょうか。

コンプライアンス軽視で深刻な眼障害が増加傾向に

今回のセミナーでは、川崎市立多摩病院 眼科部長・聖マリアンナ医科大学 講師の松澤亜紀子先生から「コンプライアンス軽視による眼障害」についても説明されました。数年前に実施したコンタクトレンズ関連眼障害のWeb調査結果によると、眼障害と関連する要因には以下が挙げられ、コンプライアンス軽視による眼障害が生じていることがわかっています。
衛生管理の低さ
・交換スケジュールを超えた使用
・装用したままの睡眠
・長時間の装用

そのひとつに、コンタクトレンズの装用方法の問題があります。ソフトコンタクトレンズは角膜(いわゆる黒目と呼ばれる部分)を覆っているのですが、角膜への酸素供給はレンズを通して行われています。

一日使い捨てのカラーコンタクトレンズを外さずに寝てしまうと、角膜への酸素供給が十分にできず、疼痛やかすみ、充血など様々な急性症状が生じることがあるのです。

松澤先生「酸素の通りが悪いコンタクトレンズを長時間使用することによって、角膜が急性の酸素不足になって角膜表面の皮がはがれてしまったり、角膜混濁が生じたりするなど、自覚症状がでにくい内皮障害を起こしているケースが見られます」

コンタクトレンズの衛生管理も不十分!眼障害が起きてしまう前に見直しを

ちょっと想像したくない状況ですが、コンタクトレンズのケース内に細菌が認められた割合はなんと59.7%もあるそうです。


水中や土壌など私たちの周りに存在する「緑膿菌」や「アカントアメーバ」による角膜潰瘍は、治療開始後3ヶ月で視力0.1以下の「重症コンタクトレンズ関連感染症」の原因病原体のひとつとなっています。レンズの不十分な衛生管理によって緑膿菌などによる感染症が起きると、場合によっては手術が必要になるなど、一生涯で視力障害が生じるようなケースもあります。

「レンズケアを含めた衛生管理の問題もコンプライアンスのひとつです。汚れたレンズケースはNGです!」と松澤先生は強く警告しています。
レンズケースはレンズを装用する間にすすぐようにし、毎回乾燥して定期的に交換するようにしましょう。

使い捨ての空のコンタクトレンズケース(ブリスター)は近年、店頭などで回収する取り組みも進んでいます。これは、容器のプラスチック部分を資源としてリサイクルするプロジェクトです。
今回の実態調査では、約3割がブリスターのリサイクルに協力意向があったそうですが、SDGsの観点からも、身近にできる廃プラスチックリサイクルと眼科受診をセットで考えてみるといいかもしれませんね。

自己流はNG!眼科での定期検査を受けて、コンタクトレンズの正しい知識を!

一般社団法人日本コンタクトレンズ協会では、9月10日の「コンタクトレンズの日」から10月10日の「目の愛護デー」までの1ヶ月間を、コンタクトレンズと目の啓発期間として、使用コンプライアンスに関し、特に若年層への啓発を実施します。具体的には、動画クリエイター「ぶんちゃん/重松 文」さんと「雨音」さんを起用し、TikTokにてコンタクトレンズあるあるショート動画を配信します。また、定期的な眼科受診の啓発を目的にYouTubeでもクリエイターとタイアップし、眼科受診の重要性を訴求するVlogも配信予定です。投稿動画はこちらからもご覧いただけます。

一生付き合っていく自分の目を守るために、毎日正しくコンタクトレンズを使用し、正しい方法でケアすることが大切です。コンタクトレンズユーザーの方は、この機会に自己流の使い方を見直して、できれば眼科受診してみてはいかがでしょうか。


執筆/ フリーライター こだまゆき