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肌の健康も健やかな暮らしの基本!涼しくなってきた秋の乾燥肌対策


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 13 気候変動に具体的な対策を
肌の健康も健やかな暮らしの基本!涼しくなってきた秋の乾燥肌対策

10月。ようやく涼しくなり待ちかねた秋がきて喜んでいる人も多いかもしれませんが、実はこの時期は肌荒れや乾燥など肌にまつわる悩みを抱える人が増える時期でもあります。

SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」。肌の調子が悪いと気分が暗くなる、外に出るのが嫌になる、など、生活に支障をきたす人もおり、肌の健康も健やかな暮らしの中で大切な指標の一つです。

そこで今回は、ココメディカルクリニックの泉先生に、乾燥肌の原因や対策と併せて、体内外からの最新のケア方法や美肌に必須の栄養素などを伺いました。

秋の乾燥の大きな原因は夏に浴びた紫外線やエアコンによるダメージ

秋になると「季節の変わり目は、いつも肌がカサカサする」「涼しくなると、今度は乾燥や肌荒れが気になる……」といった悩みを聞くことが多くなります。これは夏に受けた強い紫外線のダメージやエアコンによる乾燥、気温・湿度など環境の変化によって、肌本来の力が弱ってしまっていることが大きな原因といえます。また、夏場に、汗をかくことで皮膚が潤っていると錯覚し、乾燥していることに気が付かないケースや、肌のベトベト感を嫌い保湿ケアを怠ってしまい、夏に蓄積された肌ダメージが、秋口に乾燥肌として現れてしまうことも。
毎年秋になると肌の乾燥が起こりやすい人は、夏の時点で肌をいたわりつつ、適切なケアで肌を健やかに育てる必要があります。

夏の強い日差しによる紫外線を浴び続けた影響で、秋の肌は皮膚のバリア機能が低下しやすい状態になっています。 紫外線(UV)のうち、一年中地上に降り注いでいるのは「UV-A 波」と「UV-B 波」の2種類。これらが肌に悪影響を及ぼし、乾燥や肌荒れの他、シミ・シワ・くすみ・たるみなどのエイジングサインまでも引き起こします。また、紫外線は細胞が一定の周期で生まれ変わる仕組み「ターンオーバー」を乱す原因のひとつでもあります。このターンオーバーが乱れるとバリア機能が低下し、乾燥しやすくなります。

そして秋は冬に向かうにつれて、外気や室内の湿度が低下しやすくなる時期です。湿度が下がり空気が乾燥すると、肌の水分の蒸発が進み、乾燥肌を引き起こします。

乾燥肌対策に必要な3つの栄養素

乾燥肌対策で重要なのは、肌の表面にあるバリア機能を向上させること。バリア機能が正常に働いていると、肌の水分を保ち蒸散を防いでくれるほか、乾燥を防ぎ、アレルゲンなどの侵入や外部刺激から肌を守ることができます。肌のバリア機能を保守するためには、保湿や正しいスキンケア、過度にこすったり、触ったりしないなど外部刺激を避けることが大事なのはもちろん、 ターンオーバーを整え、乾燥しにくい肌を作るため、栄養バランスの優れた食事や規則正しい生活、適度な運動を続けることも必要です。

なかでも肌に直結する食事はとても重要。食物から摂る栄養素は、血液中に取り込まれて全身へ運ばれ、肌の健康に役立てられます。偏りなく栄養を摂る事が一番ですが、そのなかでターンオーバーするために必要な栄養素としてビタミンB群は欠かせません。なかでも泉先生がおすすめするのは「B2、B6、ナイアシン(B3)」です。

肌のバリア機能を多方面からサポートしてくれる、と美容界で注目されている「ナイアシン(ビタミン B3)」は、水溶性のビタミンで、ビタミンB群の1種です。皮膚の炎症を抑える作用があり、ニキビや赤み、肌の刺激を和らげるために使用されるほか、保湿効果にも優れており、乾燥肌対策には欠かせません。セラミドなどの細胞間脂質の産生を促し、角質層をセラミドが隙間なく満たすことで、紫外線や大気中微粒子などの外的刺激をはね返すバリア機能が働きます。また肌が水分を保つ力も高まり、乾燥や肌荒れを起こしにくくなるという嬉しい効果も。
ナイアシンは多くの食材に含まれますが、特に魚、レバー、肉に豊富に含まれます。熱に強い一方、水には溶け出しやすいので、加熱や煮汁ごと食べられる調理方法がおすすめです。

続く「ビタミン B2」は、新陳代謝のサイクルを正常に整え、新しい細胞の再生を助ける栄養素。こちらも水溶性のビタミンで、糖質、脂質、タンパク質の代謝、エネルギー生産に関わる酸化還元酵素の補酵素として働きます。特に脂質の代謝を助け、皮膚や粘膜、 髪、爪などの細胞の再生に役立ち、「発育のビタミン」ともいわれ発育促進に欠かせません。毛穴の開きやニキビ、肌荒れの予防にも効果的で、このビタミンB2 が不足してしまうと、肌のバリア機能が低下し、乾燥が原因の肌トラブルや、過剰な皮脂分泌などを招く可能性があります。
ビタミン B2 はレバーやうなぎ、肉、魚、アーモンドなど幅広い食材に豊富に含まれます。のりや乾燥わかめ、干しシイタケなど乾物にも多く含まれます。
肌のターンオーバーを促す働きを期待する場合には、タンパク質やコラーゲン生成を促すビタミン B6 と一緒に摂るのが効果的。水溶性であるビタミン B2 は、尿と一緒に体外に排出されやすく、体内にとどまりにくい性質であるため、意識してこまめに補給することも大切です。

最後に、たんぱく質を作るのを助ける「ビタミン B6」。エネルギー代謝の補酵素として重要なビタミンで、特にタンパク質の分解を助けます。免疫機能の正常な働きの維持、皮膚の抵抗力の増進にも必要で、赤血球のヘモグロビンの合成にも欠かせない栄養素です。ビタミン B6 の代表的な働きは「タンパク質」「脂質」「炭水化物」の代謝です。それに加えて皮脂の分泌をコントロールする役割も担っているので、肌の健康には欠かせない栄養素です。皮脂が正常に分泌されると、乾燥肌が改善し、ニキビや吹き出物も出来にくくなります。肌のバリア機能も向上するので、冬時期でも調子よく過ごすことができます。
ビタミン B6 は牛、豚、鶏肉、レバーや、マグロをはじめとした魚の赤身、ひまわりの種やピーナッツなどの種実類に多く含まれます。動物性食品、植物性食品にかかわらず、多くの食材から摂取することができますが、水に溶けやすく酸や光に弱いため、冷凍食品や加工食品などではなく刺身などできる限り新鮮な状態で摂取するのが効果的です。

秋が旬の食材には栄養素が豊富!さんまを食べて肌も体も健康に

食欲の秋は、実は美肌のための季節。野菜や果物から魚介類まで、旬を迎えるたくさんの食べ物をバランスよく摂ることで、乾燥肌などの肌悩みを防いで、美肌をキープすることができます。

秋の味覚の代表的な食材のひとつが、この時期脂がのっていて美味しい「さんま」。 栄養たっぷりのさんまは健康にとても良いですが、泉先生は、さんまこそ乾燥肌対策で紹介した栄養素「ビタミン B2」・「ビタミン B6」が豊富な美肌食材だといいます。さんまの食べ方としておすすめなのは、美容オイルとして有名なオリーブオイルと一緒に和える「さんまのカルパッチョ」。ナイアシンが豊富なカシューナッツやアーモンドを砕いて上からまぶして頂くと、美肌効果に加え、 違った食感も楽しめるのでおすすめだそうです。

栄養素について詳しく見ていくと、肌の健康は血液や細胞など体の健康とも密接にかかわりがあることがわかりましたね。今回はSDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」を軸に考えましたが、乾燥の問題を肌を乾燥させる原因のひとつである”紫外線”にフォーカスしてみると、目標13「気候変動に具体的な対策を」にも関わってくるように思います。肌の乾燥対策は、広義には気候変動への具体的な対策のひとつとも言えるかもしれません。

ココメディカルクリニック院⻑ 泉さくら(いずみさくら)氏

日本皮膚科学会皮膚科専門医
琉球大学医学部卒業/東京大学医学部附属病院皮膚科・都内美容皮膚科・形成外科勤務後、ココメディカルクリニックを開業。一般皮膚 科、美容皮膚科、アレルギー外来、女性外来を行い、近代⻄洋医療と 補完代替医療、伝統医学等を組み合わせて行う統合医療を積極的に 取り入れている。
「めざましテレビ」「林修のレッスン!今でしょ」「なないろ日和」「それって!?実際どうなの課」など TV や雑誌に多数出演。


執筆/フリーライター Yuki Katagiri