10月19日は国際生理の日!女性が働きやすい職場環境とは? 「働く女性と健康を考えるトークセッション」リポート
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10月19日は「国際生理の日」。多くの人に「生理」に関わる問題に気づきを与えることを目的として、2019年10月19日にアメリカで制定されました。英語では「NATIONAL PERIOD DAY」といいます。
この「国際生理の日」に向けて、女性ひとり一人の“Well-living”をデザインするプロジェクト「W society」は、花王株式会社「職場のロリエ」との共催で「働く女性と健康を考えるトークセッション~今求められる職場におけるヘルスケアサポートとは~」を、10月15日に開催しました。今回はその様子をリポートします!
元バレーボール女子日本代表古賀紗理那さんがアスリート時代の「生理」体験談を明かす
今回のイベントには、元バレーボール女子日本代表の古賀紗理那さんがゲストとして登壇し、女性アスリート特有の健康課題とどのように向き合っていたのかなどが語られました。
まだ記憶に新しいパリ五輪を最後にコートを退いた古賀さんですが、「アスリート時代は生理不順がひどかった」といいます。長期の海外遠征が増えると環境の変化や食事の変化などで、生理が決まった周期で来ないことがあり不安を感じていたそうです。
しかし「所属チームのトレーナーが女性だったので、気兼ねなく相談できていました。日本代表のトレーナーは男性でしたが、気さくな方だったので信頼関係を築けていて、体の不調などは相談して監督やコーチ陣との連携もしっかりやってもらっていました」と、周囲の環境に生理への理解があったことに感謝していると語りました。
女性特有の健康課題による経済損失は年間で3.4兆円!
この日モデレーターを務めたW society主宰の谷村江美さんからは、働く女性をとりまく現状として興味深いプレゼンテーションがありました。
紹介されたのは、経済産業省が今年2月に発表した『女性特有の健康課題による社会全体の経済損失』に関する調査結果です。
生理前から始まる精神的、身体的、社会的症状などの「月経随伴症」や「更年期症状」など、女性特有の健康課題による日本社会全体の経済損失は、なんと年間で約3.4兆円にもなるそうです。
「しかし、その3.4兆円のうち企業が積極的に取り組むことで1.1兆円ほどのポジティブインパクトが作用するのではないかとも言われています」(谷村さん)
谷村さんは、生理を含む女性特有の健康課題に対して、社会や企業の理解と、積極的な取り組みが求められているといえるのではないかと説明しました。
突然生理がきても安心して働けるように!ナプキンの備品化プロジェクト「職場のロリエ」
トークセッションでは、花王株式会社が2022年から推進している、働くひとたちの声からはじまったナプキンの備品化プロジェクト「職場のロリエ」が紹介されました。
これは、トイレットペーパーと同じようにナプキンを備品化するというプロジェクトで、現在200社以上の企業・団体が賛同・導入しています。
同社サニタリー事業部ブランドマネージャーの坂田美穂子さんによると、プロジェクトを始めたきっかけは、「花王の社内で1~3年目の社会人になりたての社員を対象に職場の困りごとをアンケート調査したところ、生理について困っているという実態があることがわかり、これはうちだけではなく、ほかの会社や職場でも“隠れた困りごと”なのでは?と感じたから」だといいます。
そして、あらためて全国の20~30代の働く女性500名を対象に「仕事×生理」のインターネット調査をしたところ、生理について悩みのある人は約6割、そのうち生理中はふだんと比べて仕事のパフォーマンスが下がると感じる人が約8割に及ぶことがわかったそうです。
調査結果によると、生理中外出時の一番の困りごとは「ナプキンの取り替え」で、そのうち約6割がナプキンを取り替えられず「我慢した」と回答しています。
勤務先のトイレにナプキンが備品化されていたら使う?使わない?
「仕事×生理」調査では、職場のトイレにナプキンが備品化されていたら使いたいですか?の問いには83%が「使いたい」と答えています。多くの人は生理が近くなると自分の使い慣れたナプキンを持ち歩いていると思いますが、ときには突然生理が来てしまったり、バッグに入れるのを忘れてしまうこともありますよね。
実際に「職場のロリエ」を会社の福利厚生としてテスト導入している企業からは、「ナプキンを替えたいのに予備がない時助かりました」や「生理が急に始まってしまった時も心強い」などの声があがっているそうです。
そして、「自分の会社が福利厚生が整っているなと感じる」と、会社への期待度もアップする声もあり、ナプキン備品化は職場改善にも一役買っているようです。離職率の低下につながるといわれている「健康経営」のアプローチのひとつとも言えるのではないでしょうか。
トークセッションで古賀さんは「『今、生理でキツイ』『お腹重い』『腰が抜ける』など選手同士でオープンに話せて、それをトレーナー陣に話せていたことは今思うと良かったのかな」と語っていました。
そのように、話せる雰囲気が職場にあることが、アクションを起こすきっかけになる第一歩なんだと感じたトークセッションでした。
女性が働きやすく、100%の力を発揮できるような環境作り、従業員一人ひとりの個別の事情に対応できる柔軟性のある制度・風土作りが、多様性を尊重するこれからの時代に求められるような気がします。
執筆/フリーライター こだまゆき