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日本で唯一「桜えび」が水揚げされる駿河湾!静岡市のさまざまなSDGsな取り組みとは


この記事に該当する目標
12 つくる責任つかう責任 14 海の豊かさを守ろう 17 パートナーシップで目標を達成しよう
日本で唯一「桜えび」が水揚げされる駿河湾!静岡市のさまざまなSDGsな取り組みとは

静岡市の由比漁港といえば、日本で唯一「桜えび」が水揚げされることで有名な駿河湾の漁港です。駿河湾の恵みともいえる桜えびは、“海のルビー”とも称され、揚げたてのサクサク感が美味しいかき揚げなどで食べられています。今回は、近年記録的な不漁に陥っている桜えび漁や、プラモデルのまちならではのプロジェクト、「レッサーパンダの聖地・静岡市」を担う日本平動物園など、静岡市のSDGsな取り組みを深掘りしたいと思います。

“獲りながら増やす”資源管理を実施、駿河湾の桜えび漁業

駿河湾の由比漁港で11月4日、桜えびの秋漁が解禁となりました。初日の水揚げ量は前年比2倍の約2.3トンで、翌日5日には初競りが行われました。

桜えびの漁期は3月中旬~6月初旬の春漁と、10月下旬~12月下旬の秋漁の年に2回のみ行われています。相模湾や東京湾などにも生息する桜えびですが、漁業の営業許可が認められているのは静岡県だけ。つまり国産の桜えびは100%駿河湾産なのです。

桜えび漁は2隻が1チームとなって網を曳く「2そう船曳き漁法」です。水深200~300m付近に生息している桜えびは、夜になると下から浮上してくるため、日没までには漁場に着くように出港し、魚群探知機を使って群れを探しあてます。

報道などでもよく取り上げられるのでご存知の方も多いと思いますが、桜えびの漁獲量は近年減少傾向にあります。2018年には記録的な不漁に見舞われ、秋漁の操業を中止したほどです。これは120年余りの桜えび漁業の歴史でも初めてのことでした。
不漁の原因ははっきりわかっていません。温暖化や海流による桜えびの生息環境の変化、富士川の水質汚染(濁り)や黒潮大蛇行による影響、そして水揚げ量の過多も考えられています。

「今までも10年に1度くらいの割合で不漁があったが、2、3年で回復してきた。ここ数年はその回復傾向が遅い」と話すのは、静岡県桜えび漁業組合の實石正則組合長です。
資源の激減を受けて県桜えび漁業組合では、主な産卵場である駿河湾の奥に「保護区」を設定したり、漁を行う隻数や網を入れる回数を制限するなど自主規制を行っています。

「桜えびの歴史の中でどん底を味わった。一時は由比の街に人が来なくなってしまったし漁師だけでなく加工屋も大変だった。経済活動と資源回復の兼ね合いを考えることが重要。楽しみに来てくれる方々のために引き続き価格安定供給を目指したい」(實石さん)

桜えび漁は、持続可能な漁業と資源管理強化のために、水揚げ金額を全船均等に分配する「総プール制」を長年とっています。わかりやすくいうと、10隻の船で漁獲した桜えびの漁獲高が1000万円だった場合1000万円÷10艘で、1隻あたり100万円が均等に分配されるという仕組みです。

實石組合長によると「春に採れる桜えびは人間でいうと青年~親で、秋は青年。生で食べるには秋の方がやわらかくて美味しい」そうですよ。秋漁は12月25日の晩まで行われる予定です。

静岡市はレッサーパンダの聖地!日本平動物園の保全活動

静岡を代表する景勝地・日本平の麓にある「静岡市立 日本平動物園」は、レッサーパンダの聖地として知られています。愛くるしい姿で人気者のレッサーパンダですが、実は絶滅危惧種に指定されている動物です。

日本平動物園は、日本国内の「(シセン)レッサーパンダ」の血統登録を行いながら保護繁殖に力を入れており、1989年に日本初の人工哺育に成功したほか、2013~2019年まで7年連続で自然繁殖に成功するなど、これまで多くのレッサーパンダを繁殖しています。あの“立つレッサーパンダ”で一躍有名になった風太くんも日本平動物園生まれなんですよ。

世界で飼育されているシセンレッサーパンダの約7割が日本で飼育されていて、その数は世界一となっています。日本平動物園は世界的にみても重要な役割を果たしているといえる動物園なのです。

模型メーカーがたくさん!「静岡市プラモデル化計画」とは

日本全国のプラモデル出荷額の80%以上を静岡市が占めているのをご存知でしょうか。 現在“プラモデルのまち”を体感できる地方創生プロジェクト「静岡市プラモデル化計画」が推進中です。

主な取り組みのひとつが「プラモニュメント」です。組み立て前のプラモデルをイメージしたモニュメントのことで、現在は市内12個所に13基設置されています。プラモデルのパーツとなっている郵便ポストなど、遊び心満載のものもあって、地元の人をはじめ観光客にも親しまれています。

さらに静岡市では、本来廃棄されることが多いプラモデルランナー(組み立てる前のプラモデルの部品とつながっている枠)を回収するBOXを設置する取り組みも行っています。回収したプラモデルランナーを活用して、ランナーアートの制作や展示を行うことで静岡市の観光資源であるプラモデルをPRしています。

令和6年度静岡市SDGs連携アワード受賞グループ決定

SDGs目標17に「パートナーシップで目標を達成しよう」があります。これは持続可能な社会を実現するために企業、団体などがパートナーシップを結び、相互に協力し合うことの重要性を示した目標です。

静岡市ではパートナーシップ促進を目的に、地域課題解決に向けて、SDGs達成につながる取り組みを行う企業・団体などのグループを公募し、表彰グループを決定しています。令和6年度の「静岡市SDGs連携アワード」受賞事例が先日発表されました。
表彰部門には、大賞のほか、ローカルビジネス部門、ローカルアクション部門、パートナーシップ部門、ユースアクション部門の4つの部門賞と、SDGsローカルハブ都市特別賞が設けられています。

今年の大賞には『LGBTQカップルのためのフレンドリー企業一覧マップを製作』が選ばれました。LGBTQカップルが悩むことなく店舗に足を運ぶことができるようにと、学生・大学・団体等が連携し、MAPと協力店舗向けロゴステッカーを製作しました。

今回は、次世代へ繋ぐための桜えび漁業や、プラモデルのまちならではのプロジェクト、レッサーパンダの繁殖管理を担う日本平動物園など、静岡市の取り組みをいくつかピックアップしましたが、皆さんはどの取り組みが気になりましたか。
地域の特色や取り組みの方向性が出て、地方創生にもつながる自治体SDGsは各地で展開されています。自分の住んでいる街でもどんなSDGsな取り組みをしているのか、調べてみてはいかがでしょうか。


執筆/フリーライター こだまゆき