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東京都庁が来春から「週休3日制」を導入!働き方の多様性とは


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8 働きがいも経済成長も
東京都庁が来春から「週休3日制」を導入!働き方の多様性とは

東京都の小池百合子都知事は12月3日、子育てと仕事の両立のための新たな支援策として、2025年4月から「週休3日制」を導入する方針を明らかにしました。
「出産や育児といったライフイベントによって、自らのキャリアを諦めることがないよう都庁の働き方を柔軟に見直す」というこの新制度は、フレックスタイム制を活用した柔軟な勤務形態により実現するものです。
「週休3日制って、そもそもお給料はどうなるの?」「働く時間は変わる?変わらない?」と気になりますよね。今回はこの「週休3日制」について深堀りしていきましょう。

週休3日制ってどういう仕組み?導入パターンは大きく3つ

「週休3日制」とは、1週間に3日の休日を設定することです。働く人の希望に合わせて1週間に休日を3日とする働き方の制度を「選択的週休3日制」と呼ぶこともあります。
労働基準法では、休日は1週間に少なくとも1回、4週間に4回以上与えなければならないと決められています。多くの企業では1週間に2日の休日を設けるのが一般的なので、それよりも1日増やす制度ということになります。

「週休3日制」の導入パターンは大きくわけて3タイプあります。
一つ目は「給与維持型」です。これは、給与や1日あたりの労働時間が変わらずに休日が増えるというものです。たとえば所定労働時間が「1日8時間、週5日、週40時間」だったとすると、「1日8時間」は変えずに週4日勤務とすることで、総労働時間は週32時間に減少します。働く時間やお給料はそのままで休日が1日増えるので、従業員としては理想的なパターンですが、短い時間でより多くの成果を出さなくてはならず、生産性の向上が求められるのは必至です。企業側も業務プロセスの見直しなどが必要となるかもしれません。

2つ目は「給与減額型」です。労働時間が減った分、それに比例してお給料も減額されるというものです。例えば「1日8時間、週5日、40時間」が「1日8時間、週4日、32時間」となり、給与は8割に減少するイメージです。お給料が減るというデメリットがありますが、副業があったり、複数の仕事を掛け持ちしているようなパラレルワークの人には、魅力的なパターンといえるのではないでしょうか。

3つ目は、1日の労働時間が増えて収入が変わらない「総労働時間維持型」です。「週5日×6時間=30時間」から「週4日×7.5時間=30時間」とするケースがこれにあたります。お給料は変わりませんが1日の労働時間が長くなるので、疲労がたまるというリスクが考えられます。アフター5を習い事や趣味の時間にあてている人には不向きかもしれません。

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実はこの週休3日制、ここ数年で採用する企業が増えてきています。コロナ禍の2021年6月に政府が「経済財政運営と改革の基本方針2021」において「選択的週休3日制」の普及を促す方針を示したことも影響しています。

ユニクロを運営するファーストリテイリングは2015年から、地域正社員を対象に週休3日制を導入しているリーディングカンパニーです。変形労働制を利用して1日の労働時間を8時間から10時間に増やすことで、週休2日制と同様の給与を支給する「総労働時間維持型」を導入しています。

塩野義製薬では2021年10月から選択週休制度を導入しています。制度を利用する場合は、所定労働時間は5分の4になり、給与は原則80%相当となるそうです。働く時間に応じて給与を削減する「給与減額型」です。多様な働き方・柔軟な働き方を目指す同社では、社外に目を向け、そこでの学びを本業に活かしてもらいたいとの考えから、副業基準の見直しを併せて実施しています。

みずほフィナンシャルグループでは2020年12月から、社員本人の希望で就業しない日を週に1日または2日設定することが可能な「週休3日・4日」制度を導入しています。これは3大メガバンクでは初の試みです。給与は週休3日で従来の約8割、週休4日では約6割に減る「給与減額型」です。20代は自分磨き、30代は育児、40〜50代は介護や自身の健康ケアなどが多く見受けられ、年代別に特徴が現れているといいます。

すでに週休3日制を実施している自治体もあります。千葉県では2024年6月から全職員を対象にフレックスタイム制を導入し、選択的週休3日制をとっています。必ず勤務する時間帯「コアタイム」と、始業及び終業時刻を設定できる「フレキシブルタイム」を設けて、4週間単位の155時間という総労働時間は変えずに、一週間で1日を限度に平日も週休日とすることでが可能というものです。

日本マイクロソフトでは2019年に、8月のすべての金曜日を特別有休休暇とする週休3日制のトライアルを実施して話題となりました。業務内容によって導入の向き不向きもある制度ですが、働き方や生き方が多様化し、ワークライフバランスが重視されている今、本人が希望すれば週休3日制を利用できる企業が日本でも増えていくのではないでしょうか。


執筆/フリーライター こだまゆき