大学の運動部活動が持つ様々な資源や公益的な役割を発展させるべく、2019年3月に設立された一般社団法人大学スポーツ協会(以下、UNIVAS)。そんなUNIVASが3月3日、『UNIVAS AWARDS2024-25』の表彰式を開催しました。この式では、大学スポーツ振興に貢献したアスリートや、スポーツに関わる学生、団体が表彰されたそう。今回は、この『UNIVAS AWARDS2024-25』を通して、大学スポーツの未来について考えてみました。
3つの柱で大学スポーツを盛り上げる
改めてUNIVASでは、①学びの充実、②安全安心な環境の確立、③大学スポーツの認知拡大……これら3つの軸で、数多くの事業を展開しています。これらの事業を通して、⼤学スポーツを楽しむ「プレーヤー」を⽀え、⼤学スポーツを応援する「ファン」を増やし、⼤学スポーツを⽀援する「パートナー」の輪を広げていくという好循環を育むことを目指しているのだとか。具体的に見てみると、①は運動部学⽣のデュアルキャリア形成⽀援事業、②は運動部活動や試合・大会の運営環境を整備すること、そして③は試合動画の配信や、今回のような表彰制度に取り組んでいるようです。大学スポーツのさらなる発展を目指す姿勢が随所から感じられますね。
今年で5回目を迎える『UNIVAS AWARDS』
さて、今回ご紹介する『UNIVAS AWARDS』については、2019-20年が初開催だったそう。つまり今回で5回目を迎えたとのこと。その応募数は前回を大きく上回り、全国の加盟大学・競技団体から合計190件が集まりました。なお、部門は全12から成っています。『サポーティングスタッフ・オブ・ザ・イヤー』をはじめ、それぞれの部門で厳正な審査が行われ、優秀賞受賞者・受賞団体を決定。また、最優秀賞が発表されました。
本AWARDSのゲストには、大学運動部出身の3名が登場
大学運動部出身の3名をゲストに迎え執り行われたこの表彰式。柔道日本代表のウルフ・アロン選手、フェンシング日本代表の宮脇花綸選手、そしてハンドボール元日本代表主将の土井レミイ杏利氏が登場しました。イベント内では、受賞者への激励の言葉や、それぞれの大学運動部時代のエピソードなどを話す場面も。

例えば、『パラアスリート・オブ・ザ・イヤー』の表彰で登壇した⼟井⽒は、デュアルキャリア 形成の重要性を語っています。「競技と仕事を両立する道についてしっかり考え、行動することで、人生が多角的に豊かになる」という旨を学生たちに伝えました。
そのほか、⽇本の⼤学スポーツのポテンシャルを信じる宮脇選⼿たちも、未来の日本を担うアスリートに向けエールを送る姿が。優秀賞、特別賞、各部⾨の最優秀賞という順に表彰は進み、式は締めくくられました。
学生たちとゲストによるスペシャルコンテンツも実施
表彰式後、スペシャルコンテンツとして行われたのはトークセッション。ウルフ選⼿、宮脇選⼿、⼟井⽒のゲスト3名と、「パラアスリート・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞した近藤薫選⼿、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞した神野ゆめ選⼿、「マン・オブ・ザ・イヤー」最優秀賞を受賞した今 﨑圭秦選⼿の計6名で話が展開されました。


⾃⾝の学⽣時代のエピソードを語りながら、「⼤学時代がキャリアの中でも最も熱があったと思う」と話すウルフ選⼿。また、宮脇選⼿も、応援してくれる⼈や仲間の存在に気付くきっかけが⼤学時代にあったことを明かします。表彰式同様、スペシャルコンテンツでもゲストそれぞれが激励の言葉を残し、大学スポーツに携わるすべての人に響く会となりました。
大学スポーツのさらなる発展を目指して
最後に、大学スポーツの未来を照らす『UNIVAS AWARDS』をSDGsの視点で見つめていきたいと思います。今回は、「4.質の高い教育をみんなに」に当てはまるのではないでしょうか。まず全12から成る幅広い部門は、性別や年齢、障がいの有無を問わず、あらゆる人を対象とした公平さを感じさせるでしょう。受賞を目指すことが、勉学・仕事とスポーツの両立など、自身のキャリアを考えるきっかけにもきっとなるはず。また、表彰式のオープニング時、UNIVAS会⻑ 福原紀彦⽒の挨拶で「受賞された⽅々が社会⼈として、また、社会⼈アスリートとして活躍することを願っている」という言葉を残したことも印象的でした。この『UNIVAS AWARDS』が、大学スポーツ関係者の健やかな心身を支え、明るい未来をつくっていくことに貢献していることを感じさせます。さらに、選手たちへの影響にとどまらず、このような会は、我々にも大学スポーツを知るきっかけを与えるでしょう。認知度が上がることで、大学スポーツを応援する人、大学スポーツに取り組みたいと思う人なども増えるかもしれません。こうした輪が広がっていくことで、大学の運動部活動の知見や資源、コミュニケーションが多角的に発展していきます。選手、ファン、パートナーなどそれぞれの立場で、大学スポーツを楽しんでみると面白そうです。
執筆/フリーライター 黒川すい