【初開催】「Peatix コミュニティアワード 2025」受賞者決定!
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地域、世代、職業、そして想い。あらゆる垣根を越えて、多様な人々が「つながり」から社会を変えていく──。そんなコミュニティの力に光を当てるイベント「Peatix コミュニティアワード 2025」が、初めて開催されました。全国から約450のコミュニティがエントリーし、その中から11のカテゴリーで33の取り組みが表彰されました。「コミュニティが人を育て、社会を動かす」という視点は、SDGsの中でも特に「パートナーシップで目標を達成しよう」(目標17)に直結する取り組みです。本稿では、このアワードが生まれた背景と、注目すべき受賞団体を取り上げながら、「つながり」の可能性を再考します。


「イベントの多くは一過性で終わってしまう──そんな固定観念を壊したかった」。Peatix Japan代表・藤田祐司さんの言葉が示す通り、今回の「Peatix コミュニティアワード 2025」は、単なる表彰の場ではなく、“コミュニティ同士が交差し、新しい出会いや発想が生まれる場所”として設計されました。その象徴的なコンセプトが「クロスオーバー・プレイグラウンド」です。
このアワードの根底にあるのは、13年間で12万を超えるコミュニティ支援に携わってきたPeatixの実感です。イベントを通して、地域に暮らす人々が関わり、他者の挑戦を応援し、自らも一歩を踏み出す──。そんなポジティブな循環が、見えづらいけれども確実に生まれている現場の声を、社会に広げたいという強い想いがありました。
実際に受賞した団体の顔ぶれも、その多様性を象徴しています。岐阜県飛騨市の「飛騨市ファンクラブ」は、1.6万人が参加する“関係人口型”の行政コミュニティ。福井の高校生たちが主導する「ふくいSMILEアクティ部」は、高校の枠を超えたつながりを築いています。
一方で、「母親を、もっとおもしろく。」というメッセージを掲げた「母親アップデートコミュニティ」や、「無職」や「休職」をポジティブに捉える「むしょく大学」など、個人の想いや立場に寄り添いながら“生き方”を問うコミュニティも数多く表彰されました。
アート、テクノロジー、教育、福祉……ジャンルは違えど共通するのは、「人と人とのつながりが課題解決の糸口になる」という信念です。こうした動きは、行政や企業だけでなく、個人が社会に対してできる“ソーシャルグッド”の実践例として、今後さらに重要性を増すでしょう。
今回のアワードで特筆すべきは、「つながり」をあえて定義せず、多様な形で受け止めた点です。NPOや行政、スタートアップから学生まで、誰もが“関係性をつくる力”を持っているというスタンスが根底にあります。それは、トップダウンではなく、ボトムアップのSDGsのアプローチとも重なります。
特に印象的だったのは、ろう者と聴者が手話で交流する「POC BAR」や、発達障がい当事者による「Neccoカフェ」など、社会的マイノリティの居場所づくりをコミュニティで実現している例です。彼らの活動は、当事者にとっての安心の場であると同時に、社会側が“学ぶ”機会でもあります。
また、企業内の取り組みとしては、日本オラクルの「ODAN」や、ANAの「Study Fly」など、組織の枠を超えた新しい学びや協働が始まっています。これは、SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」にもリンクします。
つまり、コミュニティはもはや“余暇の活動”ではなく、“社会を変える仕組みそのもの”となっているのです。
「つながり」は、誰かを助ける行為であると同時に、自分の可能性を広げる力でもあります。「Peatix コミュニティアワード 2025」は、それぞれの現場で育まれてきた小さなつながりの積み重ねが、どれほど社会を前向きに動かしているかを可視化しました。
SDGsにおいても、“共に手を取り合うこと”は、あらゆる目標を達成するための基盤です。次に社会を変えるのは、名もなき一人の「つながり」を生み出す力かもしれません。

