世界一の日本酒を決める「SAKE COMPETITION 2025」の表彰式が開催 栄誉ある1位の座はどの銘柄に?
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伝統的な技術が各地の風土に応じて、自然や気候と深く結びつきながら伝承されることで発展してきた日本の酒造り。こうした技術で製造される酒は、儀式や祭礼行事などにも使われ、日本文化で不可欠な役割を果たしてきました。さらにその魅力は、老若男女を問わず多くの人を惹きつけ、日本国内だけでなく世界中からも高い人気を誇っています。
そういった背景から、日本酒や焼酎といった日本の「伝統的酒造り」は、2024年12月にユネスコの無形文化遺産に登録され話題となりました。
今回の記事では、そんな日本酒のトレンドを牽引する品評会「SAKE COMPETITION 2025」の模様をお届けします。
<世界一の日本酒が決まる「SAKE COMPETITION」とは?>


「ブランドによらず消費者が本当に美味しい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい」という理念のもと、2012年から始まったSAKE COMPETITION。市販の日本酒を対象に、完全に銘柄を隠したブラインドでの徹底した審査を行っています。そのため、ブランドや銘柄に左右されることなく、どんな日本酒でも1位をとるチャンスがある品評会です。
今回は、純米酒・純米吟醸・純米大吟醸・Super Premium・海外出品酒の5部門に、新設モダンナチュラル部門を加えた全6部門での審査を実施。
全1163点もの日本酒がエントリーされ、6月10日にTAKANAWA GATEWAY Convention Centerで表彰式が行われました。
<各部門の頂点に輝いた日本酒とは?>


「純米酒部門」では静岡県の磯自慢酒造「磯自慢 雄町 特別純米53」が1位を獲得。「日本酒の原点である純米酒の部門で第1位をいただけたことは作り手冥利に尽きます。岡山県の雄町の特等米の米質にあった酵母を選択しており、手抜きすることなく作りました」と、受賞の喜びを語りました。
「純米吟醸部門」では三重県の寒紅梅酒造「寒紅梅 純米吟醸 山田錦50%」が1位に輝きました。
「本当にびっくりしていますし、表彰後に嬉しさが少しずつ込み上げてきました。今年はお米の品質自体があまりよくなく、酵母も立ちづらかった為、試作では中々満足行くものが作れなかったのですが、工夫と試飲を繰り返しながら、改良を重ねた結果このような賞に繋がったと思っています」と、受賞の嬉しさと共に、近年の高温・異常気象からくる日本酒造りの難しさを語る姿が印象的でした。
続けて、「純米大吟醸部門」では神奈川県の黄金井酒造「盛升 純米大吟醸」、「Super Premium部門」では岡山県の宮下酒造「極聖 純米大吟醸 天下至聖」、そして「海外出品酒部門」ではDASSAI USA lnc.(アメリカ)の「DASSAI BLUE Type 23」が1位に選ばれました。
<新たな視点からスポットライトを当てる「モダンナチュラル部門」>


「モダンナチュラル部門」は、近年若い世代を中心に、ワインに近い感覚で香りやハーモニーを楽しむ、”今風”の新しい飲まれ方も増えてきているという背景から、「今までにない評価基準・視点で日本酒を評価する」という趣旨で新設された部門。
見事1位を受賞したのは、青森県の西田酒造店「田酒 純米大吟醸 山廃」。「重いやクセがあると思われがちな純米大吟醸ですが、山廃の純米吟醸は決して変なクセがあるわけではなく、スッキリとした酸が出ているのが特徴です。これが本当の山廃なんだと伝えたかったので、今回賞をいただけたのはその証だと実感しています」と、受賞の喜びを語りました。
<実力のある酒蔵が上位に。人それぞれの楽しみ方を>


受賞酒蔵からのコメントもあった通り、猛暑の影響でお米の育ちが悪く、多くの蔵元が醸造に苦労したようです。そんな条件下だからこそ、審査を担当した長谷川浩一氏(はせがわ酒店)は、「テクニックのある技術者が作った、米の旨みをバランスよく引き出せたお酒が上位に入賞するのではないでしょうか。
作り手の実力が間違いなく順位に反映される年になるだろうという印象です」と話しました。
「SAKE COMPETITION 2025」に入賞した実力ある酒蔵による日本酒を、この機会に各々の楽しみ方で
嗜んでみるのも良いかもしれません。