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知っておきたい!微妙に違う環境別紫外線ダメージ・・適切な対策とインナーケア


この記事に該当する目標
3 すべての人に健康と福祉を 13 気候変動に具体的な対策を
知っておきたい!微妙に違う環境別紫外線ダメージ・・適切な対策とインナーケア

SDGsの目標13は「気候変動に具体的な対策を」。地球温暖化を止めるため、できることを一つずつしていくのが非常に大切なことです。と同時に、実際にどんどん暑く、紫外線も強くなっている夏。
そんな中で自分の肌や健康を自分自身で守るのも今の私たちには必要なことです。

SDGsの目標3は「すべての人に健康と福祉を」。夏の紫外線対策として、自身の健康のためにどんなことができるのか。今回は地域ごとの環境の違いと合わせて、管理栄養⼠の篠原さんに伺った、肌を内側から守るために⼤切な栄養素や、⽇々の暮らしに無理なく取り⼊れられる方法をご紹介します。

紫外線の届き⽅やダメージの質は環境によって異なる!

晴れた空の下、同じ太陽の光を浴びていても、都市部と⾃然の多い地域では私たちの肌が受ける紫外線の種類や強さに差があるということをご存知でしょうか。実は、反射や⼤気の状態、⾃然環境の違いが、
紫外線の「届き⽅」に微妙な変化をもたらすのです。

都市部と⾃然の多い地域では、紫外線の「量」⾃体に⼤きな差はないとされていますが、肌が受ける影響の質には違いがあります。たとえば都市部では、ビルや道路からの反射光、⼤気汚染による酸化ストレスなどが加わり、紫外線の影響が複雑になります。⼀⽅、⾃然の多い地域では空気が澄んでいる分、紫外線が直接肌に届きやすく、屋外活動が多い⼈ほど影響を受けやすくなります。このように、住んでいる環境によって紫外線のリスクの現れ⽅が異なるため、それぞれに合った対策が⼤切です。

紫外線は、地球に届く太陽光の約6%を占め、肌に⼤きな影響を与える光の⼀種です。私たちの肌や⽬、免疫機能などに影響を与えることが知られており、美容や健康の観点からも注⽬されています。
紫外線は波長の⻑さにより、UV-A、UV-B、UV-C の 3 種類に分けられます。このうち、私たちの肌に影響を与えているのは、主に UV-A と UV-B です。UV-Cおよび⼀部のUV-B は⾮常に強⼒ですが、通常はオゾン層によって完全に遮断されており、地表には届きません。

肌に影響のある紫外線の約9割を占めるUV-A は、通過⼒が⾼く、肌の深層(真⽪層)まで届きます。
これにより、コラーゲンやエラスチンが変性・破壊され、肌の弾⼒が失われ、シワの原因となります。
また、メラニン⾊素が酸化することで肌が⿊くなり、シワやたるみなどの光⽼化の主要な原因にもつながります。

残りの約1割であるUV-Bは、量は少ないものの影響⼒が強く、屋外での⽇焼けの主な原因となります。
照射から数⽇後に肌を⿊くする特徴があり、短時間でも浴びると⾚みや炎症を引き起こすほか、肌表⾯の細胞や DNAにダメージを与えます。このため、シミ・そばかす・シワの原因となるほか、表⽪細胞の損傷にもつながります。

今後は、受ける紫外線の「量」だけでなく、「どう届くか」「どう影響するか」にも⽬を向けて、⽇々のケアを⾒直してみましょう。

「防ぐ」「補う」「ケア」の 3ステップで紫外線対策

紫外線から肌を守るためには、⽇焼け⽌めなどでしっかりと「防ぐ」ことに加えて、栄養や⽔分によって体の内側から「補う」こと、そして⽇差しを浴びた後にしっかり「ケアする」ことが⼤切です。
この3つのステップを意識することで、外側と内側の両⾯から紫外線に負けない肌を⽬指すことができます。

Step1︓防ぐ
⽇焼け⽌めや⾐類、帽⼦、サングラスといった物理的な紫外線対策は、肌を守るための基本です。
これらは紫外線から肌を守るうえで⽋かせませんが、都市や⾃然の多い地域など、⽣活環境に応じて⼯夫を加えることで、さらに効果的に肌を守ることができます。

都市部で特に意識したいのは、ビルやアスファルトからの反射光。顔や首、⼿の甲などの露出部分を重点的にカバーする、UVカットの帽⼦やサングラス、⽇傘を併⽤するなどして、反射光を防ぐようにしましょう。反対に⾃然の多い地域で特に意識したいのは、空気が澄んで紫外線が直接届きやすいため、屋外活動時は広範囲に⽇焼け⽌めを塗布すること、標⾼が⾼い地域では紫外線が強くなるため、UVカット素材の⾐類やつば広帽⼦を活⽤することです。

Step2︓補う
紫外線による肌や体へのダメージは、⽇焼け⽌めなどの外側からのケアだけでは完全には防げません。
そこで重要なのが、栄養や⽔分で体の内側から肌を補うことです。外側と内側、両⾯からの対策を意識することで、紫外線の影響をより効果的に抑えることができます。⽣活環境によって⼯夫は必要ですが、どの環境でも共通して意識したいのが、
❶抗酸化物質で活性酸素の働きを抑える
❷肌の代謝(ターンオーバー)をサポートする
❸メラニンの⽣成を抑制する
の3つです。

これらのアプローチを意識した栄養戦略によって、紫外線による肌ダメージを内側からサポートすることができます。これらをサポートする栄養素や、環境別に摂取すべき栄養素を⽇常的に取り⼊れ、紫外線ダメージの広がりを防ぐことが⼤切です。

Step3︓ケアする
紫外線を浴びた後のケアは、肌の健康を守るためにとても⼤切です。まずは優しく洗顔をして、肌に残った紫外線の影響を取り除き、その後は保湿クリームで肌をしっかりと守ることが基本です。しかし、保湿ケアだけでは⼗分とは⾔えず、内側からのサポートも重要です。肌がダメージを受けた後、しっかり回復するためには、質の良い睡眠が⽋かせません。眠っている間に肌は修復され、ターンオーバーが促進されるので、⼗分な休息をとることで、紫外線のダメージを和らげ、肌の回復を早めることができます。

⼀般的に、理想的な睡眠時間は7〜9時間と⾔われています。もちろん個⼈差はありますが、睡眠が不⾜すると肌の修復や成⻑ホルモンの分泌が⼗分に⾏われにくくなるので、短くても6時間程度は睡眠時間を確保しましょう。また、毎⽇同じ時間に寝起きすることで、体が⾃然に深い眠りに⼊りやすくなります。
規則正しい⽣活を送ることで、より質の良い睡眠を確保できます。スムーズに深い眠りに⼊るため、就寝前はスマートフォンなどの使⽤を控え、リラックスできる環境を整えることも⼤切です。

都市部と自然の多い地域、それぞれの紫外線対策におすすめの栄養素は?

紫外線から肌を守るためには、⽇々の⾷事でどの栄養素を意識するかが⾮常に重要です。紫外線対策において基本となる栄養素はどのような環境でも共通していますが、⽣活環境によって、紫外線の影響の受け⽅には違いがあります。そこでここからは、「紫外線に負けない肌づくり」のために、⽣活環境に応じて優先的に摂りたい栄養素をご紹介します。

ビルが⽴ち並ぶ都市部では、建物の影があり、屋内で過ごす時間も多くなるため、紫外線の影響は少ないと思われがちです。しかし実際には、ガラス越しの紫外線やビル・舗装⾯からの反射によって、知らないうちに紫外線を浴びていることが少なくありません。さらに、⼤気汚染や排気ガスなどの環境ストレスが肌や体にダメージを与える要因にもなります。

こうした都市特有の環境で優先的に取り⼊れたい成分は、外的ストレスに対抗するためのエネルギー代謝や、⽪膚や粘膜の代謝を助けるビタミンB群、そして抗酸化作⽤で細胞膜を守るビタミンEです。
ビタミンB群のなかでも、ビタミンB2やB6は⽪膚の健康に重要な栄養素。ビタミンB2は脂質の代謝を助け⽪膚や粘膜の再⽣をサポートする役割があり、抗酸化酵素の働きを⽀えることで酸化ストレスから⾝体を守るサポートをします。野菜や穀類などの植物性⾷品よりも、⾁や⿂などの動物性⾷品に多く含まれており、なかでも⽜レバーは⼀回で摂れる量も多いのでおすすめです。一方ビタミンB6はたんぱく質や脂質をサポートし、⽪膚の代謝を助けるほか、神経伝達物質の合成にも関与し、ストレスへの抵抗⼒をサポートする働きがあります。マグロをはじめとした⿂の⾚⾝や、種実類、野菜類に豊富に含まれていますが、腸内細菌によって体内でも合成される栄養素です。

⾃然の多い地域では、空気が澄んでおり、⾼い建物も少ないため、紫外線が肌に直接届きやすい傾向があります。また、農作業や散歩など屋外で過ごす時間が⻑くなる⽅も多く、気づかないうちに紫外線をたっぷり浴びてしまっていることも少なくありません。
そんな地域で優先的に取り⼊れたい成分は、強⼒な抗酸化作⽤を持ち、紫外線によって発⽣する活性化酸素を抑えることで肌へのダメージを軽減する働きが期待されるリコピンです。リコピンには炎症を抑える作⽤もあり、⽇焼け後の⾚みや違和感の軽減に役⽴つ可能性があります。リコピンは、トマト、スイカ、ピンクグレープフルーツなどに豊富に含まれており、こうした食材を意識的に取り⼊れることは肌の健康維持に役⽴ちます。

このようにそれぞれおすすめの栄養素はありますが、何よりも⼤切なのは「バランスよく⾷べること」。たとえば、「今⽇は主菜に鮭を選ぼう」「副菜は緑⻩⾊野菜を中⼼にしてみよう」といったように、主⾷・主菜・副菜を揃えながら、その⽇の⾷材を⼯夫して選ぶことが、肌の代謝を整え、健康的な⾝体づくりにつながります。
また、朝⾷を抜き、昼⾷と⼣⾷だけで済ませるといった習慣は、せっかく摂った栄養素も⼗分に活かされず、代謝の⾯でマイナスに働くことがあります。だからこそ、1⽇3⾷を基本に、毎⾷にたんぱく質を含めたバランスの良い⾷事を⼼がけましょう。それが、紫外線ダメージに負けない、健やかで美しい肌や体を育てる第⼀歩です。

監修者:篠原 絵⾥佳 (しのはら えりか)⽒
Health&Beautrition主宰、管理栄養⼠、他

総合病院、腎臓・内科クリニックを経て独⽴。⻑年の臨床経験とアンチエイジング(抗加齢)医学の活動を通して、体の中から健康と美を作る⾷⽣活を⾒出し、分かりやすく発信することを得意とする。
また、チーム医療に邁進する中で睡眠の重要性に気づき、睡眠改善インストラクター、睡眠健康指導⼠を取得。⾷事と睡眠の観点から健康と美容にアプローチする「睡⾷健美」を提唱している。働く⼥性の健康サポート、プレコンセプションケアにも注⼒しており、フィーカレディースクリニックでは栄養相談・睡眠相談を担当。

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フリーライター Yuki Katagiri