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東京都が目指す脱炭素社会 HTTが導く「我慢しない」酷暑対策


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7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
東京都が目指す脱炭素社会 HTTが導く「我慢しない」酷暑対策

気象庁が最高気温40℃以上を「酷暑日」と名付けた今年、小池百合子都知事は「賢い省エネと快適な暮らしを両立するようなアクションで行動を変える夏にしていただきたい」と呼びかけます。
我慢の節電ではなく、賢いエネルギー管理へ。変わりゆく日本の夏の現状を見つめ直し、私たちが今日からできるHTT「へらす・つくる・ためる」の選択肢を考えます。

HTTが目指す脱炭素社会のかたち

HTT(エイチ・ティー・ティー)は東京都が2022年に提唱した、電力を「Hへらす」「Tつくる」「Tためる」の頭文字を取った気候危機対策およびエネルギー安定確保のためのキーワードです。

都民・都の事業者が簡単に取り入れられるアクションを発信しているほか、太陽光発電の導入や省エネ設備への切り替えに対しては、助成金をはじめとした支援策も用意されており、東京都は呼びかけだけでなく後押しの仕組みも整えています。
「知っているけれど、始め方がわからない」という声に応える仕組みが、今、着々と整いつつあるのです。

「酷暑日」が映すのは変わりゆく夏

「酷暑日」という言葉が生まれた背景には、確かな数字があります。気象庁は今年2〜3月に実施したアンケートで13の候補名を示し、約47万8千件の回答のうち「酷暑日」が最多の約20万2千票を集めたことを受け、4月に正式な予報用語として採用しました。
夏日(25℃以上)、真夏日(30℃以上)、猛暑日(35℃以上)に続く、新たな指標の誕生です。

背景にあるのは、記録的な高温の常態化。気象庁によると、2018年以降は毎年、国内のどこかで最高気温40℃以上を観測しており、2025年には群馬県伊勢崎市で観測史上最高となる41.8℃を記録。全国で延べ30地点が40℃以上に達し、過去最多となりました。

長期的に見ても、日本の年平均気温は100年あたり1.44℃の割合で上昇しており、世界平均(100年あたり0.78℃)のおよそ2倍のペースなのです。

さらに暑さそのものだけでなく、それに備える仕組みも進化してきました。2021年には熱中症警戒アラートが全国で運用を開始し、2025年6月からは労働安全衛生規則が改正され、職場での熱中症対策が罰則付きで義務化へ。

「昔ながらの我慢」では立ち行かなくなった暑さに対し、社会の備え方そのものが変わりつつあるのがうかがえます。

「へらす」は、家にあるものから

HTTの「へらす」は、家庭でも身近な工夫から始められます。例えば、窓の外側にすだれやよしずを設置したり、遮光カーテンを使ったりするだけでも直射日光を遮り、エアコンの効きが良くなります。

さらに、2週間に1度のフィルター掃除で消費電力を約4〜6%削減。設定温度を1度見直すだけでも年間約1,000円、必要な場所だけエアコンを使う工夫でも、年間約620円の節約につながるといいます。ほかにも、テレビの使用時間を1日1時間減らすだけで、年間約960円の節約になるそうです。

ポイントは冷房を我慢することではなく、快適さを保ちながら無理なくエネルギーを減らすこと。新しい設備を導入しなくても、今日から始められる工夫は少なくありません。さらに、省エネ家電への買い替えを検討するなら、都の支援制度を活用するという選択肢もあります。

「つくる」は、屋根から始める

日中の強い日差しは冷房需要を押し上げる要因である一方、電力を生み出す資源にもなります。

太陽光パネルを自宅やオフィスの屋根に設置すれば、日中つくった電気をそのまま冷房に使うことができ、電力会社からの購入電力を抑えられます。電力会社に頼るだけでなく、自分の手で電気を生み出すという発想は、猛暑続きの夏を心理的にも支えてくれそうです。

導入コストがハードルになりがちですが、東京都は太陽光パネルの設置に対しても補助制度を設けており、経済的な負担を軽くする仕組みが整えられています。特設サイト「あつまれみんなのHTTアクション」では、こうした設置事例や電気代対策のコラムも紹介されており、一歩を踏み出すヒントを得られます。

「ためる」は、安心をためること

日中に「つくった」電気は、蓄電池や電気自動車(EV)に「ためる」ことで、夕方以降のピーク時にも活用できます。

電気代の高い時間帯を避けるピークシフトはもちろん、災害などの緊急時にも、蓄えた電力が心強い備えになります。「つくる」と「ためる」を組み合わせることで、電力を自給自足しながら、いざというときの安心まで手に入る仕組みが見えてきます。

停電時にもスマートフォンや冷蔵庫を動かせるとなれば、日々の安心感はぐっと増すはずです。都はこうした蓄電池やEVの導入にも支援策を用意しており、「ためる」という選択肢を後押ししています。

企業もHTTを広げている

HTTの輪は、家庭だけにとどまりません。「HTT取組推進宣言企業」に登録されている良品計画は、6月に放送したラジオ番組で、自社の再生可能エネルギー事業「MUJI ENERGY」の取り組みを紹介しました。

令和8年度はFC東京や東急不動産ホールディングス、MIXIなど、業種を超えた企業がHTTに連携しています。それぞれの企業が、それぞれの現場でできる「へらす・つくる・ためる」を実践している様子は、個人の工夫だけでは届かない規模の変化を後押ししてくれます。

記録的な酷暑、電力需給の逼迫、そして電気料金の上昇など。今年の夏、私たちの暮らしはいくつもの課題に同時に向き合うことになります。

省エネ家電や太陽光パネル、蓄電池といった技術と、支援策が組み合わさることは、誰もが安定してクリーンなエネルギーを使い続けられる社会をめざす、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」に直結する一歩。家庭でできる小さな工夫も、企業の大きな取組も、目指す先は同じひとつの未来です。

我慢するのではなく、選ぶ。今年の夏は、暮らしのなかにあるHTTから始めてみませんか。

HTT ACTION
https://www.htt-tokyo.jp/



執筆 / フリーライター 小見山友子