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新たな発想で街の資源へ!神戸市が挑む「異次元の空き家対策」と「再生リン」が拓く持続可能な都市の未来


この記事に該当する目標
11 住み続けられるまちづくりを 12 つくる責任つかう責任
新たな発想で街の資源へ!神戸市が挑む「異次元の空き家対策」と「再生リン」が拓く持続可能な都市の未来

新たな資源循環モデルを構築する、神戸市の挑戦とSDGsへのアプローチ

神戸市が、「未来につなぐ持続可能なまちづくり」をテーマにした交流会を開催。全国の自治体が共通して抱える「都市のスポンジ化」の課題解決に挑む「異次元の空き家・空き地対策」と、下水汚泥から回収したリンを肥料として活用する「こうべ再生リンプロジェクト」について話を聞いてきました。

「空き家対策特命チーム」と「こうべ再生リン」の真価

なぜ今、神戸市はこうした取り組みを進めているのでしょうか。その背景には、人口減少時代における都市構造の変化や、食料安全保障への課題意識があります。

2023年の住宅・土地統計調査によると、神戸市内の空き家数は118千戸、空き家率は13.9%に上ります。
さらに、市民から相談を受けた空き家・空き地の約10%が「所有者不明空き家・空き地」となっており、管理不全による防犯・防災上のリスクも課題となっていました。

こうした状況を受け、神戸市は2024年4月、全国初となる弁護士を含めた専門組織「神戸市空き家対策特命チーム」を設置。
2023年4月に施行された「所有者不明土地建物管理制度」などを活用し、自治体自らが財産管理人の選任を申し立て、売却までつなげる取り組みを進めています。申立実績は全国最多の138件に達し、58件で所有者不明状態が解消されています(2026年7月末時点)。

危険な空き家は「老朽空家等解体補助制度」で解体を促す一方、活用可能な空き家については「建築家との協働による空き家活用促進事業」を通じて、地域の交流拠点やカフェなどへの再生を促しています。
さらに2026年1月には、解体現場から救出した廃材を保管する古材ストックヤード「BIVOUARC(ビバーク)」を開設し、建物を壊して終わりにするのではなく、古材として次の用途へつなげる資源循環にも取り組んでいます。

交流会で体感した「循環の物語」――こうべハーベストが育んだスイートコーンと日本酒の深い味わい

交流会では、こうべ再生リンを使用した肥料「こうべハーベスト」を使って栽培された「BE KOBE農産物」や、神戸の特産品を実際に試食・試飲しました。

なかでも印象的だったのが、スイートコーン。朝採れの新鮮なものは生のまま口にすると、まるでフルーツのようなみずみずしさと強い甘みが広がります。下水処理場という都市インフラで回収されたリンが肥料となり、こうした農産物や日本酒へと姿を変えて食卓に届く――。
その一連のストーリーを実際の「食」として体験することで、資源循環が一気に身近なものに感じられました。

また、特産品である須磨海苔の食害原因となっていた黒鯛(チヌ)を活用した「神戸黒鯛入り春巻き」も用意されていました。未利用魚の消費拡大と食害対策という地域課題を、「食べる」という身近な体験につなげている点も特徴的です。

こうした取り組みから見えてくるのは、地域課題の解決にあたって、暮らしの中の新たな価値へと転換していく神戸市のアプローチです。

資源循環の「神戸モデル」が示す、持続可能な地域社会の選択肢

人口減少や物価高騰など、多くの自治体がさまざまな社会課題に直面しています。そんな中、神戸市はこれまであまり活用できていなかったものを、地域の資源として捉え直し、新たな価値へと転換しています。

空き家を地域の交流拠点へ、古材を新たな建築資材へ、下水汚泥から回収したリンを肥料へ、海苔の食害を引き起こしていた黒鯛を食文化へ――。

行政だけで完結させず、民間企業やクリエイターの力も掛け合わせながら地域課題の解決を目指す神戸市の取り組みは、持続可能な地域社会を考える上で、一つのモデルケースとなりそうです。