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CO2排出量の削減と交通渋滞の解消へ“キックしない”次世代EVキックボード


この記事に該当する目標
7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに 11 住み続けられるまちづくりを 13 気候変動に具体的な対策を
CO2排出量の削減と交通渋滞の解消へ“キックしない”次世代EVキックボード

Future株式会社(東京都港区、代表取締役:井原 慶子)から8月28日(水)に発売した“キックしない”EVボード「FUTURE board 2」の製品説明会が開催されました。
EVキックボードは近年注目されている次世代の個人移動手段の一つであり、特に都市部での移動や短距離移動に最適とされています。EVボードは、軽量でコンパクトな設計により、歩行者や自転車と同様に、狭い道路や混雑した場所でもスムーズに移動できる点が特徴です。

今までのEVキックボードとの違いを含め、FUTURE board 2の発売が発売されることとなった背景と日本経済への期待や関わりについてご紹介します。

CO2排出量の削減と交通渋滞の解消に期待

気候変動は地球規模の課題であり、その対策としてCO2排出量の削減が不可欠です。とある団体の調査によると、人ひとりを1km移動させる際に排出されるCO2量は、乗用車130g、飛行機98g、バス57g、電車17gと言われており、もっとも気候負荷が大きいのは乗用車となります。

FUTURE board 2は電動で動作するため、排気ガスを一切排出しません。自動車やバスに代わって使用することで、化石燃料の消費が減少し、都市部でのCO2排出量が削減されます。

再生可能エネルギー(太陽光、風力など)と組み合わせることで、都市部のエネルギー使用をより持続可能なものにし、気候変動への具体的な対策となります。また、交通渋滞による経済的損失は、世界中の都市や国で大きな問題となっています。FUTURE board 2のようなEVキックボードは、自動車の依存を減らすことにより、渋滞の解消につながり、都市部での駐車問題が軽減されるメリットもあります。

元カーレーサーである井原氏が開発に関わった理由

Future 株式会社代表取締役である井原 慶子(イハラ ケイコ)氏は、コロナ禍の緊急事態宣言中に近所の商店街を訪れた際、商店街の方々が非常に困っている状況を目の当たりにしました。商店街では、弁当などの商品をデリバリーすることが検討されましたが、その際、CO2を排出せず、手軽に乗れるEV(電気自動車)の開発を依頼されました。これが、井原氏がEV開発に取り組み、起業するきっかけとなりました。

地元では、井原氏が元カーレーサーであることが知られていたため、「あなたなら、そういった車両を開発できないか?」という声がかかったのです。

また、その頃は通販を利用し北海道や九州といった遠方から商品を取り寄せる人が多く、地元商店街でもそれらの商品と同じ価格、もしくは安く売られているにもかかわらず、なぜわざわざ遠くから商品を購入するのかという問題も提起されました。遠方からの輸送はCO2を排出し、地域経済にも悪影響を及ぼします。そこで、地域内で商品を循環させ、地元で買い物をすることで地域経済を活性化させるプラットフォームが必要だという話になりました。

このような背景から、井原氏は「地域内循環型のプラットフォーム」と「CO2を排出しないモビリティ」を組み合わせたプロトタイプを開発しました。そして、商店街や商工会議所、商店街連合会、自治体と連携し、実証実験を行うこととなり、これが井原氏の起業の動機となりました。

脱炭素に貢献したいという企業からの声を元に開発

一般的なEVキックボードは、1回の充電で航続距離が20~30km程度ですが、FUTURE board 2は大容量バッテリーを搭載しており、約5時間の充電で約100kmの走行が可能です。さらに、オプションでバッテリーを2本搭載すれば、航続距離は最大で200kmに達します。この長距離EVキックボードが開発された背景には、日々の営業や配達業務でEVを使い、脱炭素に貢献したいという企業からの要望がありました。

国内で販売されているEVスクーターやキックボードに対しては、航続距離が短いことや、特にキックボードの場合、配達には安全性に不安があるという声が多く聞かれました。
航続距離を長くすることで、1日中の配達や営業活動に利用できるようになり、業務効率が向上します。

最近では、配達業務に従事するパートスタッフの中に、運転免許を持たない方も増えています。特定小型原動機付自転車は、免許を持っていない方でも運転できますが、立ちながら荷物を運ぶのは非常に難しく、営業活動を行う方にとっても、カバンを肩にかけて立ったまま移動するのは困難という声がありました。そのため、しっかりと座って運転できることや、ある程度大きな車輪を備えた安全な車両が求められていました。FUTURE board 2は、こうしたニーズに応える形で設計されています。

環境と経済の両立を目指すFUTURE board 2

Future株式会社の「FUTURE board 2」は、脱炭素社会の実現と地域経済の活性化に貢献する次世代のモビリティです。CO2排出量の削減や交通渋滞の解消を通じ、持続可能な都市づくりを推進するこの製品は、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」と13「気候変動に具体的な対策を」に大きく寄与します。地域社会と連携した取り組みを通じて、環境と経済の両立を目指すFUTURE board 2の今後の展開に期待が高まります。


執筆/フリーライター 藍沢美香