地方創生とSDGs-鳥取のアドベンチャーツーリズムの魅力
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アドベンチャーツーリズム(AT)は、「自然」、「アクティビティ」、「文化体験」の3要素のうち2つ以上で構成される旅行を指し、旅行者が地域独自の自然や地域のありのままの文化を、地域の方々とともに体験し、旅行者自身の自己変革・成長の実現を目的とする旅行形態のことです。一般的な観光とは異なり、登山やサーフィン、スカイダイビングなど、挑戦的なアクティビティを通じて自然と深く関わり、その土地ならではの文化や冒険心を体感できます。このようなアクティビティは、環境保護意識や地域文化への配慮が求められ、持続可能な観光として注目されています。
ATは、観光客が新しい体験を楽しむだけでなく、地域の自然資源や文化を保護し、地域経済の活性化に寄与する点で、地方創生の有力な手段となります。
鳥取県では、豊かな自然環境と歴史的な文化が融合し、他にはない多彩なアドベンチャーツーリズムを提供しています。本記事では、そんな鳥取の魅力的なATスポットをご紹介します。
鳥取砂丘✕アドベンチャーツーリズム
全長約16キロメートルにわたって広がる鳥取砂丘は、鳥取県の代表的な観光名所です。訪れる人々は、広大な砂の海に足を踏み入れると、その雄大さに圧倒されます。ここでは、日本では珍しいラクダライドが体験でき、高さ約1.8メートルのラクダの背中から見る砂丘の景色は、まさに非日常の世界です。さらに、鳥取砂丘は日本唯一のサンドボードスポットでもあり、急勾配を猛スピードで滑り降りるスリルは、挑戦者たちを虜にしています。二人乗り可能なサンドスライダーは、年齢制限がないため、家族連れでも楽しめる人気のアクティビティです。
鳥取砂丘は、美しい景観が広がる一方で、海岸線に流れ着く海洋ゴミによる環境悪化が課題となっています。地域住民や民間企業・団体、観光客によるボランティア活動として、砂丘の清掃活動が盛んに行われ、環境保全に貢献しています。
2021年には、アドベンチャーツーリズム× SDGsの趣旨により、通年で実施されているセグウェイツアーに海岸ゴミ拾いオプションを取り入れたエコツアーを実施。
訪れた観光客が鳥取砂丘のアクティビティを通じて鳥取砂丘を楽しみながらも環境課題に触れ、その課題を解決していくという、持続可能な方法で砂丘の美しさを守る取り組みも行われてきました。
この活動は、各種メディアに取り上げられるなど鳥取砂丘を次世代に残すための重要な地方創生の一環として注目を集めました。
大山✕アドベンチャーツーリズム
鳥取県西部に位置する大山は、国立公園として四季折々の自然美を楽しめるエリアです。
雄大な自然を楽しめるエリアとして人気を博している一方、観光客や登山者の増加により、登山道や山頂の環境悪化も問題視されています。
これに対し、地元住民と行政が協力して「一木一石運動」を推進し、荒廃した土地の復旧や保全活動に取り組んでいます。さらに、大山を「守る・育む・活かす」という理念のもと、「大山環境宣言」が策定され、県内外から多くの賛同者を集めています。
また、大山では登山やサイクリング、冬にはスノーシュートレッキングなど、季節ごとに異なるアクティビティが楽しめます。大山周辺の自然環境を活用したエコツーリズムは、観光客の増加による環境負荷を最小限に抑えながら、地域経済を活性化させる「持続可能な観光」の一例です。
これらの活動は、地域住民の環境保護への意識を高めるとともに、持続可能な観光資源としての大山の価値を高め、地方創生に貢献しています。
※一木一石運動…大山から崩落した石を、登山者に一人ひとつずつ持って山頂に登ってもらい、その石で浸食溝を埋めたり、植物の苗を植え、コモをかぶせて保護したり、木道を整備して踏み荒らされないようにすることで、一度失われてしまった緑を復活させ、大山の山頂を崩落の危機から守っていこうという取り組み
※大山環境宣言…鳥取県の名峰大山の自然環境を保全し、地域社会の発展に活かすことを目的として、2013年(平成25年)6月1日に採択された宣言
美しい自然を次世代に残すために
鳥取県のアドベンチャーツーリズムは、自然と共存しながら地域の魅力を最大限に引き出す新しい観光スタイルです。四季折々の美しい自然環境を守り、未来の世代にもその豊かさを引き継ぐためには、地域住民や観光客一人ひとりの協力が欠かせません。アドベンチャーツーリズムを通じて地域経済の活性化を図り、SDGsの目標達成に貢献することは、地方創生における重要な役割を果たします。鳥取の自然を体験し、その価値を再発見することが、地域の未来を支える一歩となるのです。