「気候変動に具体的な対策を」東京マラソン2026、国内初、国際基準でCO2排出量を事前算定
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一般財団法人 東京マラソン財団は、アスエネ株式会社と共同で、2026年3月開催の「東京マラソン2026」における大会運営に伴うCO2排出量の事前算定を実施しました。国内のマラソン大会としては初めて、Scope1~3を含む算定排出量を示しています。
CO2の排出量を正しく可視化し、削減に向けた取り組みを進めることは、SDG目標13「気候変動に具体的な対策を」に寄与する重要な一歩です。
世界7⼤マラソンの⼀⾓を占める存在として、世界水準で進めるCO2排出量の可視化


近年、世界規模のイベントにおいて、環境負荷を把握・開⽰し、削減につなげる取り組みが広がりつつあります。国際スポーツイベントにおいては、来場者の移動、物資の輸送、会場運営に伴う電⼒使⽤など、さまざまな活動を通じて多くのCO2を排出する側⾯を持っています。東京マラソンは今回、国内のマラソン大会としてはじめてScope1-3を含めてCO2の算定排出量を数値で⽰し、⼤規模な国際マラソン⼤会として、 これからのマラソン大会の在り方を他に示しました。
この算定は、 世界7⼤マラソンと並んで議論できる⽔準での開⽰を⽬指して整理しています。 例えば、ベルリンマラソンでは総CO2排出量が約25,950t-CO2と公表されており、Scope3を含めた⼤会全体としての排出構造や主な排出要因を開⽰しています。「東京マラソン2026」においても、こうした国際的な事例と同じレベル、かつ⽐較可能な形で開⽰するため、GHGプロトコルに基づいた事前算定が⾏われました。
排出量のうち88%は「人の移動」
東京マラソンは、国内外から約39,000名 (2026⼤会)のランナーが集まり、 約1万名のボランティアが⼤会を⽀え、 沿道では約100万⼈の観客が訪れる、 世界最⼤級の国際マラソン⼤会です。算定の結果、⼀般的なマスイベントと同様に東京マラソンにおいても、その規模の⼤きさゆえの参加や観戦に伴う来場や移動、運営に関わる活動などが、CO2排出量の構成要素として⼀定の割合を占めることがわかっています。


2025⼤会を元にした事前算定の結果、2026⼤会全体のCO2排出量は26,029t-CO2となりました。この算定は、主催者が直接排出するScope1、⼤会運営で使う電⼒による排出Scope2、そして参加者・観客を含む⼤会全体に関わる排出Scope3の全てを含めたものです。
具体的な項目には、「参加者・観客・関係者の移動」「参加者の宿泊」「物品・飲⾷調達」などがありますが、なかでも最⼤の排出源となったのは全体の約88.4%に相当する参加者や観客を含む「⼈の移動」です。この結果は、マラソン⼤会のCO2排出量が、主催者だけでなく多くの⽣活者の⾏動と密接に結びついていることを表しています。
「走る」ことの可能性と、脱炭素化への次の一歩
東京マラソン財団とアスエネ株式会社には、スポーツイベントの脱炭素化を「⼀部の関係者だけの取り組み」にとどめるのではなく、⽣活と気候変動のつながりを考えるきっかけの⼀つにしたいという思いがあります。


「東京マラソン2026」では、約39,000名のランナーが42.195kmを⾛ることで、合計約164.5万kmもの距離を「⼈の⼒」だけで移動することになります。これは、地球を約41周する距離に相当します。もしこの距離をガソリン⾞などで移動していたとしたら、230t-CO2という膨⼤なCO2が発⽣します。
東京マラソンは、大会で排出するCO2を算定することで、世界規模のイベントを開催する責任を示すと同時に、「⾛る」という行為そのものは、環境負荷を最⼩限に抑えた移動⼿段であるということも示しています。
まずはCO2の排出量を把握すること、これがCO2削減への出発点です。東京マラソンは今後、移動に関する施策やカーボンオフセットなどを通じて、より持続可能な大会運営を目指します。国際大会としての責任ある開示は、国内イベントの新たな基準づくりにもつながっていきそうです。
執筆/フリーライター Yuki Katagiri





