シニア女性のビジュアル表現に変化|ゲッティイメージズの調査から読み解く
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日本社会で高齢化が進む中、シニア世代(60歳以上)の女性に対するビジュアル表現での描かれ方が変化してきています。ゲッティイメージズが3月8日の「国際女性デー」に合わせて公表した分析結果によると、日本のブランドや企業広告などに登場するシニア女性は、かつての家族や介護者らに「ケアされる存在」から近年の自立した「主体的な個人」へと転換してきています。
一方で、ビジュアル表現と実社会との乖離や多様性の欠如といった課題も浮き彫りになっています。
実社会と偏見のギャップ
総務省統計局によると、日本の65歳以上の高齢者人口は3619万人。総人口に占める割合は29.4%(2025年9月15日時点)と世界38カ国の中で最高です。その中でも60歳以上の女性は就業率が上昇しており(内閣府)、チームの中で経験や専門性を発揮したり、健康・金融・旅行・学び・美容などの幅広い分野での主要な購買層であったりと、社会や市場において大きな影響力を持っています。
同社のビジュアルイメージ検索・ダウンロード履歴と、日本のほかアメリカやイギリス、オーストラリアなど25の主要市場で行ったビジュアルに関する消費者意識調査「VisualGPS」を基に、現代の嗜好とニーズを継続して分析してきました。
過去10年にわたるビジュアル表現のトレンドを5年ごとに遡り、シニア女性に対するイメージの変遷を見てみましょう。
2015年はシニア女性が単独で描かれることが少なく、ほとんどの場合はパートナーや家族、介護者らと一緒に過ごす姿で登場していました。


2020年にも他者と共に描かれるケースが中心となりましたが、女性の友人同士で外出や食事、運動、旅行をする姿なども新たに見られるようになってきています。


2025年には女性が一人で満ち足りた様子で過ごす姿が増えました。家庭内での穏やかな時間だけでなく、屋外での様子や健康的な習慣、専門的なサービスを利用するシーンなど幅が広がり、活動的でファッショナブルな姿が描かれるようになりました。テクノロジーも日常の一部に自然に取り入れられています。色味も以前の淡く控えめな色調から、温かみのあるナチュラルなトーンを加える傾向へと変わってきています。


しかし、このようにシニア女性の主体的で多様な姿を映すビジュアルへの人気が高まる中でも引き続き、複数人で登場する場合には家族や介護者との関係で描かれることが多いのが現状です。
昨年時点で、日本のブランドや企業のビジュアル表現でシニア女性が描写される割合はわずか5.3%。また、働いている姿が描かれるケースでは1.6%に留まるなど、実情との間には依然として大きな差が開いています。
グローバルとの比較
シニア女性を表すビジュアル表現には、グローバルと日本では乖離があることも分かっています。広告などでどういったビジュアルイメージを見るかという問いに対し、「シワや体型の変化などの加齢していく姿」と答えたのが日本では42%、グローバルでは37%。「更年期やホルモンが変化する姿」と答えたのが日本では35%、グローバルでは24%でした。グローバル基準で比較した際、日本では加齢に伴うシニア世代特有の姿に着目したビジュアル表現がより多く見られています。
他にも、「恋愛する姿」と答えたのは日本では2%、グローバルでは14%。「リーダーシップを発揮している姿」と答えたのは日本では6%、グローバルで17%。「モダン・スタイリッシュな姿」と答えたのは日本で10%、グローバルで20%。国際的に見ても、日本ではより偏ったビジュアル表現で溢れていることが分かります。
「自立した姿」へ


「人生100年時代」において、社会と消費をけん引するシニア女性。広告などのビジュアル表現で描かれる姿はここ10年で初期的な変化を遂げました。これまでの「ケアされる存在」、「他者とリラックスして過ごす存在」などの従属的な立場から、活動的で自立し、意思決定の中心にいる存在へ。多様なシーンで登場することも増えました。ただ、国際社会と比べると、日本ではいまだに限定的で時代遅れのイメージが根強く、課題として残っています。
今後も高齢化が続く中、シニア世代の存在感や社会的な役割は更に高まる可能性があります。ブランドコミュニケーションにおいても、従来の偏見に基づいた描写から脱却し、多様性に富んだビジュアル表現が求められています。実社会に則した姿を反映することで、消費者からの共感と信頼につながるでしょう。





