• トップ
  • 記事一覧
  • 敬老の日に考えたい。巧妙化する高齢者の消費者トラブルと地域の見守り
SHOW CASE

敬老の日に考えたい。巧妙化する高齢者の消費者トラブルと地域の見守り


敬老の日に考えたい。巧妙化する高齢者の消費者トラブルと地域の見守り

敬老の日を前に考える、身近に潜む消費者被害

9月21日(月)は敬老の日。高齢者への感謝と敬意を表するとともに、高齢者が直面するリスクに目を向ける時期でもあります。
実は今、高齢者を狙った悪質商法などの消費者トラブルが深刻化していることをご存知でしょうか。東京都の令和7年度消費生活相談概要によると、60歳以上の相談件数は約5万件※1に上り、全体の3分の1以上を占めました。

誰もが住みなれた地域で安心して暮らし続ける社会を維持するためには、高齢者の被害を未然に防ぐ手立てが必要です。なぜ被害は減らないのか、最新のトラブル事情とともに紐解きます。

要注意!巧妙化する「高齢者に多い消費者トラブル」

なぜ今、高齢者の消費者被害に改めて警戒が必要なのでしょうか。
その理由は、日常生活に潜む手口の巧妙化と、高齢者を取り巻く環境の変化にあります。

東京都が特に注意を呼びかけている「高齢者に多い消費者トラブル」の実態を見ると、その手口が浮き彫りになります。
被害が際立っているのが、不安をあおる「点検商法」です。
「無料点検」を口実に訪問し、「早く交換しないと危険」などと嘘をついて高額な工事や機器の契約を迫ります。特に近年は分電盤交換に関する相談が激増しており、令和7年度の相談件数は、対前年度比で3倍以上に跳ね上がり、その8割超を60歳以上の高齢者が占めています。※2

不審な電気点検や点検をきっかけとしたブレーカー(分電盤)の交換に関する相談件数及び高齢者(60歳以上)の相談割合の推移

また、スマートフォンの普及に伴い「通信販売トラブル」も高水準で推移しています。SNSや動画配信サービスの広告で「初回限定お試し」「安さ」を強調され、1回だけのつもりで購入した健康食品などが、実は継続的な「定期購入」だったというケースです。定期購入に関する相談件数は4,921件に上り、60歳以上が58.4%を占めています。

スマートフォンの小さな画面では、最終確認画面の小さな文字を見落としがちなため、注意が必要です。
さらに、SMSやメールで未納料金などの名目で金銭を要求する「架空・不当請求」や、「何でも買い取る」と言って自宅に上がり込み、本来の目的とは異なる貴金属などを強引に買い取っていく「不用品買い取りトラブル」など、手口は多岐にわたります。

地域全体で見守る「パートナーシップ」の力

こうした課題に対応するために、東京都をはじめ関東甲信越ブロックは共同で9月を「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン月間」と定め、取り組みを強化しています。特に注目すべきは、行政だけでなく民間企業や地域社会とのパートナーシップによる取り組みです。

例えば、東京都は宅配事業者や配食事業者と協働事業として協定を締結し、配達業務の中で高齢者に声掛けをしながら、悪質商法被害に関する注意喚起のリーフレットを手渡しでお届けしています。対面でのコミュニケーションを通じた情報提供は意識に残りやすく、被害の未然防止に高い効果を見込むことができます。

さらに、9月28日から9月30日までの3日間(9:00〜17:00)には、「高齢者被害特別相談」が実施されます。高齢者本人からの相談だけでなく、家族やホームヘルパー、ケアマネジャー等からの通報や問い合わせを受け付けるホットラインもあり、周囲の「気づき」を促す体制が整えられています。

孤立を防ぎ、周囲の「気づき」を生む社会へ

高齢者の消費者トラブルを防ぐ上で特筆すべきポイントは、「周囲の見守りの目」です。
不用品買い取りトラブルなどでは、契約者が80歳以上の場合、家族や第三者からの相談が半数以上を占めているというデータがあります。これは、本人が被害に気づいていない、あるいは自分自身では相談できない状況を、周囲の人が発見し解決に導いていることを示しています。

デジタル化や核家族化が進む現代社会において、高齢者が孤立しやすい環境が生まれています。悪質業者は、まさにその「孤立」を狙って忍び寄ります。だからこそ、日頃からの声掛けや見守りが最大の防御策となるのです。
宅配事業者や配食事業者との連携に見られるように、日常的に高齢者と接する企業が社会課題の解決に参画することは、地域共生社会の実現に向けて非常に有意義です。

企業が自社のリソースやネットワークを生かし、行政や地域と連携して高齢者を守る。このような多角的なアプローチこそが、複雑化する消費者トラブルに対抗するための鍵となります。

身近な声掛けから防犯の第一歩を

高齢者の消費者トラブルは決してひとごとではなく、私たちの親や将来の自分自身にも起こり得る身近な問題です。
9月のキャンペーン月間を機に、敬老の日に合わせて身近な高齢者や離れて暮らす家族に「最近困ったことはない?」と声を掛けてみてはいかがでしょうか。

「おかしいな」と感じたら、一人で悩まずに「東京都消費生活総合センター(03-3235-1155)」や「消費者ホットライン(188)」へすぐに相談することが大切です。社会全体で連携し、高齢者が安全で安心して暮らせる持続可能な社会を築いていきましょう。

※出典)
東京都消費生活総合センター 令和7年度消費生活相談概要