ファッションの世界が広がる「未来の試着室」開催
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服を選ぶとき、皆さんは何を基準に選びますか?流行、スタイルが良く見える、長持ちしそう、憧れのあの人が着ていた……。時間をかけて選ぶ楽しさもあれば、ここ数年注目を集めているのが、ミニマリスト思考や断捨離ブーム。
手放すことや1つのものを長く愛用することに、意識が向く時代になりつつあります。一方で、ファッション産業は大量生産と大量消費を繰り返し、世界において2番目に環境汚染を引き起こしているとも言われています。
そんな現実を前に、消費者である私たちは、何を選択することが良いとされるのでしょうか?今回ご紹介する「未来の試着室」には、これから先、長くファッションを楽しむためのヒントが、散りばめられています。
未来の試着室とは?
伊藤忠商事が2021年4月15日に開設したITOCHU SDGs STUDIOにて開催されている、ファッションをテーマにした体験型展示会です。
展示会では5つの試着室が設置されており、「地球環境への配慮」「リサイクル」、「リユース」、「ダイバーシティ&インクルージョン」、
「伝統文化の継承」、といった異なるテーマに分かれています。
たとえば、
「リユース」では、100年以上『黒染め』を追求してきた京都紋付が展開する、着古した服やアパレルの在庫を黒染めで蘇らせるサービスが用意されています。「地球環境の配慮」では持続的な活用が可能なフィンランドの針葉樹由来のセルロース繊維の素材ブランドがあったり、「リサイクル」では、衣料生産時に出た残反・裁断くずや要らなくなった服を糸まで戻し、生地や服、製品に生まれ変わらせる“サーキュラーエコノミー”があります。
数々のファッションに紐づくSDGsを試着という体験を通して触れてもらうイベントになっています。
特徴的なプロジェクトについてそれぞれみていきましょう。
着古されて汚れやシミのついた服が伝統技術によってリメイク
展示されている「KUROZOME REWAER PROJECT“K”」は、100年以上黒染めだけを追求してきたブランド「京都紋付」によって展開されているプロジェクト。
着古されて汚れやシミのついた服も、黒く染めることで新しい服として蘇らせることのできるサービスです。大切に着ていたお気に入りの服も、落ちない汚れがついてしまうと着られなくなってしまいますが、黒く染め直すことでまた新たな一着として楽しむことができるようになります。伝統技術によって、1つのものが長く愛用できるようになり、更に1着で2度楽しめるのは、着る側にとっても嬉しいことです。
自分で服を着ることが難しい方と向き合う服作り
「UNITED CREATIONS 041 with UNITED ARROWS LTD.」は「わたしを着る。」をテーマとしており、障害や病気によって自分で服を着ることが難しいなどの悩みに、徹底的に向き合い生まれた服が展示されています。実際に車椅子を借り、乗って確かめるなど、普通の服作りとは全く異なるアプローチをかけ製作されています。スタイなどは小さい子供専用の商品が多いのですが、障害を抱える子供の成長過程でも、よだれや食べこぼしを拭うのには必須アイテム。オシャレなデザイン&製品の一部に給水速乾素材を用い流など、機能性抜群のファッションアイテムとして、洗濯にも手間がかからないように作られています。
持続可能なサイクルで生み出された環境にやさしい素材
「森を着る。」をテーマとする「Kuura®(クウラ)」は、フィンランドの言葉で「霜」を意味します。環境にやさしいフィンランドの繊維ブランドで、自然の生物多様性を確保するため、そしてサステナブルであるために、森林の成長、伐採、植林が管理されています。持続可能なサイクルで生み出された環境にやさしい針葉樹由来のセルロース繊維は、デザイン性も高く次世代の素材ブランドとして注目を集めています。
継承すべき文化を残す「Pheeta(フィータ)」
「Pheeta(フィータ)」は世界中の継承すべき希少技術や、家族に引き継がれるような特別な服や価値観を繋いでいくブランドです。紀元前7世紀のインドから受け継がれている製法の生地や、イギリスで開発された100年以上の歴史を持つ繊細なレースなどが用いられています。タグにはその服のストーリーが記され、文化の生まれた場所や背景を知ることができるのです。「長く大切に着たい」、「大切な人にも贈りたい」など、意図せずとも優しくサステナブルな循環を育む、柔らかな気持ちにさせてくれます。
サーキュラーエコノミーを実現した「RENU®(レニュー)」プロジェクト
最後は「循環を着る。」をテーマとしている「RENU®(レニュー)」は、ファッション産業の抱える、大量廃棄問題を解決するため始動したプロジェクトです。衣料品の生産時に出た残反・裁断くずや要らなくなった服を糸まで戻し、生地や服、製品に生まれ変わらせることで、サーキュラーエコノミー※を実現。捨てられてしまうはずだった素材から、服だけでなく鞄やランドセルなども生み出されています。
※サーキュラーエコノミーとは「循環型経済」を意味します。これまで廃棄されていた原材料などを資源と考えリサイクルや再利用などで活用し、資源を循環させる新しい経済システムのことを言います。
また、併設されたカフェスペースには、デニム製品の繊維ごみをアップサイクルして製造した建材を使用した家具ブランド「ステラポップ(STELAPOP)」のテーブルや椅子が設置されています。素材の新たな活用法や、使っていくからこそ変化していくデニムの風合い、生活していく中での楽しみが広がります。
瞬く間に変化していくファッションには、人々を惹きつける魅力があります。しかし、その裏側には大量廃棄問題などが潜んでおり、人や地球へもたらす影響は膨大なもの。そんな影響力のあるファッション産業だからこそ、サステナブルなものへと変化することで、社会全体が健康的で明るい未来へと変わっていくことができるのではないでしょうか。
私たち消費者も、ブランドの様々取り組みを知ることで「ものを大切に扱う」という、当たり前のことに、今一度目を向けてみるのもいいかもしれませんね。
主催:ITOCHU SDGs STUDIO
会期:1月22日(土)〜2月27日(日)
会場:ITOCHU SDGs STUDIO
(東京都北青山2-3-1 ITOCHU GARDEN B1F)
料金:入館料無料
開館時間:11時〜18時
休館日:毎週月曜日
※月曜日が休日の場合、翌営業日が休館日となります。
プロジェクトHP:https://www.itochu.co.jp/ja/corporatebranding/sdgs/20220121.html