日本が推進する「ポイ活」とは。SDGsな行動でポイントを貯めよう
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クレジットカードや通常の買い物で貯まるポイントだけでなく、アプリや決済方法を駆使してそれ以上のポイントを貯める「ポイ活」。ポイントアップの日に買い物を集中させたり、スキマ時間にアンケートに参加したり、ポイ活でマイルを稼ぐなど、ここ最近でハマった人も多いのではないでしょうか。
政府もまた、このポイントを活用した事業を推進しています。脱炭素やフードロス削減に向け消費者の環境配慮行動を促すことを目的とし、環境配慮に協力してくれた消費者に「グリーンライフ・ポイント」を還元する政策です。今年の3月から、この推進事業に参加する企業を募集していましたが、先月21日に26の団体が参加することが発表されました。8月から順次ポイントの発行が始まるということですが、一体どんな取り組みなのでしょうか。
食とくらしの「グリーンライフ・ポイント」推進事業って?
日本における温室効果ガス排出量は、約6割が衣食住を中心とした家計に起因しています。特に食品ロスやプラスチック排出は2030年までに大幅な削減が求められており、消費者の意識改革が必要不可欠となっています。食とくらしの「グリーンライフ・ポイント」推進事業は、脱炭素・循環型ライフスタイルへの転換や行動変容を促すため、環境に配慮した行動をとった消費者に対し、企業や自治体がポイントを付与する新たな取り組みです。政府としてはポイントというインセンティブを導入することで、消費者行動を促進しながら環境に配慮している企業の取り組みを支える狙いがあります。
今年の3月31日から5月18日まで1次公募を、5月24日から6月24日で2次公募を実施しており、現在は3次公募が始まっています。ポイントの付与は1次公募で選ばれた団体によって8月以降に開始され、2次公募の結果も順次発表される予定です。
現在発表されている採択事業は?
今回1次公募より採択されたのは以下の26団体です。
ショッピングセンター・スーパーマーケット等
・イオンモール株式会社
・株式会社アッシェ
・株式会社エーコープ近畿
Eコマース
・楽天グループ株式会社
電力
・東京電力エナジーパートナー株式会社
ポイントサービス
・株式会社NTTドコモ
金融機関
・飛騨信用組合
食
・株式会社クラダシ
・ZERO株式会社
・富山県
・株式会社永島農縁
・株式会社Opening Line
移動
・一般財団法人塩尻市振興公社
・Zenmov株式会社
3R
・株式会社フィルズ
・株式会社土と野菜
地域における様々な取組等
・堺市
・北九州市
・特定非営利活動法人アースライフネットワーク
・一般社団法人あきた地球環境会議
・特定非営利活動法人Yokotter
・株式会社アルテ
・株式会社HYAKUSHO
・株式会社アドバンテック
・株式会社こはく
・認定特定非営利活動法人太陽光発電所ネットワーク
身近な買い物で例を挙げると、イオンモールでは37都道府県の店舗でのプラスチック製カトラリーの受取辞退に対し、ショッピングセンターのゆめタウンやスーパーのサミットでは消費・賞味期限間際の食品購入に対してポイントが付与されます。また、楽天では、簡易包装やラベルレス商品、サステナブルファッションやリユース衣類の購入、再生可能エネルギー電力導入施設への宿泊の際にもポイントが付与されます。
食品ロスで注目したいのは、ZERO株式会社が展開する食品ロスに特化した無人販売機「fuubo」です。これまで品質に問題がないにもかかわらず賞味期限が近い等の理由で通常の販売ルートに乗らず廃棄されていた食品を購入することができます。駅や商業施設など6月時点で17都道府県に34台設置されており、2024年3月までに500台以上の設置を見込んでいるとのことですので、身近な場所で購入できる日も遠くなさそうです。
ありそうでなかったアイデアとして注目したいのは、株式会社フィルズが展開する「Fills」というサービス。飲食物の中身だけを販売したいお店と中身だけを買いたいユーザーをつなぐプラットフォームです。量り売りの専門店や、マイボトル持参で〇円引き、というのは街でも見かけますが、そもそも中身だけを販売するというのはありそうでなかったスタイルです。持ち帰るたびに、使い捨て容器が無駄だと感じていた人も少なくないはず。ちょっとした飲み物やフードなど、中身だけを買うという文化が広まってほしいですね。
今回の公募では地方自治体の取り組みも採択されています。大阪府堺市では環境行動変容アプリを導入するとし、プラスチック製カトラリーの受取辞退、マイボトルの利用、クリーニング店へのハンガー返却、傘シェアの利用、衣類のリサイクル、食べ残しの持帰り、食品寄付、 カーシェアの利用等に対しポイントが付与されます。個々の店舗が国の事業に手を挙げることは簡単ではないだけに、市がその役割を担い市全体に呼びかけてくれることで、賛同する店舗はすぐにサービスを開始することができます。市民にとっても活用店舗が増えることで意識も高まるため、きっと後に続く自治体も増えるのではないでしょうか。
ネット上では賛否両論も
これに限らず、政府の取り組みの中で最近よく聞かれるようになった「ポイント」による還元。先日も、夏の電力不足を見越し、省エネ推進のために2000円分の節電ポイント支給が検討されていることが発表されました。電気代高騰への施策として打ち出されたものではありますが、与党の中からも「無理して節電して熱中症になったら元も子もない。電力料金の負担を下げる努力を政府がするべきだ」という声があがりました。
また、ポイントをもらうためには参加登録が必要な点もお年寄りには優しくない印象があります。その他、マイナポイントやGo To Eatポイントなどポイント事業には批判の声も少なくありません。ネットでは「国民が払った税金を使って、マイナカード作った人“だけ”、節電に協力する人“だけ”にポイント配布するのはおかしい」「ポイント制度を作るのにどれだけの費用がかかるのか」といった声が聞かれます。
SDGsで楽しく「ポイ活」
賛否両論あるポイント事業ではありますが、今回ご紹介した「グリーンライフ・ポイント」に関してだけ言えば、国民の意識が薄い環境問題に対しポイントという分かりやすい形で国が推進することは、評価されるべき施策ではないでしょうか。SDGsに貢献することでポイントが貯まるのですから、まさに一石二鳥です。今後、参加団体もさらに拡大されるとのことですので、是非チェックしてみてください。
ライター/黒川