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問題解決のカギは「美人ごみ」?お笑い芸人兼ごみ清掃員・マシンガンズ滝沢が語る現実とは

問題解決のカギは「美人ごみ」?お笑い芸人兼ごみ清掃員・マシンガンズ滝沢が語る現実とは

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女優、剛力彩芽さんと持続可能な開発目標「SDGs(エスディージーズ)」を学ぶニッポン放送の特別番組『SDGs MAGAZINE』。「ごみ問題」がテーマとなった6月12日の第15回放送の後半では、お笑い芸人でありながら、ごみ清掃員を務めるお笑いコンビ、マシンガンズの滝沢秀一さんがゲスト出演。“現場目線”から「ごみ問題」を掘り下げた。

【滝沢秀一(たきざわ・しゅういち)・プロフィール】
1976年東京都生まれ。98年に西堀亮さんとお笑いコンビ、マシンガンズを結成。2012年、出産費用として定収入を得るため、お笑い芸人の仕事を続けながらごみ収集会社に就職。ごみ清掃員の面白さ、奥深さを知り、その体験をテレビ、漫画、エッセイ、ツイッターなどで発信して話題に。ごみ清掃員としての仕事は9年目を迎える。
お笑いタレント、有吉弘行さんのツイートなどで活動が広まり、昨年10月には環境省の「サスティナビリティ広報大使」に就任。著書に妻・友紀さんがイラストを担当した「ゴミ清掃員の日常」「ゴミ清掃員の日常 ミライ編」(講談社)。最新刊は「ゴミ清掃芸人の働き方解釈」(集英社インターナショナル)。

剛力 「すごいですね、2つのお仕事をやられているなんて」

滝沢 「やらざるを得なかったというのが正直なところです。本当に、ごみ清掃員じゃなくて、お笑い芸人だけで食べられたら一番良かったんですけどね。なかなかそれが難しかったので、ごみ清掃員になったというのが最初ですね」

剛力 「でも、9年って長いですよね」

滝沢 「そうですね。3年目くらいから楽しくなってきたんです。最初は無理してやっていたんですよ。『本当は、お笑いやりたいのに』と思いながら。ただ、3年くらいたった時に『あれ? 駅によってごみが違うぞ』みたいなこととかに気付いて、面白くなってきたんです。高級住宅地と一般的な住宅地は出るごみが違うとか。これ、面白くないですか」

剛力 「普段、他の人のごみって見ないですからね」

滝沢 「まず気付いたのは、高級住宅地からタバコのごみが出ないということですね。一般的な住宅地だと、ペットボトルに水を入れて灰皿代わりに使った後のものとかが出てくるんですけど、それがない。あとは、そもそも高級住宅地って出るごみの量が少ないんですよ。イメージでは、お金持ちの方がお金にものを言わせてバンバン買って、バンバン捨てているようにも思えるんですけど、実は逆なんです。一般的な住宅地の方がごみが多い」

剛力 「それは“意識”の違いなんですかね」

滝沢 「それもあると思いますし、安いものを買うと適当に捨てるということもあるようで、100円ショップの商品とかは多くごみとして出てきます。ごみって生活の縮図なんです」

剛力 「怖いなあ(笑)。滝沢さんの漫画を読ませてもらうと、共感するところと、身につまされる部分があります。正直なところ、ごみを捨てることについて、ここまで意識していなかったなと」

SNSなどでごみ問題について、分かりやすく発信している滝沢さんのもとには、日頃から多くの質問が寄せられる。その中でも目立つのはプラスチックの資源ごみに関する疑問なのだという。

滝沢 「主婦の方とかから質問を受けることが多いですね。まず、知ってもらいたいことは、プラスチック資源とプラスチックごみがあるということ。これをみんなごっちゃにしているんです。プラスチック資源の日に、プラスチックのものなら何だっていいだろうという感じで、洗面器をそのまま出したり、子供用の大きな滑り台のおもちゃとかまで出したりする。基本的に、資源というのは“容器包装もの”というルールがある自治体が多いんです。そこを知らない人は多いですね

蟹江 「そうしたことを、自治体が細かく発信したほうが良いということですね」

滝沢 「そうですね」

蟹江 「私は東京・豊島区の環境審議会の会長をやっているんですが、そこまで見ていなかったです。チェックしたほうが良いですね」

滝沢 「今一度、ごみカレンダーを見てみると面白いですよ。例えば、うちの自治体だと、缶は飲料系しか出せないと思ったら、煎餅とか海苔も大丈夫だったりするんです。あと、ごみ清掃員をやっていて面白かった発見は、ごみ清掃員ってごみが好きだということ。今はコロナ禍で、やっていないのですが、飲みに行ったりすると、ずっとごみの話をする。ごみの魅力に取りつかれているんです」

剛力 「例えば、どういうお話を」

滝沢 「あそこの家は朝、この時間まで出さないなとか(笑)。連日やっていると、個人個人まで分かってきますね」

そうして集められたごみは、埋め立て場、最終処分場へと運ばれるのだが、環境省は今年3月、令和元年度のデータを基に「およそ20年(正確には21.4年)で日本全国のごみの埋め立て場・最終処分場が満杯になり、ごみを埋め立てできなくなる」との発表を出した。
現状、日本の一般廃棄物の総排出量は4274万トン(東京ドーム約115杯分)、1人1日当たりのごみ排出量は918グラム。ごみ処理費は約2兆円に及ぶ。日本は国土が小さいことから、ごみを燃やして最小限の大きさにしてから埋め立てており、焼却炉の数は世界1位の1067施設、焼却率も世界ダントツの77%(2位のノルウェーが57%、3位のデンマークが54%)となっている。

一方で、ごみ処理場の逼迫を避けるため、リサイクルできるごみを資源ごみとして中国など主に東南アジアの国々へ輸出していたが、2018年に中国が資源ごみの輸入を禁止。リサイクルやコンポスト(堆肥にする処理方法)率も先進国(OECD)平均34%の中、日本は20%未満と低く、こうした状況が重なり、日本のごみの最終処分場の寿命は、およそ20年と危機的な状況に直面している(詳細はhttps://sdgsmagazine.jp/2021/06/10/1825/)。
この問題は、滝沢氏の著書にも記されており、実際に現場で働いてきた滝沢さんがごみ清掃員になって最初に衝撃を受けたのも、まさに「ごみの量」だったという。

滝沢 「これ、うちの地域だけだよねと確認したほどで、それが東京全体、日本全体でと考えたら『日本ってごみで埋まりませんか』って、ベテランの清掃員に聞いたことがあるんです。そうしたら、当たり前のように『埋まるよ』と。
東京都の最終処分場を中防(ちゅうぼう=中央防波堤埋立最終処分場の略、所在地:東京・江東区海の森)と呼ぶんですけど、『そこが埋まるまで50年だろう』と。それを知って、そこからいろいろと調べるようになったんです。50年なら全国的に見て、まだもつ方なんです。日本全体で出るごみの量と最終処分場の容量を割ると大体平均で21.4年だと。剛力さんは今、いくつ?」

剛力 「今年で29になります」

滝沢 「つまり、このままだと50歳の時に、ごみを捨てられなくなるんですよ」

剛力 「えっ! どうするの」

滝沢 「そう、どうするのという状況なんです。でも、何にも決まっていないんですよ。どうしようか…で止まっている。なるべく最終処分場の寿命を長くしましょう。そのために、ごみを少なくしましょうねっていうことなんですよね

剛力 「この事実を知っている人ってどれくらいいるんでしょうね」

滝沢 「僕も知らなかったし、清掃員として働きながら知らない人もいっぱいます。だから、まず知ってもらうことですよね」

蟹江 「あと何年って言い方をした方がいいですよね。こういう言い方を行政はあまりしないですからね。あと、どれくらいの容量がありますとかではなく、あと何年という方が分かりやすい」

剛力 「難しい数字で言われても理解できないですからね。20年と聞かされると、あっという間ですし、結構びっくりします」

滝沢 「そこで、今すぐできること、最終処分場の寿命を延ばすには、まず分別なんです。ごみと資源をしっかり認識することが、僕は一番大事なことだと思っています。例えば、ごみって何種類あると思いますか」

剛力 「不燃、可燃とか」

滝沢 「あとは…」

剛力 「粗大ごみ、紙ごみ、ビン・カン、ペットボトル…。もうちょっとありそうな気もする」

滝沢 「実は答えを既に言っているのですが、ごみって可燃ごみと不燃ごみの2種類しかないんです。それ以外のペットボトルなどは全部資源なんです。だから、資源をきちんと認識することが大切で、可燃ごみと不燃ごみの中から資源がないかなと考えて取り出すというのが一番いいなと思っています。可燃ごみに紙って結構入っているんですよ。
例えば、雑がみ(チラシ、パンフレット、包装紙、紙袋など)を古紙回収に出すと結構ごみって減るんです。燃やしてしまえばただ単純に灰になるだけだけれど、資源として出せばまた紙として生まれ変わる。灰になるか、資源として生まれ変わるかは真逆ですよね」

剛力 「シュレッダーをかけた紙は、どうすればいいのですか」

滝沢 「シュレッダーごみを古紙で回収する自治体もありますが、多くの場合は可燃ごみになります。なので、なるべく雑がみの方に回したいから、僕は封筒の名前のところだけ切り取ってシュレッダーしています。あと、可燃ごみからプラスチックを抜くと、3割くらい可燃ごみは減ります」

剛力 「生ごみだって資源になりますよね」

滝沢 「コンポストすればで資源になります。ただ、都内に住んでいると肥料にしても意外と増えて困るというのもあります。そこで今、黒土コンポストというのを始めました。これだと、バクテリアが生ごみを分解して、あまりかさが増えない。生ごみをなくすと意外と出すごみって少なくなるので、(ごみ置き場に)持っていく回数が減りましたね」

また、ごみ問題には食品ロスも密接に関わっている。滝沢さんはごみの量とともに「衝撃を受けた」ものとして、まさにこの食品ロスを挙げる。

滝沢 「ごみの中身を見ようと思わなくても、回収車の回転盤に挟まると袋が破れて中身が見えてしまうことも多いんです。それで意外に多いのが、食品ロス。すごいんですよ」

剛力 「どうしても一人暮らしだと余分につくりすぎてしまうというのはあります」

滝沢 「最大限の努力をしての結果なら仕方ない面はあるのですが、もらったものをそのまま右から左に捨てるような食品ロスというのも見られます。メロン丸ごと3つとか、高級ゼリーをそのまま捨てているとか、お歳暮のシーズンには多いです。あとは備蓄用のもの。カレーとかを賞味期限過ぎたから、まとめてドバっと捨てるような感じで。ちょっとずつ普段買うものを一定量順繰りで回す“ローリングストック”という方法を取れば、ロスは減るんです」

蟹江 「フードドライブ(家庭で余っている食べ物を学校や職場などに持ち寄り、まとめて地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄付する活動)とか、恵まれない人に持っていくとか、もう少しそうした活動をやった方が良いかもしれないですね」

滝沢 「そうした取り組みも、あまり知られていないという現実があります」

剛力 「どうしたら広まるのでしょう」

滝沢 「地道にやっていくしかないんじゃないですか。ごみ清掃もそうなんですが、周知活動というのは何回も何回もやっていかないと伝わらない。根気よくやっていくというのは一番大事なことですよね」

集める人のことを考え、配慮して出されているごみを滝沢さんは「美人ごみ」と呼んでいる。

滝沢 「美人ごみとして、一番大切なことは液体が入っていないことですね。みそ汁をそのまま袋に入れているようなものもあるんです。あとは、危ないものが入っていないこと。竹串とか、アイスピックとか、めっちゃ怖いですよ。包丁が飛び出してきたこともあります。これを誰が回収するのか、ちょっと想像してもらえると僕らは助かるんです。野菜とか生産者が分かるものも増えてきましたけど、誰が回収しているのか分かる・・・とかになると良いですよね。顔が見える世界になると良いなと思います」

ここで蟹江教授が挙げたのが、徳島・上勝町の例だ。800世帯1580人ほどが暮らす徳島市内から車で約1時間ほどの町で、「2020年までに焼却や埋め立てをせずにごみをゼロにする」という「ゼロ・ウェイスト宣言」をしたことで注目を集めた。ごみ収集車を廃止。それぞれが持ち寄れるごみステーションを設置し、45種類にまで分別を徹底することで、資源の有効的な再利用を実現。19年度のリサイクル率は80.7%にも達している。

蟹江 「上勝町って行きました? すごいですよね。分別が。あれも、まさに顔が見える取り組みですね」

滝沢 「焼却炉を建てるお金がなくて、みんなで分別していこうというようにしたんですよね。あとは、地域によってごみの出し方って違うので、小学校の授業でやるべきだと思うんです。1年に1回でいいですから」

剛力 「それは、いいことですね」

滝沢 「あと、品川区が戸別回収を導入したら分別をしてくれるようになって、ごみの量が減ったと聞きました。清掃員は一戸一戸まわるので大変ですけどね。これも“顔が見える”ということ。やはり顔が見えないから、適当に出してしまうんですよね」

さらに、ごみの回収にも新型コロナウイルス感染拡大の影響は及んでいるという。

滝沢 「昨年の外出自粛の時は大変でした。今までにない量。家で食事をするということもありますし、家の中でやることがないから“断捨離”をするとかがすごかったんですよ。洋服のごみとかがすごくて、これも“ファッションロス”という話になると思うのですが」

剛力 「ごみを捨てない意識はどうしたらつくれると思いますか」

滝沢 「買う時に捨てるときのことを考えるというのが、一番いいのかなと思います。冒頭で、お金持ちの地域はごみが少ないという話をしましたが、やはり洋服を大量に捨てることも少ないんです。気に入ったものをちゃんと買って、使っている。欲しいものをきちんと買っていると意外と捨てないものなんです。思い入れを込めて買う。それが一番大事だと思いますね」

蟹江 「いいこと言いますね。やっぱりストーリー性が大事ですよ」

剛力 「それは食品にもつながりますね。これは誰がつくって、育ててくれたものだと想像できたら、大事にしようと思います。楽しみながらやりたいなという思いが強くなりました」

滝沢 「ゲーム感覚でやってもいいと思います。僕も、金持ちになりたいから(笑)、金持ちのごみを真似してみよう、ごみを減らしてみようと思ったんです。ごみは生活の縮図。ごみは嘘をつかないですから」

最後に、滝沢さんはSDGsが目標達成の期限として定める2030年に向けて、こう呼び掛けた。

滝沢
 「僕の目標は、ごみという概念をなくすことですね。ごみがなくなったら、ごみ清掃員の仕事がなくなるだろうという感じもしますが、ごみっていう概念が良くないのかなと思っているんです。可燃ごみの中から紙を資源に出す、プラスチックを資源に出すとか、どんどん資源化していけば、ごみという概念がなくなるじゃないですか。2030年に僕らはリサイクル工場で働くだとか、そういう世界にしたい。皆さんがごみと資源の違いを分かってくれると良いですね」

蟹江 「やっぱり、ごみってすごく身近な問題だと思うんですよ。身近にアクションしていかなくてはいけない課題であり、誰にも共通する課題です。僕も気を付けなきゃいけないなと思う点が出てきましたので、みんなで取り組みを少しずつ始められたらなと思います」

剛力 「ごみ問題は、一番身近に感じられるSDGsかなと思いました。毎日出てしまうものだし、ごみからSDGsにアプローチするというのも一つだと思います。改めて意識を高めていくことと、滝沢さんも言われていたごみではなく資源という考え方、あれはSDGsの18個目に入れもいいくらいだと思います。自分たちの意識がごみじゃなく、資源に変わったら、いい循環が生まれ、地球に優しくなれる気がします。小さな意識でも、ちょっとずつ変わっていこうと思うことは大事だなと思うし、私自身としては伝えていくことが大事なんだなと改めて思いました。目指せ! 美人ごみです」

ごみを収集する清掃員のことを想像できれば、自然とごみの出し方は変わる。ごみの分別が、環境や未来にどのように影響するのか想像出来れば、やはりごみへの意識は変わる。「美人ごみ」という考え方は、そんな“想像力”を育み、SDGsを推し進める上で、大きなカギになるものの一つといえるかもしれない。

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