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当事者と考えるダイバーシティのある働き方とは?|LGBTQ+の「声」を聞くイベントが開催

当事者と考えるダイバーシティのある働き方とは?|LGBTQ+の「声」を聞くイベントが開催

#SHOW CASE
  • 働きがいも経済成長も

誰一人取り残さない「SDGs」と「LGBTQ+」の関係

LGBTQ+とは、生まれつきの性別ではなくカラダと心の性が違う人や恋愛対象が同じ性別の人などのLesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング)、+(プラス、それ以外の性)の頭文字をとった言葉です。これまでは、性的マイノリティ(性的少数者)を表す総称のひとつとしても使われることがありましたが、近年では「人の性はグラデーション」という言葉があるように、全ての性を表記することはほぼ不可能と考え、多様的な性のあり方が広まりつつあります。
一方で、差別や偏見の不安からLGBTQ+であることを公表できない人々も多く、追いつかない制度改正など多くの課題が山積している現状もあります。

SDGsは、「誰一人取り残さない」という理念を持っており、どんなセクシュアリティーを持つ人も差別されてはならないという考えにも通じるところがあります。LGBTQ+に関する社会課題を解決することは、SDGsを達成するために必要不可欠であり、世界各国が積極的に取り組むべき課題といえるでしょう。

ダイバーシティのある働き方を考える『Indeed Rainbow Voice 2021』

こうした中、求人検索エンジン「Indeed(インディード)」の日本法人であるIndeed Japanは、LGBTQ+の方々を含むすべての人々が自分らしく働ける社会を実現していきたいと考え、さまざまな取り組みを行っています。
2021年には、LGBTQ+の人々が仕事や求職活動で抱える様々な「声」をもとにダイバーシティのある働き方を推進するプロジェクト『Indeed Rainbow Voice 2021』をスタート。

SDGs MAGAZINEでも過去に記事で活動の様子をご紹介しました。

あなたの「声」が世界を変えるきっかけに!「Indeed Rainbow Voice 2021」がスタート!

アクセンチュア、H&M、トリドールホールディングスも参画!「Indeed Rainbow Voice 2021」でジェンダーを考える

6月には「ダイバーシティのある働き方を」をテーマにした「Rainbow Voice オンライントーク」も実施。LGBTQ+当事者の方々に対して、オンライン上で直接自分の想いや悩みを相談できる場として、多くの方々が参加。LGBTQ+を取り巻く仕事や職場に関する悩みのほか、仕事探しやカミングアウト、職場環境についてなどの声が数多く寄せられました。

8月にYouTube上で公開された「Rainbow Voiceアフタートーク」では、東京レインボープライド共同代表理事 杉山文野さん司会のもと、Indeedに加え、本プロジェクトのパートナー企業であるアクセンチュア株式会社、エイチ・アンド・エム へネス・アンド・マウリッツ・ジャパン株式会社(以下、H&M)の3社の担当者が登壇。
さらにLGBTQ+当事者でもある建築家・サリー楓さんもゲストに迎え、当事者目線からも、職場でのコミュニケーションや採用プロセスなどにおける悩みの声に応え、企業や採用する側は何ができるのかを考えました。

左から杉山 文野さん(東京レインボープライド 共同代表理事)、佐藤 守さん(アクセンチュア シニア・マネージャー)、Anthony Daisuke Estrellaさん(Indeed DI&B Senior Business Partner)、岡村 光子さん(H&M リージョナル HR マネージャー)、サリー 楓さん(日建設計新領域開拓部門 NAD 室コンサルタント)

働き方について寄せられたLGBTQ+当事者の声

履歴書やエントリーシートなどの性別欄にどう書いていいのか、いつも悩む。
杉山さんは、「女子大生時代に就職活動で用いる履歴書の性別欄の扱いに悩み、就職を諦めてしまった経験がある」、サリーさんも「私も就職活動の時に履歴書にどちらの性別に丸をするのかという風に悩みました」と語りました。現在、H&Mでは基本的に性別の記入を求めていないそうですが、H&Mに限らずそのような企業が日本でも増加傾向にあることが伺えます。

面接で「自分はゲイだからこそこんな考え方ができる」とアピールしたところ、その後連絡が来なくなり不採用となってしまった。
佐藤さんは、「アクセンチュアではこういったアピールは逆にウェルカムです」として、アイデアが日々必要な環境の中で、違う角度から物事を考えられることを歓迎していました。また、岡村さんは「H&Mでもフィードバックカルチャーという勇気をもって声を発する企業文化がある」と語った上で、「一見言いづらいことを発言できる人は逆に私たちにとってはプラスになると思います」と述べました。

・職場でカミングアウトしたいけれど、どう思われるのかが不安でなかなか言えない。
日本の職場で性的マイノリティがカミングアウトを行う比率は、1割程度といわれています。しかし、Indeedでは全員が観覧できる役員プロフィールで、夫とニューヨークで暮らしている様子をオープンにしている男性役員もいるそうです。

このことについてAnthonyさんは「特に企業の中では、上からのメッセージが大事だと思う」と話しました。当事者であるサリーさんも「大学院時代、カミングアウトを考えた時に、私の一個上の先輩にゲイであることをカミングアウトされている方が既にいたことで、気持ち的なハードルが下がった部分がありました」と話しました。周囲の人たちがLGBTQ+という言葉や概念を知っている状態だと、カミングアウトしやすいという声もあるようです。

また、アクセンチュアでは、アライを公言する従業員を可視化するシステムも導入しています。学校や職場でアライを公言する人を増やすことで、当事者にとって悩みを打ち明けやすい雰囲気作りに務めているようです。(アライ…英語で「同盟、支援」を意味する「ally」が語源で、ジェンダー平等やLGBTQ+の社会運動の支援を訴える人を指す言葉。社内でアライ的な雰囲気を作ることで当事者が安心でき、カミングアウトをするかしないかではなく、カミングアウトする自由も、しない自由もあることが大切だといえるでしょう。

最後に杉山さんは、「いろいろな企業の取り組みについて聞き、『LGBTQ+』だけに限らない、多様な誰もが活躍できる職場環境の整備が進んでいると改めて感じました。しっかりとマイノリティの課題に向き合い、D&Iを大事にすることが社会をよくしていくのだと思います。今回のトークセッションではヒントがちりばめられていたと思いますので、今日のこの声が、皆さんのこれからの仕事、働く環境、というものを考えるきっかけになればいいなと思います」とアフタートークを締めくくりました。

このような取り組みを経て、多様性を大切にし、LGBTQ+の方々を含むすべての人々が自分らしく働ける社会を実現していくことで、SDGsの目標8である「働きがいも経済成長も」のターゲット2「高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。」の達成にもつながっていきます。

SDGsの問題解決にLGBTQ+の人々が快適に暮らせる社会を作る必要があることはもちろんですが、LGBTQ+だから特別だということではなく、すべての人々が自分らしく幸せに働ける社会を作っていくことが、持続可能な世界の構築につながっていくといえるでしょう。
企業担当者の方も必見のアフタートークはこちらからご覧いただけます。LGBTQ+の方にとっても働きやすい環境づくりを推進していくためにも、すべての人が多様な性に対する理解を深められる世界になるといいですね。

『Indeed Rainbow Voice2021』特設サイト

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