給食の牛乳が消えるかも?環境と健康にいいプラントベースミルク
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朝食に給食、そしてカフェラテや料理にと、普段何気なく口にしているしている牛乳。その牛乳と並んでここ最近、植物性のミルク、通称プラントベースミルクを多く見かけるようになりました。健康のために飲んでいる人も多くいますが、実は近年、牛乳の製造過程で起こる環境負荷が問題視されるようになり、SDGsの観点からも世界的にプラントベースミルクを推奨する動きがみられます。今回は、知っているようで知らない、プラントベースミルクについて取り上げます。
プラントベースミルクとは
プラントベースミルクとは、動物性原材料を使わず、植物性由来の原材料を使用したミルクのことです。植物性ミルクと聞くとまず豆乳を思い浮かべますが、最近では大手コーヒーチェーン店でも豆乳以外にアーモンドミルクやオーツミルクを選択できるようになりました。また、スーパーでも様々な種類のプラントベースミルクを気軽に購入でき、ここ数年で広がりをみせています。
これまでプラントベースミルクは、牛乳アレルギーのある人や、イソフラボン等の栄養素摂取など、健康や美容のために選択するのが大半でした。しかし最近は環境の観点から牛乳の代替品として選択する人が多く見られるようになっています。
牛乳よりも環境にやさしい
牛乳がなぜ環境負荷が大きいのか。それは乳牛を育てる際に発生する、ゲップと排せつに含まれるメタンガスが関係しています。温暖化と聞くと二酸化炭素を思い浮かべますが、実はメタンガスは二酸化炭素の30倍といわれる強力な温室効果があります。酪農経営において発生する温室効果ガスの8割近くがこのメタンガスと言われています。ニュージーランドでは2003年に家畜のゲップ税が検討されたほど、酪農由来のメタンガスは地球温暖化問題に深刻な影響を与えているのです。
また、これは乳牛だけに限った話ではありませんが、畜産経営に起因する畜産環境問題は国内でも度々議論にあがっています。家畜排せつによる悪臭だけでなく、排せつ物の不適切な処理や保管のために起こる水質問題はとても深刻です。水資源に恵まれた日本でも水道水源の汚染による健康被害が懸念されており、世界規模で見るとその重大さが伺えます。
このように、酪農・畜産業が抱える問題は、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」のターゲット3「気候変動に対する、正しい知識と対応能力をみんなに」と、目標6「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット1「すべての人に安全で手頃な飲み水を」に関係しています。
そのため、国内の酪農家は減少傾向ではあるものの、世界的には乳牛の数は年々増加しており、プラントベースミルクに置き換えることで環境負荷を減らそうとする動きが各国で高まっています。
栄養面は?プラントベースミルクvs牛乳の比較
牛乳は給食でも毎日提供される飲み物で、カルシウム等た子どもの成長に必要な栄養素がバランスよく含まれています。もし環境の観点から学校牛乳がプラントベースミルクに置き換わったら必要な栄養素は取れるのでしょうか。
子どもの成長に必要な栄養
私たちが毎日健康に過ごすためには、タンパク質・脂質・炭水化物・ミネラル(カルシウム・鉄など)・ビタミン・食物繊維・ファイトケミカルで構成される7大栄養素をバランスよく摂取する必要があります。この中でも子どもの成長に必要な栄養素は骨や肉の元になるタンパク質、骨や歯を丈夫にするカルシウム、脳と筋肉のエネルギー源となる炭水化物、健康な血液を作る鉄と言われています。厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、成長期の子どもの1日当たりの必要目標量は、タンパク質は45~60g、カルシウムは700~1000mg、炭水化物はエネルギーの50~65%、鉄が8.5~10mgです。では牛乳と代表的なプラントベースミルクのタンパク質・カルシウム・炭水化物・鉄の100gあたりの含有量を見ていきましょう。
・牛乳
タンパク質:3.3g、カルシウム:110mg。炭水化物:4.8g、鉄:0g
この他に、皮膚や粘膜の機能を正常に保つビタミンB2や、赤血球の合成を助けるビタミンB12が多く含まれています。
・豆乳
タンパク質:3.6g、カルシウム:15mg。炭水化物:3.1g、鉄:1.2g
この他に、女性ホルモンの働きを助ける大豆イソフラボン、細胞膜などの生体膜や脳、神経組織の構成成分であるレシチンが多く含まれています。
・オーツミルク
タンパク質:0.8g、カルシウム:148mg。炭水化物:5.1g、鉄: 0.26mg
この他に、食物繊維や不飽和脂肪酸、ビタミンBが多く含まれています。
・アーモンドミルク
タンパク質:0.66g、カルシウム:158mg、炭水化物:0.67g、鉄:0.12mg
この他に、食物繊維や抗酸化作用の高いビタミンEが多く含まれています。
単純に牛乳を他のプラントベースミルクに代替するのは難しいですが、子どもの成長に必要な栄養素の摂取量と、各ミルクに含まれる栄養量を比較すると、カルシウムが牛乳以上に含まれるものがあったり、鉄が豊富だったりと、それぞれに良さもあることが分かります。また、栄養素だけでなく味の面も重要です。牛乳もそうですが、好き嫌いはあるので、そのまま口にするには飲みやすさも求められています。
新しいプラントベースミルクに注目
最近では、ひよこ豆由来のひよこミルクや、繊維質などを取り除かず、素材まるごと使用した新しいオーツミルクが誕生しています。
大豆飲料の「スゴイダイズ」でお馴染みの大塚食品から4月に新しく全国発売された「スゴイひよこミルク」と「スゴイオーツミルク」は、素材の栄養はそのままで、更に搾りかすまで出ない、素材本来の甘さと濃い味わいが楽しめるプラントベースミルクです。マイクロクリーミー製法という独自の技術を使い、口当たりはなめらかで、飲みやすくやさしい甘みを実現しています。
「スゴイひよこミルク」は、ひよこ豆由来のたんぱく質、食物繊維、葉酸などの栄養素を摂取することができ、やさしい甘みと濃い味わいを感じることができるそう。また、「スゴイオーツミルク」も低脂質でオーツ麦由来の鉄分を摂取でき、しっかりとした素材の甘さが感じられます。
更に、普段出るはずの搾りかすが出ない製法を採用している点は、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも大きく貢献しており、プラントベースミルクの中でもよりサステナブルな商品であることが分かります。
製品サイトはこちら
環境にも健康にもいい!自分にあったミルクを見つけよう
地球環境にも優しく、そして十分な栄養素を含んだプラントベースミルク。その種類も豊富で、今世界中で急激に人気が高まっている理由が見えてきました。最近では色々なところで見かけるようになり、飲み物だけでなく味の特徴を活かして料理に使われることも増えてきました。まだ牛乳や豆乳しか飲んだことがないという方も、それぞれの栄養と味を飲み比べて自分のお気に入りのミルクを見つけてみてはいかがでしょうか。
もしかしたら近い将来プラントベースミルクが給食に並ぶ日が来るかもしれませんね。