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お供物食べる派?食べない派?お盆を機に食品ロスを考える


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12 つくる責任つかう責任
お供物食べる派?食べない派?お盆を機に食品ロスを考える

まもなくお盆ですね。お盆というと「夏休みだ!」「長期休暇だ!」と思う方もいるかもしれませんが、そもそもお盆とは何なのか、茄子ときゅうりにはどんな意味があるのか知っていますか。
そんな日本の伝統行事の中で注目したいのが、お供物の行方。今回は、お盆のお供物は食べるのか、食べないのか、その先の食品ロス問題について考えます。

そもそもお盆とは?お供物の意味とは?

お盆はご先祖様や故人が家に戻ってくる期間とされ、霊をお迎えして供養、そしてお送りするという仏教の行事です。
地域によって風習はさまざまですが、広く知られているのが茄子やきゅうりに足をつけて馬や牛に見立てた精霊馬。この精霊馬に込められた意味は、「ご先祖様は胡瓜の馬に乗り、茄子の牛に荷物を乗せて帰っていくため」だといわれています。また、足の速い馬で早く迎え、牛のようにゆっくり戻ってほしいという思いも込められているそうです。

そして、お盆の時期はお墓や仏壇、盆棚に供物をお供えします。このお供物には、ご先祖様を供養する、おもてなしをするという意味があります。
お盆の風習は、地域や宗派によって違いはありますが、いずれにせよ、故人を思い出して、供養したり、感謝したりと、故人を偲ぶ期間です。

食品ロスしていない?お供物は食べる派?食べない派?

お墓や仏壇、盆棚のお供物ですが、みなさんはお供えした後はどうしていますか。編集部で調べたところ、お供物は食べる派と食べない派に分かれるようです。

食べない派の理由は、お供物は土に還すのが良いとされているから。
この場合、お供物を塩とともに白紙に包んで家庭ごみで捨てたり、細かく刻んで庭の隅に捨てたりする風習があるようです。

食べる派の理由は、お供物は仏様のおさがりであるという考えから。
お供えした後は美味しくいただくことが良いとされています。お盆の時期の来客や親族に、お供物をおすそわけすることもあるとのことです。

現在、日本では食品ロスの問題が注目されています。この食品ロスという観点からみると、お供物は美味しくいただくほうが、問題の解決に貢献することができると思いますが、日本では一体どれくらいの食品ロスが起こっているのでしょうか。

まだ食べられるのに家庭で捨てられる食品ロスは年間247万トン

食品ロスとは、食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食品のことをいいます。

消費者庁が発表している資料によると、令和2年度の日本における食品ロスは、年間522万トンにも及ぶそうです。このうち、275万トンが飲食店などの事業者から、残り247万トンが家庭からゴミとして廃棄されています。年間522万トンという廃棄量は、国連世界食糧計画(WFP)による2019年の食料援助量の約420万トンの1.2倍にもなります。
日本の食品ロスは、世界の食料支援量をも上回り、大きな社会問題とされていますが、この問題を解決するためには、事業者も、家庭も、社会全体で取組む必要があります。
また、世界の栄養不足(飢餓)人口は増加しており、2022年には8億2800万人に達していると報告されています。これは世界の人口の10人に1人が飢えに苦しんでいることになります。

私たちができることは、必要な分だけを買うといった買い物の工夫、食品の期限表示を把握して上手に使い切る、保存や調理方法を工夫するなど日々の行動を意識することですが、この積み重ねが大きな結果につながるはずです。
お盆のお供物も、この取組みの一つであると考えれば、お先祖様に感謝をしながら、食べ物を無駄にしないように美味しくいただくことが大切なのではないでしょうか。

画像出典:おてらおやつクラブ公式サイト

お寺が食品ロスに貢献「おてらおやつクラブ」の活動

ここ最近では、食品ロス削減だけではなく、貧困問題の解決の視点からも、特定非営利活動法人おてらおやつクラブが立ち上がりました。2018年に「グッドデザイン大賞」(内閣総理大臣賞)を、2020年には「日本マーケティング大賞 奨励賞」、2021年には内閣府男女共同参画局「女性のチャレンジ賞 特別部門賞」を受賞した注目のプロジェクトです。

おてらおやつクラブによると、日本国内では子どもの7人に1人が貧困状態にあるそうです。この問題を解決するために、お寺にお供えされた供物を、専門の団体と連携し経済的に困難な状況にある家庭に仏様の「おさがり」として「おすそわけ」する活動を行っています。

今回一例としてご紹介したのは、おてらおやつクラブの活動になりますが、貧困問題や食品ロス問題に貢献しようとする団体が増加傾向にあります。
わたしたち個人ができることは小さなものかもしれません。お盆で言えば、茄子やきゅうりでつくった精霊馬は、野菜が傷む前に火を通すなどの調理を工夫して美味しくいただく、お供物は、賞味期限や傷みに気をつけた上で「おそなえ、おさがり、おすそわけ」精神のもと、美味しくいただく、身近な人へおすそわけする。ご先祖様に感謝をしつつ、食品ロスをださない意識付けが、これからの時代大切なポイントになりそうです。