生まれや育ちによって、教育が違っていいの?子供が質の高い教育を等しく受けられる未来に向けて、発信し続ける日本人高校生
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この度、SDGs MAGAZINE編集部は三田国際学園の高校一年生、高井杏菜さんにお話を伺いました。高井さんは、貧富の差、文化の違い、母国の情勢や景気など、人を取り巻くあらゆる環境に問わず、どんな子どもたちも質の高い教育を受けられる世の中にしたいというモットーを掲げ、社会に向けてアクションを起こす活動家です。
彼女が目の当たりにした現場とは…
彼女の軸である教育というキーワードですが、そもそも彼女がここに目を向けたきっかけは、何だったのでしょうか。お話を伺うとそれは、今から3年前、学校から選出されて参加した「TIS カンボジア校教育開発プログラム」での、学校の生徒に英語を教える経験だったと言います。
学校には総勢300名ほどの生徒がいたものの、その敷地は驚くほど小さく、クラスはたった3つだけ。8〜18歳まで幅広い歳の生徒が一緒に学びを受ける場所だったそう。また、PCはなく、筆記用具も足りず、教室に置かれた本棚はほとんど空っぽに近かったといいます。高井さんはそんな環境に少しショックを受けましたが、英語を教える高井さんの話を楽しそうに笑顔で聞いてくれたことが印象的で嬉しかったそうです。
高井さんのアクションとは
『教育は人が学び、成長することができる手段であり、SDGsの項目全てを網羅する』と考える高井さんはその後、FECAE(For Every Child An Education)というプラットフォームを立ち上げ、教育の大切さを人々に訴えています。現在は教育に関わる団体に寄付することを目標に、7〜10歳位の子供が学べるようなデジタルテキストブックを作成しています。これがもし反映されれば、沢山の国の子どもたちが教育を受ける機会を作ることができるツールになることが予測できます。
※ FECAE(For Every Child An Education)
教育の大切さについて、世界に発信しているウェブサイト。blogやjournalismの掲載、またアメリ カ、インド、バングラデッシュ、中国などのメンバーと共同でworkbookを作成するグローバルな学生団体。アメリカやインド、バングラデッシュなどのメンバーと教育の大切さについて世界に発信している。FECAEのミッションステートメントはジャーナリズムやメディア、様々なプラットフォームを通してカンボジアの子供たちに質の高い教育を与えること、また日本に質の高い英語教育を与えることが目標として活動している。
情報はむやみに発信するものではない
高井さんの教育に向けた活動は、FECAEに留まりません。自身で作文コンクールにエッセイを書いて応募し、日本人だけではなく、世界の人々に向けて教育の大切さを訴えかけています。
また、今夏にNYへ渡った高井さん。その目的は、コロンビア大学、プリカレッジプログラムのジャーナリズムの授業を受講するプログラムです。SNSが普及した事で、ある意味誰もが自由に発信することができるようになった今、いつ何時もあらゆる情報が飛び交います。誰もが発信できる、その発信の自由さや手軽さは決していいことばかりではありません。不確かな情報が広がったり、またその見当違いな情報を受けた人が誤ったアクションを起こしたり、不必要な事件も起こり得ます。
高井さんは、未来をより良くする発信者として、また社会活動家として、ジャーナリズムを学び、まず正当な情報を収集し、見極め、またそれを責任を持って発信するノウハウを学んでいます。世の中の本質を知り、本当の意味でよくしたいという思いが伝わっていきます。
彼女から学びたい、“挑戦”の尊さ
教育が満足に受けられない国もある。高井さんの活動は、先進国にいると、あって当然のように思われがちな教育が、決して当たり前ではないのだということ、また、その大切さについて、人々に考えさせるきっかけをもたらします。
私たちにできること
最後にSDGs MAGAZINEの読者へのメッセージを伺うと、『多くの人が賛同していなくても、自分の興味関心があることを信じて努力する価値がある、一人でも世界は変えられる。』という素敵な言葉を教えてくれました。これは、彼女が先日行ったコロンビア大学でのPre-College Programで出会ったJack Lowery教授の言葉だそう。
前述したように、彼女の活動のきっかけは、たった二日間のカンボジアでの経験。私たち一人ひとりが、世の中を良くすることができる。自分の力を信じて、一歩前に進んでみませんか?あなたの勇気ある行動が、その夢を現実にしてくれるのかもしれません。
高井杏菜さん プロフィール
三田国際学園高等学校 一年(2022年9月現在)
FECAE (For every child an education) 代表
ニューヨーク生まれ、幼少期の8年間をニューヨークで過ごす。
2019年3月東京インターナショナルスクールの「TISカンボジア校教育開発プログラム」に選出。
2022年4月FECAE (For every child an education)設立
2022年4月 学校の有志団体、ARKで活動
2022年6月 The English Guardian (TEG) プログラムを学校で発足
2022年8月 コロンビア大学のプリカレッジプログラムに参加。ロウリー教授とパルマー教授の元、クリエイティブジャーナリズムを学ぶ。
その他、筑波大学助教授 山口拓助氏が研究する「カンボジアの学校中退者」の調査に従事。海外メディア「TEEN INK」で寄稿するなど幅広く活躍。
<過去の受賞歴>
2020年9月「国際理解・国際協力のための全国中学生作文コンテスト」 東京都銀賞
2021年8月「全日本中学生 水の作文コンクール」入選