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新内眞衣と学ぶニッポン放送『SDGs MAGAZINE』フラワーサイクリストが解説するロスフラワーの問題と可能性 #後編

新内眞衣と学ぶニッポン放送『SDGs MAGAZINE』フラワーサイクリストが解説するロスフラワーの問題と可能性 #後編

#RADIO
  • つくる責任つかう責任

ニッポン放送で毎週日曜日午後2時10分からオンエア中のラジオ番組『SDGs  MAGAZINE』。パーソナリティを務める新内眞衣さんとともにSDGsを学ぶ同番組の2月26日放送では、前回に続いて花のリサイクル、アップサイクルに取り組む「フラワーサイクリスト」として活動する河島春佳さんをゲストに招き、目標12「つくる責任 つかう責任」を“花目線”で深掘りした。

花とSDGs

本来、廃棄されてしまう花「ロスフラワー」の活用や、花農家と消費者の架け橋になる活動を行う株式会社RIN代表の河島さんに、今回の放送ではまずSDGsの観点から「花のリサイクル」について話を聞いた。

新内 「お花のリサイクルがSDGsで注目されることについて、どのような思いがありますか」

河島 「SDGsという言葉が広まるにつれて、皆さんのリサイクルに対する意識や限りある資源を大切に使おうという思いがより一層高くなっているのは、すごく素敵なことだなと感じています」

新内 「本当に“知る”ということは大事なことですよね。17あるSDGsの目標のうち目標11『つくる責任 つかう責任』にもつながってくるお仕事だと思うのですが、この辺りはいかがですか」

河島 「『つくる責任』については、もちろん生産者もそうですし、花束やブーケをつくるお花屋さんとしても責任があると思っています。『つかう責任』も、消費者の方がどうやって最後までお花を楽しめるか、というのを私たちが提案することが重要なのかなと思います」

新内 「前回の放送で、フランスに留学されたというお話をうかがいましたが、海外では『ロスフラワー』の扱いはどうなんでしょうか」

河島 「私が知る限り、そもそも海外では『ロスフラワー』という考え方は多くないのですが、アーティストさんがお花をアップサイクルして、インスタレーション(空間全体を作品とみなす手法)のように飾るのは見たことがあります。ただ、『ロスフラワー』を使って文化を広める、概念を広めるという方は、まだ見たことがないですね」

新内 「海外では『ロスフラワー』というか、そもそも規格がもうちょっと日本より穏やかではあるから、お花の廃棄という部分について、あまり馴染みがないのかもしれないですね」

河島 「そうですね。お花の消費量が日本より多いので、そういった意味ではちゃんと楽しんだ後の廃棄が多いのではないかなと思います」

新内 「マルシェとかにも、たくさんお花が売られていますよね」

河島 「そうですね。パリへ留学に行った時、マルシェでお花を買う方がすごく多いなと思いました。男性が当たり前にパンとハムとチーズとお花・・・という形で購入しているのを見て、すごく素敵な世界観だなと感じました」

新内 「本当ですね。それは素敵です!」

「フラワーサイクリスト」の役割

河島さんの肩書である「フラワーサイクリスト」は、「花」+「アップサイクル(廃棄予定だったものに手を加えて価値をつけて新しい製品に生まれ変わらせる手法)」の意味で、この取り組みを進めるにあたって自ら生み出した造語だ。この「フラワーサイクリスト」を輩出するスクール「フラワーキャリアアカデミー」も運営している。

新内 「『フラワーサイクリスト』の活動は、具体的にどういったことにつながるのでしょう」

河島 「それは3つあります。1つ目は廃棄する際の心苦しさや作業工程、廃棄料金の軽減。お花屋さんの心苦しさ、生産者さんの心苦しさもレスキューしているのかなと思っています。2つ目が循環型の経済。お花を捨てずにアップサイクルすることで、何かまた新しい価値をつくるというところへの貢献につながっていると思っています。3つ目はゴミ代のカットなど、環境の負荷に対してのアプローチです。売れ残ってしまったお花を私たちが買い取ることで、お花屋さんが捨てずに済むといったことがあります」

新内 「楽しんだお花、いただいたお花、買ったお花を廃棄するのってすごく心苦しいですけど、少しでも長く楽しめる方法はありますか」

河島 「生花だとシンプルに毎日、花瓶のお水を換えてあげることですね」

新内 「花瓶のお水って、少ない方がいいんですか。たっぷりの方がいいんですか」

河島 「それが難しくて、お花によって違うので一概には言えないんですよね。ただ、基本的に無難なのは、花瓶の底から3センチくらいかなと思います」

新内 「それは、私の体感では少ないですね」

河島 「いっぱい入れすぎてしまうと、お花がお水をたくさん飲んでしまって、どんどん開花してしまうんです。今だとチューリップやラナンキュラスという春のお花がありますが、水が結構好きなので、どんどん飲んでしまいます」

新内 「なるほど。いいことを知りました」

河島 「あとはドライフラワーにして、スワッグ(ドイツ語で『壁飾り』のことで花や葉などを束ねて壁にかける飾りのこと)をつくるのもおすすめです。いわゆるドライフラワーに向いているお花というのがあるのですが、今日スタジオにもお持ちさせていただいているバラ、ユーカリ、スターチスとか、かすみ草といったどのお花屋さんでも売られているようなお花はドライフラワーに向いているので、枯れるちょっと手前で風通しのいいところに、下向きにして吊るしてあげるとドライフラワーになります」

新内 「一本一本ですか」

河島 「一番いいのは一本一本ですね。風通しの良いところに吊るしてあげると、すごくきれいになります」

新内 「どれくらいでできるものなんでしょう」

河島 「今は冬で乾燥しているので、1週間から10日くらいでできるかなと思います。これが5月とか梅雨の季節に近づいてくると湿度が上がってくるので、もう少しかかって2、3週間必要な場合もあります。乾燥の時間が短ければ短いほど色が残ってきれいなんですけど、これが長くなると茶色くなりやすいですね」

新内 「結構、私もお花をいただく機会が多いので、いつも思うのは生花を廃棄するところ、ボックスとかに集めてくれるところとかはないのかなということですね。もったいないし、心苦しくて…」

河島 「そこのボックスに入れたらドライフラワーとして復活しますとか」

新内 「そうですね。あとは何かの肥料になるとか、そういう仕組みはできないのかなと思って。楽しんだ後に最後、燃えるゴミとして捨ててしまうことがあるんですけど、それがすごく心苦しくて悩んでいます。もらったはいいけど、最後まで大切にしたからこそフラワーボックスみたいなものがあったらいいなと思います」

河島 「分かりました。ちょっとつくれるように頑張ります」

新内 「その中から選別されてドライフラワーとして生まれ変わるものもあったり、肥料として生まれ変わるものもあったりすると、とても良いなと思います。ちなみに、河島さんはどうされているんですか」

河島 「私はプレゼントでいただいたものは、絶対にドライフラワーにします。逆さまに吊るして、長く楽しんで、プライベートでも自宅でドライフラワーをつくっています。自宅には、ドライフラワーと生花が常にありますね」

新内 「すごい! 生花やドライフラワーのある生活って心も豊かになりますよね」

河島 「そうですね」

「花」がもたらす「心の豊かさ」

そして、番組の最後に新内さんが問い掛けたのが「花を取り巻く環境、未来」について。すると、河島さんは花の持つ価値、可能性に思いを巡らせた。

河島 「お花を飾ることによって、いわゆる心の豊かさが広がるんじゃないかなと確信しています。世界幸福度ランキングというものがありますが、日本は54位(2022年発表)と決して高い位置ではありません。では、上位にはどういった国があるのかなと観察した時に、北欧やヨーロッパ、いわゆるお花を飾る文化が定着している国が多い。ということは、もしかしたらお花を飾る文化が広まると、幸福な気持ちだったり、豊かさだったりに気づくんじゃないかな、と。今後の素敵な未来につながるんじゃないかなって思っています」

新内 「生活にお花が当たり前にある未来になっていたら素敵ですね」

河島 「はい。ぜひ、そういう未来にしたいなと思っています。ご自分用に買うのも素敵ですし、たとえばお友達と会う時、お友達の家に遊びに行く時に、その人のイメージに合うお花を選んでプレゼントするという習慣を持つのも、すごく素敵なんじゃないかなと感じています」

新内 「最後に河島さんに、今私たちにできること、未来への提言をいただきたいのですが」

河島 「皆さんに、ぜひ一本でも多くお花を買っていただきたいなと思っています」

新内 「本当に、お花屋さんに私もよく行くんですけど、1本から買えるじゃないですか。1本買って、そのお花屋さんに『この子はどうやったらきれいに咲いてくれますか』と聞くのが好きなんです。お花を介してコミュニケーションが生まれたりする。一歩踏み出すことって、すごく大事ですよね」

河島 「はい。ぜひ、お花屋さんに週に1回、1本でいいので買う習慣を身につけていただけると、心が豊かになって何か新しいことのきっかけにつながるんじゃないかなと思っています」

新内 「ありがとうございます。そんな中、未来につながる活動として『フラワーサイクリスト』になるためのスクール『フラワーキャリアアカデミー』が今年の春も開講するんですね」

河島 「そうなんです。お花が好きな方はもちろん、新しい働き方、それこそ好きなことで働きたいであったりとか、ご自身の自己実現だったりに近いようなスクールとして運営しています。卒業生の70%以上が個人事業主として活動していて、皆さん自分でお花のお仕事であったりとか、素敵なお仕事に巡り合ったりというようなきっかけを提供しています」

2週にわたって目標11「つくる責任 つかう責任」にもつながる花の廃棄の問題、「ロスフラワー」にまつわる新たな取り組みなどに迫ってきた新内さんは、「乃木坂の衣装の話で、すごく盛り上がりましたし、色々な方の協力で衣装がでてきているということを改めて知ることができました」と、思わぬ“縁”もあって、より身近に今回の問題を感じられた様子。「河島さんは、テレビで自分たちの関わったものが映るのがすごくうれしいとおっしゃっていましたし、ぜひまた感想を伝えられる機会があったら全力で伝えたいなと思います。本当に素敵な衣装なので、皆さんぜひチェックしてみてください」とし、その活動に思いを深めていた。

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