ジョン・レノンも愛した老舗クラシックホテル「万平ホテル」がリニューアオープン 登録有形文化財のアルプス館に注目
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江戸時代後期、長野県の軽井沢に万平ホテルの前身である旅籠の「亀屋」として創業。その後1894年(明治27年)に日本のホテルの草分け的な存在として開業した万平ホテル(開業当時は亀屋ホテル)は、創業130年を迎える老舗クラシックホテルです。2023年1月から大規模改修が行われ、2024年10月2日に満を辞してグランドオープンしました。
ホテル自体とても素敵ですが、今回は、SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の観点から、万平ホテルの象徴的な館「アルプス館」の魅力や、地方創生と持続可能な未来に繋がるポイントについて紹介します。
万平ホテル アルプス館とは?


約2年におよぶ大規模改修・改築工事を経て再開業した、万平ホテルは「アルプス館」「愛宕館」「碓氷館」の大きく3つの館によって構成されています。中でも「アルプス館」の歴史が最も長く、1936年に建てられた木造3階建ての建物がベースとなっています。
アルプス館には、世界的に有名なロックバンド「ビートルズ」のリーダージョン・レノン氏をはじめ、多くの著名人に愛されてきた歴史があります。さらに、これからの軽井沢の伝統と文化を継承しながら地域社会と観光業の発展を図る意味でも重要な役割を担っています。
アルプス館の歴史的価値、地方創生への貢献


アルプス館は登録有形文化財に登録されているということをご存じでしょうか。登録有形文化財は、国土の歴史的景観に寄与しているものや、造形の規範となっているもの、再現することが容易でないものに該当するものが選ばれる国の制度です。
リニューアルされたアルプス館は外観・内観共に、耐震性能の向上やバリアフリー化のため部分的に新しくなっているものの、アルプス館ができた1936年から飾られているステンドグラスや、建物の梁(はり)などは当時のものが残されており、特徴的な和洋折衷の室内意匠をしっかりと感じることができます。
アルプス館が繋ぎ、世界に広めていく「軽井沢の伝統と文化」


アルプス館は、軽井沢の観光業の持続可能な発展を支えるシンボルともいえるのではないかと、筆者は考えています。
外観もさることながら、その内装にも注目していただきたいです。館内の至る所に100年以上の歴史がある伝統工芸品「軽井沢彫」の家具や調度品が設置され、温かみを演出しています。さらに、アプルス館の客室には、ファンから特に人気の「猫足のバスタブ」が設置されています。これはなんと、建築当時の物を塗り替えて使用しているのだそうです。地域の観光資源を活用したり、昔からある物を大切に使用する姿勢は、わたしたちに大切なことを教えてくれます。
これからも、軽井沢を訪れる多くの旅行者を通して、伝統や文化を大切にし次世代に繋げていく精神が、世界中に広まっていくことでしょう。


今回のリニューアルでは、新しくなった部分もあります。
筆者が特に注目して欲しいのがメインダイニングルームに併設されているサンルームです。真紅のカーペットが敷き詰められ、伝統と格式高い雰囲気のあるダイニングルームとは意匠が異なり、ブルーと白のタイルが敷き詰められ、大きな窓から中庭の緑が美しく映える開放的な空間が印象的です。
建築当初のサンルームよりも大きくデザインされた窓から、ホテルや軽井沢の新たな魅力を発見できそうです。
地域からも愛されるカフェテラス


万平ホテルが地域の方からも愛される理由の一つに、気軽に利用できるカフェテラスの存在があります。地元産の紅玉りんごをたっぷりと使用し、サクサクのパイ生地で焼き上げたアップルパイは、カフェテラスの人気メニュー。諸説あるそうですが、戦後万平ホテルがGHQに接収されていたころに誕生したレシピで、今も作られているといわれています。ジョン・レノン氏がレシピ提供したと言われているロイヤルミルクティーとも相性抜群です。
このように、宿泊しなくとも歴史に想いを馳せるグルメを手軽に楽しめるところも、万平ホテルが愛される所以なのかもしれません。
いかがでしたでしょうか?
SDGs目標のひとつ「住み続けられるまちづくりを」という視点から、今注目のクラシックホテルをご紹介しました。読者のみなさんも、軽井沢を訪れる時にはぜひ立ち寄ってみてくださいね。