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おいしいだけじゃない!「農作物の宝庫」宮崎県の環境にも優しく美味しいLFP商品


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12 つくる責任つかう責任
おいしいだけじゃない!「農作物の宝庫」宮崎県の環境にも優しく美味しいLFP商品

全国でも有数の日照時間を誇り、その温暖な気候から年間を通して多くの食材を楽しめる「日本のひなた宮崎県」は、マンゴーや宮崎牛、チキン南蛮など美味しい食材で溢れています。そんな「食材の宝庫」宮崎県が現在、力を入れているのが、美味しいだけじゃない、社会課題の解決と経済性の両立を目指して商品開発を行うみやざきローカルフードプロジェクト(LFP)です。
今回はみやざきLFP商品から、国産のバナナの葉を活用した新しい青汁「NEXT GREEN JUICE」と、規格外品として流通していなかった食材を活用した、みやざき茶漬け「海幸山幸」の2品のお話しを伺いました。

みやざきLFPとは?

宮崎県では地域で活躍する農林漁業者(1次産業)、食品製造業者(2次産業)、流通業者や飲食店(3次産業)などの異業種の事業者が相互に連携し、それぞれの強みを出し合いながら、地域の食資源を活用した新ビジネスの創出に挑戦することで、社会課題の解決と経済性の両立を目指すみやざきローカルフードプロジェクト(LFP)に取り組んでいます。

みやざきLFPの推進母体となる「みやざきLFPプラットフォーム」には、現在281事業者が参加しており、食と農の様々な知見や技術の結集により、テーマ毎に商品開発が行われています。各プロジェクトから次々と生み出される新商品やサービスが、事業者の所得向上や雇用の創出、交流人口の増加など価値連鎖を生むことで、地域経済の活性化に繋がっています。

こだわりの国産バナナの葉を有効活用!「NEXT GREEN JUICE」

宮崎県内において農薬を使わずバナナを生産しているネクストファーム株式会社が主体となって開発した「NEXT GREEN JUICE」は、宮崎県産バナナの葉を活用した新しい青汁です。国内では珍しい国産バナナですが、毎年大きく成長するバナナの葉が課題となっていました。実は東南アジアでは料理にも使われており、葉は豊富な食物繊維やタンパク質を持っています。この葉の栄養を引き出し、手軽に摂取できるようにできないかと、地元企業と連携し、水に溶かすだけで飲める粉末タイプを開発しました。

商品開発の中で難しかったのは、粒度と味の調整です。飲みやすくて美味しい青汁にするために、粒度は農産物の乾燥技術をもつ株式会社ドライアップジャパンと、味は健康食品の製造・販売を行う株式会社SUNAO製薬と何度も何度も調整を行いました。
水に溶かすだけで美味しく飲める青汁ですが、豆乳や牛乳、ヨーグルトなどとも相性が良く、様々なレシピにアレンジすることができます。

全国のシェフを招待した産地ツアーも実施、みやざき茶漬け「海幸山幸」

「宮崎県内の魅力あるローカルな食材を知ってもらうきっかけになってほしい」という思いから生まれたみやざき茶漬け「海幸山幸」は、宮崎県産の様々な食材を活用したお茶漬けです。事業主体は宮崎ローカルフード協議会が行っており、これまで規格外品として一般的には流通が難しい食材などを活用しました。

ローカルフード協議会では、東京や大阪のホテルやレストランのシェフを宮崎県の産地に招待し、地域ならではの魅力的な食材を発掘する産地ツアーも行いながら、新商品の開発を行いました。

「海幸山幸」は、県産の乾燥椎茸の粉末などの出汁の効いた最中の中に海や山の具材を詰めたもので、お湯を注ぐことで簡単にお茶漬けを作ることができるアイデア商品です。具材は、地域で手作りされる希少なカラスミや割れてしまった乾燥椎茸などを使いました。規格外品となってしまっても味わいや香りは十分に優れており、産地ツアーでは、そのような食材を実際にシェフに触って食べていただき、シェフお勧めの食材として助言をいただきながら商品開発を行いました。「カラスミ」味の他にも、宮崎の食材を知ってもらう思いから「宮崎牛」や「宮崎県産鶏」の商品も開発しました。

このように、本プロジェクトでは未利用や希少な食材を利活用するだけでなく、こだわり抜かれた食材の本当の価値を再評価しながら、付加価値の高い商品を創り上げていくことも目指しています。

ローカルフードプロジェクトは、単なる食材の利活用による加工品づくりにとどまらず、「価値の再発見」や「地域経済の循環」を生み出す取り組みです。従来、形が不揃いで市場に流通しづらい規格外の食材や、用途が限られていたバナナの葉などは、生産者にとってはコスト負担となる存在でした。しかし、本プロジェクトでは、これらの資源の持つ魅力に着目し、新たな商品開発へとつなげています。単に余剰品を活用するのではなく、シェフや事業者が実際に産地を訪れ、食材の味や品質を体験しながら評価することで、食材に新たな価値を掘り起こしています。

LFPでは、一次産業(農林漁業者)、二次産業(食品加工業者)、三次産業(流通・飲食業者)という異なる業界のプレイヤーが協力し合うことで、持続可能なビジネスモデルの確立を目指しています。

このような循環型のビジネスモデルは、宮崎県にとどまらず、全国の同じ課題を持つ地域にも応用可能です。各地に存在する未利用食材や地域特有の農産物を、適切なパートナーシップのもとで価値ある商品に創り上げることで、持続可能な地域振興につなげることができるでしょう。今後、宮崎県のローカルフードプロジェクトが全国的な成功事例として注目され、他の地域でも展開されることが期待されます。

ローカルフードプロジェクトは宮崎県だけでなく、全国各地で各自治体や事業者が社会課題解決に向けて行っている取り組みです。しかし、その課題解決には消費者である私たちも貢献することができます。日々の生活の中で、「この商品がどういった背景で作られたものなのか?」など、食材が生産されている地方の農山漁村に目を向け、購入することで、その取り組みを応援することができます。
地元への地域貢献の第一歩のアクションとして、自分の地域のLFP商品を調べてみることから始めてみてはいかがでしょうか。