女性は「医療・介護の担い手」、男性は「ビジネスパーソン」iStockで人気のビジュアル傾向を分析 ジェンダーウォッシングにならない、女性の多様性を表現したビジュアルとは

近年、DE&Iの推進が世界中の企業の中でも進んできましたが、一部の企業などでは後退の兆しがあることも話題になっています。経済的・政治的な変化が要因にあるほか、企業や組織が表面的にジェンダー平等や女性のエンパワーメントなどをうたう「ジェンダーウォッシング」への反発なども考えられています。
市場の分析データに基づいた、質の高い1億8000万点以上の写真や動画などのコンテンツを中小企業や小規模事業者に提供する世界最大級のストックフォトサイト「iStock」が、3月8日の国際女性デーに合わせ、iStockを運営するゲッティイメージズのビジュアル調査「VisualGPS」を踏まえながら、日本において、「女性」をキーワードにiStockでダウンロードや検索されている人気のビジュアル傾向を分析、企業やブランドがジェンダーウォッシングという批判を受けないためのビジュアルコミュニケーションのポイントを紹介します。


女性は「医療・介護の担い手」が人気。一方男性は「ビジネスパーソン」
日本の企業やブランドは、iStockでどのようなビジュアルを選んでいるのでしょうか。人気のビジュアル傾向を見ると、女性を描いたビジュアルでは、ライフスタイルを反映したものが人気で、特に家庭内の様子を描いたビジュアルは、女性が男性の2倍多く選ばれていることがわかりました。
また役割としては、女性が医療や介護の担い手として描かれているビジュアルが検索されている一方で、男性を描いたビジュアルでは、ビジネスシーンでバリバリ働くビジネスパーソンの姿が人気という傾向があります。ビジネスシーンにおける女性の描かれ方としては、「リーダー」としての役割というよりも、「参加者」として描かれているビジュアルが選ばれています。


1753973344,Maki Nakamura,GettyImages
日本の女性は男性よりも多様性を反映したビジュアルを好む
VisualGPS調査結果によると、日本の女性は男性に比べて多様性を重視したビジュアルを好むことがわかりました。 障がいを持つ人をビジュアルに起用した方が良いと考える女性は男性よりも10ポイント高いほか、ニューロダイバーシティ(神経多様性)を重んじ、企業としても受け入れることが重要であると考える人が、女性では8割強(男性は7割強)にのぼっています。また企業やブランドの広告マーケティングにおいても、ニューロダイバーシティへの支援を積極的に示すべきだと考える女性の割合も約8割(男性は6割強)となっています。
企業やブランドの広告ビジュアルに女性の姿を反映させる際には、リーダーシップを担う女性、母親の姿、障がいのある女性、ニューロダイバーシティへの支援など、多様性を考慮したビジュアル選択が必要ではないでしょうか。


1458996858,kokouu,iStock
多面的な女性のストーリーを描くビジュアル選択のポイント
以上のことを踏まえ、企業やブランドは女性をビジュアルで表現する際、多面的で多様性を尊重した、女性のストーリーを伝えることが重要です。そうすることで、社会からジェンダーウォッシングといった批判を受けることを回避することにつながるでしょう。高齢の女性や障がいのある女性、LGBTQ+コミュニティの人々、働く母親といった、さまざまな女性のストーリーを紹介すること、また単なる「参加者」ではなく、積極的にビジネスや社会に関わる女性の姿をビジュアルで表現することが重要です。ビジュアル選択の際には、 女性が持つ「共感性」や「気遣い」といったイメージを引き出すような暖かみのある色調も効果的かもしれません。


アイキャッチ画像 1214862038,Yagi Studio,GettyImages