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梅・ネモフィラ・バラ……四季折々の花が咲き誇る茨城県が目指す観光モデルの作り方とは?


この記事に該当する目標
11 住み続けられるまちづくりを 15 陸の豊かさも守ろう
梅・ネモフィラ・バラ……四季折々の花が咲き誇る茨城県が目指す観光モデルの作り方とは?

世界的に知られる国営ひたち海浜公園のネモフィラをはじめ、いばらきフラワーパークのバラ、偕楽園の梅など、 様々な施設やスポットに四季折々の美しい花々が溢れている茨城県。これらバラエティーに優れた花の見どころを繋げ、県全体として取り組んでいるのが、“花絶景”というプロジェクトです。「花と言えば茨城!」……と連想ゲームのように結びつく日もすぐ近く。花絶景を通して考える持続可能な地域活性、観光モデルを一緒に見ていきましょう。

“花絶景”プロジェクトではどんな花が楽しめる?

色鮮やかな花が楽しめる茨城県の各スポットでは、そこでしか出会えない、特別な体験や景色が盛りだくさん。 2月11日から開催されている「第129回水戸の梅まつり」を皮切りに、可憐で心躍るフラワーリレーのバトンが次々に渡されていくようです。全身で春を感じられるイベントを、ここではピックアップしてみました。まずは「第129回水戸の梅まつり」=梅の話題から。

例えば、「第129回水戸の梅まつり」の一部として、日本三名園の一つでもある偕楽園で行われているのは「UME The Lights」。夜の観梅を楽しむナイトイベントとして、初めて開催されているそうです。この新たな観光体験の創出により、普段とは違う幻想的な景色に触れることができます。

また、梅に続いて楽しめるのは、日本一の花桃の里・古河市内の「桃まつりと花桃アフタヌーンティー」。古河公方公園では、計6種の花桃に出会うことができるのだとか。この華やかなピンク色を眺めながら、着物姿で味わえる「花桃アフタヌーンティー」もポイントの一つです。地元の「さしま茶」とともに、舌鼓を打つ体験は、きっと特別なひと時となるでしょう。

さらに4月には、つくば牡丹園「幻の牡丹園」のリニューアルオープンや、わずか10日しか見られない絶景・大子「りんごの花園」も控えています。

ゴールデンウイークあたりになれば、ひたち海浜公園のみはらしの丘に咲き誇る淡いブルーのカーペット・ネモフィラを心待ちにしている人も、きっと少なくないはず。開園前又は閉園後にこの美しい景色を独占できる貸切ツアーも販売されているということで、1泊2日の周遊プランの中で、ひたちなか・大洗の魅力を存分に堪能することができるのも魅力です。

地元の新鮮な食材をいばらきフラワーパーク内の素敵な空間で味わえるほか、花のプロと楽しむプライベート花摘みやブーケ作りなどが体験できる「Rose Farm Party」も見逃せません。日常から離れ、花や自然に囲まれた贅沢な時間を過ごすことは、とても刺激的。ゆったりとリラックスできる予感がします。

さて、ここまで春のイベントを複数チェックしましたが、そのどれもが花を主役にしつつ、茨城県の食や歴史などとも密接に結びついていることにお気づきでしょうか?花を活かして、お祭りやフェアを企画する。そうすると、そこに人が集まり地域の活性化や、観光業の発展に繋がっているのです。フラワーリレーが循環させるのは、自然の美しさだけでなく、地域経済にも及んでいることが分かりますね。花絶景を通して行われる地元産業の連携が、SDGs目標の中の「住み続けられるまちづくりを」とも深く関わっています。

都内の茨城県アンテナショップ「IBARAKI sense」にも広がる“花絶景”

いま見てきたように、花絶景をきっかけに茨城県へ直接足を運べば、観光業を中心とした様々な分野が盛り上がりを肌で感じることでしょう。しかしながら、現地でなくとも、豊かな自然や茨城県の魅力に触れられる取り組みも、実はまだまだあるんです。

東京・銀座の茨城県アンテナショップ「IBARAKI sense」では、「第129回水戸の梅まつり」を彷彿とさせる満開の梅をイメージした装飾が。約600本の梅の枝を天井からつるされている様子は、まさに圧巻。茨城の花絶景に行った気分を味わえます。

「いばらき花絶景ショート動画」という施策では、茨城県の梅やネモフィラをユニークな表現で発信。観光地PRの一環として、実写映像にCGなどのデジタル技術で特殊効果を加える手法であるVFX技術を活用したショート動画が制作されました。家にいながら“花絶景”の美しさが感じられますし、この作品を観たことでその場所に訪れたくなる効果も発揮しそうですよね。花々が見ごろを過ぎた後でも、デジタル技術によって、心華やぐような癒やしが持続するのは、面白い試みです。

ほかの地域にも波及するかもしれない“自然×地域活性”の大きな可能性

今回は、茨城県で取り組まれている“花絶景”に関する内容をご紹介しました。ここで見ただけでも、多種多様な花の見ごろが存在することが伝わったかと思います。夏・秋・冬と、季節に応じて、このプロジェクトのさらなる拡大が期待できそうです。それに伴って強く確立されていく観光モデルも、ほかの地域での応用が利くのではないでしょうか。
なお、このようなプロジェクトは、持続可能なまちづくりを叶えると同時に、SDGs目標の15つ目「陸の豊かさを守ろう」にも繋がっていると言えます。観光客が多く訪れて循環する地域経済、盛り上がる地域活性……地元の人々が誇れるようなスポットを増やしていくことで、彼ら自身が自分ごととして、伝統的な景観保護や、花の保存活動に向き合うことができる。積極的に地域の魅力を守る意識が高まる。そのように感じました。


執筆/フリーライター 黒川すい